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【イベントレポート】Amazon QuickSight Roadshow!に行きました

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はじめに

QuickSightとは、AWSが提供するBIサービスです。
いちユーザとしてより知見を深めるべく、去る2023年8月4日、タイトルのイベントに参加してきました。

イベント概要

Amazon QuickSight Roadshow | 東京
AWS目黒オフィスでのオフライン開催、しかも丸一日かけてという結構大規模なイベント。
image.png
サブタイトルの3大テーマに基づく14セッション構成でした。

セッション情報

セッション数も多かったので、どれも興味深かったのですが今の自分にとって特に着目だったセッションについてまとめます。
今後のアップデート予定というパートもあり、欲しかった機能!というものもありましたが、当該パートはブログ掲載NGとのことで割愛します。

AWSによるセッション:運用環境系

Dive Deep パート2:フォルダと API を活用したシングルアカウントでの複数環境運用

環境分離ニーズ(開発、検証、本番・・・を分ける)への対応策として最もハードルの低いものとして、フォルダ分離による方法の紹介。

QuickSightにおける権限管理の基本
  • グループ
    • ユーザーグループを作成できる。
      • 昔はAPIでしか作れなかったが、現在は管理画面から作成可能。
  • 共有フォルダ
    • 複数作成でき、フォルダに対してアクセス権限を付与可能。
    • 最上位フォルダ作成はAdminのみ。
  • リソースパーミッション
    • アセットには個別のアクセス制御がある。作成直後は作成者のみ閲覧、編集が可能。
アセット管理の課題
  • 環境分離ニーズ
    • 複数環境が欲しくなる場面がある。(開発、検証、本番・・・)
QuickSightにおける環境分離の選択肢
  • アカウント分離
    • 複数アカウントが必要。
  • 名前空間分離
    • シングルアカウントでよく、比較的高度な分離だが、APIベースのみ。
  • フォルダ分離  →今回の紹介はこちら
    • シングルアカウントでよく、簡易的な分離ではあるが、運用はシンプル。
共有フォルダによる開発・本番環境分離の実装パターン
  • ①データソース共有型
    • GUIパターン
      • 開発フォルダで分析・ダッシュボード作成し、本番フォルダにはダッシュボードのみ公開する。
    • APIパターン
      • 分析からTemplateを作成し、それをもとに本番のダッシュボードを更新。
  • ②データソース分離型
    • GUIパターン
      • 開発フォルダで作成した中身を、データソース含めまるごと本番フォルダに複製する。
    • APIパターン
      • ①同様にTemplateを介する。
  • ①はデータソースに変更があれば、本番ダッシュボードにも変更が反映される。データソースも含めて分離し、複製するのが②のパターン
    • 環境間で共有して問題ないか否かで選択を。

AWSによるセッション:機械学習連携系

QuickSight のポテンシャルを引き上げる SageMaker Canvas 連携で実現するノーコード予測分析

SageMakerCanvasとの連携によって何ができるのか。小売・広告の2業種を想定したシナリオに基づくデモ。
予測結果を連携することも、作成したモデル自体を連携してQuickSight内のデータセットを対象に予測実行することもできる。
SageMakerCanvasを使ったことはまだないのですが、GUIでモデリングできるものならばいいなあとシンプルに思いました。

参考1)そもそもSageMakerCanvasとは
AWSが提供する、クラウド上での機械学習モデルを作成プラットフォームであるSageMakerのノーコード版。

参考2)シナリオは異なるが、公式からデモ動画も公開されている

デモシナリオ①小売

前提
  • 売上要因分析を行いたい。
  • 週次売上に影響を与えそうな要素のデータとして、消費者物価指数・気温など多数あるが、どれが最も影響するのか?
デモ
  • SageMakerCanvasでモデリング・予測実行・結果の連携。
    • Select:データ選択
    • Build:学習
    • Analyze:モデル精度
    • Predict:予測
  • 「Send to Amazon QuickSight」ボタンのクリックで、予測結果をQuickSightに連携可能。
    • S3に連携されるため、QuickSight上での「データセット」の種類としてはS3の形で作成される。
  • QuickSightで可視化。

デモシナリオ②広告

前提
  • 新規ネット広告を打った場合の効果を、ユーザ属性から予測したい。
  • どんな層に効果があると予想されるか、それがターゲットとして想定した層と一致しているのか。
    • ※広告効果測定を実施した集団のデータがある。目的変数として、広告が効果的だったかどうかをyes/noの2値で持っている。
デモ
  • SageMakerCanvasでモデリング・モデルの連携。
    • 効果測定を実施した集団のデータから、効果があるか否かを判定するモデルを作成。
      • 今回は二値分類だが、時系列予測や多値分類も可能。
      • 「Standard」でBuild(45分くらいかかる)
      • 「Send to Amazon QuickSight」ボタンからモデル自体を送ることも可能。
        • スキーマ情報を含むJSONファイル生成される。
  • QuickSightにて予測。
    • 保持しているデータセットに対して予測を実行する。
      • データ準備画面から、Augment with SageMaker>モデル選択>JSONファイル指定>予測結果のカラム名指定>prepare data
      • モデル適用も、裏でいろいろ動くので結構時間はかかる。
    • 予測結果データを使って可視化。
      • 予測結果×属性(年齢別、性別・・・)
        • Ex. 女性よりも男性に効果がありそうだが、想定通りか?

事例紹介系

NTTドコモのネットワーク事業における社内QuickSightコミュニティの取り組み事例

QuickSight導入後、社内で利用を拡大させるための取り組みとしてのコミュニティ活動の紹介。
導入前に目指したという利用イメージはひとつすでにポイント。
そのビジョンがあった上で導入を行い、導入後も利用拡大のために地道に後押しする取り組みを行い、活用を促進。
ダッシュボード使われない問題はよく聞きますが、ひとつの理想の姿だなと思いました。

NTTドコモ 中山さん

QuickSightを導入した目的
  • ①エクセルが多かったところからの効率化・DX促進
  • ②ダッシュボード機能によって社内で事例・ノウハウ展開
  • ③エクセルで限界があった複雑な分析を気軽に行える環境の提供
QuickSightに決めた決め手
  • ①安価
  • ②フルマネージドサービスのためメンテナンスが楽、AWSサポート有
  • ③既存のDBもAWSを利用していたため連携が容易
前提としての利用イメージ
  • 作成者が閲覧者に一方的に公開するのではなく、分析したい人が皆作成者として分析できる環境を作りたい。
  • 分析専任者を置くよりも、データ理解の深い実務者が分析も行うことが重要という考えがある。
社内コミュニティ活動について
  • 利活用促進、社内認知を広めるために立ち上げ。
  • 運用チームに問合せが集中してその対応に追われる姿ではなく、ユーザー同士で事例共有、相談しあえる自走環境を目指す。
具体的に行った取り組み
  • Slack専用チャンネル作成
    • 当初は周知が流れるだけで、質問は結局DMや電話で来てしまうような状況。
    • チャンネルで質問するように促し続けた。
  • 勉強会・事例共有会
    • 月1程度の定期的な勉強会
      • レベル別ハンズオンやTIPS解説を実施。
    • 事例共有会も不定期開催
      • 事例紹介から他支店でも同じことがしたい、という声→分析の共有・複製で横展開にもつながった。
    • ダッシュボード作成イベント
      • 運用チームのサポートのもとで、はじめてのダッシュボード作成してみようイベントを開催。
      • 使うきっかけづくりが重要!

Amazon QuickSightを活用した大学IRダッシュボードサービス「IRQuA」サービス立ち上げ事例

QuickSightを用いて大学向けダッシュボードサービスとして事業化した事例。ビジネス寄りのお話。
(大学IRというもの、初めて知りました。)
中小規模の大学が手を出せるように低コストで、極力シンプルな形で、とニーズをきちんと押さえる。
サンキー図が大学関係者に好評というのは知見。自分はまだ使った経験がなかったけれども、歩留まりを表現したい場合は確かによさそう。

ヴェルク株式会社 津久井さん

IRQuA(いるか)とは
  • 大学IRダッシュボードサービス
    • 大学IRとは:Institutional Research
      • 少子化による学生数減少により大学経営は危機的な状況という背景。
      • 大学の経営に役立てるための分析リソースという意味で使われることが多い。
大学IRで求められるデータ分析基盤
  • 学生数に依るため、ビックデータ規模のデータではない。
  • 制度対応などでデータのレイアウトは変更されやすい。
  • 前処理の業務負荷高い。
大学の課題
  • 大学内部でのシステム構築ノウハウ不足
    • 大手ベンダーに依頼しようにも中小規模の大学だと資金的に手が出せない。
それをうけた開発コンセプト
  • すべてのコストを下げる
提供する価値
  • 直感的に使いこなせること
  • 大学IRデータ基盤が安価に構築・運用できること
    • ダッシュボードを押し出したソリューションだが、裏には基盤構築がある。
  • 安心感
QuickSight選定理由
  • ①シンプルな操作感
  • ②UIがモダンで操作感が良い
  • ③サンキーダイアグラムを簡単に実装できる(大学関係者にはここが結構好評)
  • ④柔軟かつ低廉なライセンス体系
  • ⑤AWSの他サービスとの親和性の高さ
視覚化の一例
  • サンキー図では歩留まり分析
    • 一般入試応募者がどのくらいで、どのくらい入学したのか。
    • 高校ランク別にどのくらい入学に至ったか、等。
  • オープンな統計データをソースとした可視化も公開
    • これだけでも買いたいという声も!
事業としての留意点
  • 非エンジニアのダッシュボード担当者が管理しやすいように、リリース単位ごとにTemplateを管理。
  • QuickSight上で複雑な計算は極力行わない。
  • 実装機能はフィルタとドリルダウン程度、シンプルに。

まとめ

200名ほどの参加者と机を並べて強制的にインプットを浴びるというのは、なかなか濃い一日でした。
自分が業務で使う中では、ビジュアライズ面の柔軟性やUI/UX面が主要な関心事になりがちでしたが、いろいろな角度からのセッションがあり、まだ知らないことが多く面白かったです。

先日、オンライン開催で第一回QuickSight分科会というユーザーイベントも開催されたばかりのタイミング。(実はこちらも参加して、勉強になりました。動画も公開されています。)

盛り上がってきそうな雰囲気です。
数多あるBIツールの中でどんな形で進化していくのか、今後のアップデートにも注目です。

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