4Gから5Gへの進化における、アーキテクチャの大きな変化として、C-PlaneとU-Planeの分離したこと(CUPS)が上げられる。
ユーザー視点では4が5になった程度の認識かもしれないが、3gppプロトコルを取り扱う技術者としては、難易度の飛躍というのが現実の見え方となっている。
では、この投稿がQiitaであるからには、CUPSがもたらす利点を読み手の君は考えることができるだろうか。
ここから先は、TS23.502を実際に紐解いたことのある技術者でなければ理解できないことだろう。
CUPSの利点を知らずして、5Gの技術営業をしようとする無謀な営業さんも、そこらへんにはいることだろう。
では、CUPSを知らずに、マスコミの取り上げる5G情報を取り入れたらどうなるだろうか。
3gppにも5Gの基本コンセプトとして書かれている以下のような技術を目にすることだろう。
eMMB(高速性)
URLLC(低遅延)
mMTC(多数接続)
このあたりを実現するための仕様は2023年ともなれば、標準化はかなり進んでいることだろう。
しかし、5Gはこれらと引き換えのデメリットが存在する。
それはsub-6帯とミリ波に限定された周波数の特性における、カバレッジの狭さが問題となる。
sub6は、30メートルぐらいしか電波が飛ばなかったり、ミリ波は障害物に弱かったりする。
片や4Gの電波は数キロメートルの伝送特性を持っているので、5Gの基地局と比べると、設置密度は30分の1程度でよい計算となる。
つまり5Gのsub6帯で4G程度のエリアを作るには、基地局数を30倍にしなければならないということだ。
よって5Gを普及させるには、基地局の建設コストが膨大にかかり、更には運用コストも比例して上がっていくデメリットが著しいといえよう。
このような事情のため、NAS主体の時代は5Gのエリアが少ない状況が続いた。
そして 5G SA の時代はどうか。5Gとスマートフォンには表示されたとしても、実は4Gで使っていた周波数の転用だったりする。
通信先のコアネットワークがEPCから5GCに変われど、周波数は4Gそのものであるから、5Gとはなにか?
文字を4から5に変えただけのような状態になっているのが現在の「パブリック5G」だ。
東京駅など、一部のエリアでは実際にeMMBを実感できる1Gbpsクラスのエリアも存在するので、全部が文字変更とは言わない。
しかし、ユーザー立場でも果たしてeMMBしたいのか?という疑問は残る。
結論。一般ユーザは4Gで満足するので5Gはいらないのである。