はじめに
「工学のための関数解析」のp.207の例1閉凸集合への二乗距離関数の凸性と微分(b)の証明で躓いたので、躓いた点を備忘録として残しておきます。理解できているか不安なので、間違いがあればコメント等で教えて頂ければ幸いです。
凸射影について
任意の$x\in\mathcal{H}$に対して
$$
d(x,C):=\inf_{y\in C}||x-y||=||x-P_C(x)||=\min_{y\in C}||x-y||
$$
を満たす唯一の点$P_C(x)\in C$が存在する。
$d(x,C)$を点$x$と集合$C$間の距離と呼ぶ。
写像$P_C:\mathcal{H}\rightarrow C , \ x\rightarrow P_C(x)$を凸射影という。
躓きポイント1
$||x-P_C(x+h)||\geq ||x-P_C(x)||$
$||x-P_C(x)||$は$||x-P_C(x)||$が最小となるように点$P_C(x)$が定まり点$x$との距離が決まる。一方で、$||x-P_C(x+h)||$は$||x+h-P_C(x+h)||$が最小となるように点$P_C(x+h)$が定まり点$x$との距離が決まる。そのため、$||x-P_C(x+h)||$は$||x-P_C(x)||$よりも点$x$との距離が大きくなることがわかる。
躓きポイント2
$\left||x+h-P_C(x+h)\right||\leq||x+h-P_C(x)||$
$||x+h-P_C(x+h)||$は$||x+h-P_C(x+h)||$が最小となるように点$P_C(x+h)$が定まり点$x+h$との距離が決まる。一方で、$||x+h-P_C(x)||$は$||x-P_C(x)||$が最小となるように点$P_C(x)$が定まり点$x+h$との距離が決まる。そのため、$||x+h-P_C(x)||$は$||x+h-P_C(x+h)||$よりも点$x+h$との距離が大きくなることがわかる。