CMDとPowerShellの違いを説明できなかった為,知っておく必要があると感じた.
以下に調べた事を纏めた.
In a nutshell
Windowsには主にCMD、PowerShell、Windows Terminalの3つのCLIツールがあり、それぞれ異なる特徴と用途を持つ。CMDは基本的なファイル操作向け、PowerShellは高度な自動化やシステム管理向け、Windows Terminalは複数のシェルを統合して管理できる。適切に使い分けることで作業効率が向上する。
CMD(コマンドプロンプト)
特徴
CMDは,従来のWindowsシステムで使用されるコマンドラインインターフェースである.MS-DOS互換の環境を提供し,基本的なコマンドを実行するために利用される.コマンド構文が古く,提供される機能にも制約がある.単純なファイル操作やシステム管理には十分だが,高度な操作には向いていない.
使いどころ
- 古いバッチファイル(.bat)の実行
- シンプルなファイル操作やシステム管理
- ネットワークのテスト(例:
ping
)やディスクのチェック(例:chkdsk
)
起動方法
- スタートメニューから「cmd」を検索し,起動
-
Windows + R
を押し,「cmd」と入力してEnterを押す
PowerShell
特徴
PowerShellは,Microsoftが開発した高度なシェルであり,オブジェクト指向のスクリプティング環境を提供する.コマンドラインでオブジェクトを操作し,データ処理やシステム管理を効率的に行うことができる..NETフレームワークを基盤としており,豊富なコマンドレット(cmdlet)が利用可能である.これにより,複雑なシステム管理や自動化が容易になる.
使いどころ
- システム管理および自動化
- 複雑なファイル操作やユーザー管理
- サービス管理やプロセス管理
- 定期的なシステム設定の変更や管理作業のスクリプト化
起動方法
- スタートメニューから「PowerShell」を検索し,起動
-
Windows + X
メニューから「Windows PowerShell」を選択し,起動
PowerShellとCMDの違い
CMDで使用できる多くのコマンドはPowerShellでも利用可能である.ただし,PowerShellではより強力な機能が提供されており,例えば dir
コマンドはPowerShellでも動作するが,PowerShellでは Get-ChildItem
を使用することが推奨される.
PowerShellはオブジェクト指向のパイプラインを利用するため,複雑なデータ操作やシステム管理タスクを効率的に処理できる.
Windows Terminal
特徴
Windows Terminalは,複数のシェル(CMD,PowerShell,WSLなど)を同時に扱えるターミナルエミュレータである.モダンなインターフェースを備え,複数のタブを使用して異なるシェルを同時に操作可能である.カスタマイズ機能も豊富であり,テーマ設定やプロファイルの追加ができる.
使いどころ
- 複数のシェルを並行して使用する場合
- モダンなインターフェースでの作業
- WSL(Windows Subsystem for Linux)との連携
起動方法
- スタートメニューから「Windows Terminal」を検索し,起動
- Windows Terminalを使用してPowerShellやCMD,WSLを直接起動可能
カスタマイズ
Windows Terminalは,ユーザーが好みに合わせてインターフェースをカスタマイズできる.例えば,背景,フォント,配色を変更することが可能である.
CMD,PowerShell,Windows Terminalの選び方
ツール | 特徴 | 使いどころ |
---|---|---|
CMD | 旧来のツールでシンプルな操作向け | ファイル操作や基本的なシステム管理 |
PowerShell | 高度なシステム管理や自動化が可能 | スクリプトやオブジェクト指向の処理 |
Windows Terminal | 複数のシェルを統合して管理できる | WindowsとLinuxを併用する場合 |
PowerShellとCMDの互換性
基本的に,CMDの多くのコマンドはPowerShellで実行できるが,PowerShellではより強力な機能が提供される.そのため,特定の用途や互換性の問題がなければ,PowerShellを利用するのが望ましい.
注意点として,CMDのコマンドの一部はPowerShellでは構文が異なることがある.例えば,dir
コマンドはPowerShellでも使用可能だが,PowerShellでは Get-ChildItem
の使用が推奨される.
追加の活用方法
スクリプト実行
- CMD: シンプルなバッチスクリプト(.batファイル)の実行に最適
- PowerShell: 高度なスクリプトや自動化タスクに適している
セキュリティ
-
PowerShell:
Set-ExecutionPolicy
コマンドでスクリプトの実行ポリシーを管理可能 - CMD: 基本的なコマンド実行が中心で,セキュリティ機能は少ない
WSLとの連携
Windows Terminalは,WSL(Windows Subsystem for Linux)と連携し,Linux環境のコマンドをWindows上で実行できる.これにより,Windows環境とLinux環境をシームレスに使うことができる.
Summary
WindowsのCLIツールには,それぞれ異なる特徴があり,用途に応じて適切に使い分けることが重要である.
- CMD: シンプルな操作や古いバッチファイルの実行に向いている
- PowerShell: システム管理や自動化に適した強力なツール
- Windows Terminal: 複数のシェルを効率的に管理し,WSLとの連携が可能
これらのツールを適切に活用することで,作業効率を大幅に向上させることができる.
参考文献
- Microsoft Docs: Windows Command Line https://docs.microsoft.com/en-us/windows-server/administration/windows-commands/windows-commands
- Microsoft Docs: PowerShell Documentation https://docs.microsoft.com/en-us/powershell/
- Windows Terminal GitHub https://github.com/microsoft/terminal