はじめに
XYZ printing daVinci Mini w+という3Dプリンタを使って3D造形しています。製作物の都合でナイロン製のスペーサを造形物と接着させようとしたのですが、なかなか接着できないことに気が付きました。3Dプリンタの多くはPLAという素材で3D造形しますが、どうも難接着素材のようです。セメダイン社も独自にレポートを出したりしています。
この記事では、近所のホームセンターで入手したいくつかの接着剤で接着テストを行い、その結果をお伝えします。
この記事で分かること
- どの接着剤なら接着するか、参考程度の情報が得られる。
用意した接着剤
用意した素材
テスト方法
- それぞれの接着剤の取扱説明書に従って、PLA造形物にナイロン六角スペーサを立てて接着させる。
- 24時間以上放置する。
- ひっくり返して、少し振ってみる。
- ひっくり返した状態で、少し固い振動を与える。
- なるべく同じ力になるよう、1本ずつ押していくことを繰り返す。
- 接着面が剥がれた音がした時点で脱落とする。
結果
ひっくり返したり、振動で取れてしまうほど軟弱なものはありませんでした。
指押しを開始して早々に脱落したのはアロンアルファ ゼリー状でした。力加減としては仮止め程度です。これは以前から所有していたものです。ポリエチレン系の接着には使えないと記されているので、相性の悪い組み合わせなのでしょう。
次に脱落したのはセメダイン スーパーXハイパーワイドでした。アロンアルファ ゼリー状に比べれば少し粘りましたが、力加減で言うとそれほど変わらない感じでした。これは意外でした。
3番目に脱落したのはBONDICでした。こちらもポリエチレン系の接着には不向きと書かれていますし、接着の方法も接着面ではなく、その周囲を固めるものなのです。その特徴の中ではよく持った方だと思います。仮止め+αくらいな感じでした。
4番目に脱落したのはセメダイン PPXでした。こちらはポリエチレン素材でも接着できるもので、プライマーと呼ばれる素材を溶かすものを使った上で接着剤を利用するものです。方法としては後で述べるアロンアルファ プラスチック用と同じなのですが、ここで脱落しました。プライマーの使い方が不十分だった可能性もあります。仮止めよりは十分接着されていましたが、少し力がかかるような場面では不安な感じです。
5番目に脱落したのはセメダイン 3000多用途でした。最後のアロンアルファ プラスチック用と比べても遜色のない接着力で、取扱のしやすさを考えればこちらの方がオススメと言えます。しかし、長時間強い力が加わるような環境では使えない感じです。
最後まで残ったのはアロンアルファ プラスチック用でした。先に述べたセメダイン PPX用途同じくポリエチレン素材でも接着できるもので、プライマーを使用するものです。プライマーで塗る作業はこちらの方が簡単に行えました。こちらもセメダイン 3000多用途と同じく長時間強い力が加わるような環境には適していませんでした。
最後に接着面の痕跡を見てみます。
接着面の痕跡がほとんどないのが、アロンアルファ ゼリー状、セメダイン PPX、BONDICです。BONDICはその接着方法から痕跡は残りづらいです。他は、結果として接着の弱さを示しています。
しっかりと接着していて、PLA造形物にはっきりした傷をのこしているのは、最後まで残ったセメダイン 3000多用途とアロンアルファ プラスチック用です。これを見ると、接着剤の強さの問題だけでなく、造形物の造形の仕方にも工夫をしないと、長時間力に晒される環境での利用は難しいのではないかと思います。
まとめ
- 今回の調査で一番強い接着剤はアロンアルファ プラスチック用
- 次点だがセメダイン 3000多用途は使いやすいので、オススメはこちら
- 力のかかる接合場所で、接着だけで解決するのは難しい
備考
- この記事で述べていることは、私の主観と力加減により書かれたものです。科学的検証としては全く不十分です。
- この記事の条件下の中での接着の力を評価しています。他のいかなる素材の接着力にも言及していません。
- 用途や素材に合わせた接着剤を利用しましょう。
- 力がかかる場面では接着ではない別の接合方法を考えましょう。
以上です。