はじめに
XYZ printing社のda Vinci miniシリーズは、初心者向けの扱いやすい製品ですが、細かい調整などに関するドキュメントが不十分です。X軸アームとプラットホームとの間の平行を維持する調整もその一つです。この平行が保てないと、造形不良の原因になります。この記事ではda Vinci mini w+のX軸アームの角度を微調整し、X軸アームとプラットホームとの間を水平にする調整の仕方を説明します。
この記事で分かること。
-
調整に必要なツール
-
調整の仕方
前提とする環境
- XYZ printing da Vinci mini w+を対象とします。他のda Vinci製品でも同等の作業が出来るようです。
- XYZmaker SuiteおよびXYZprintがインストールされているものとします。
調整に必要なツール
- da Vinci mini w+のパッケージに付属していた調整ツール(金属の板)
- 軸の長さが10cm以上のT10ドライバー(六角星型)
特にT10ドライバーの柄の長さに注意して下さい。私は長めのドライバビットとグリップを用意しました。
調整方法
調整用目隠し蓋の取り外し
正面から見て左下の「da Vinci mini w+」と書いてある蓋を取り外します。本体内側で軽く爪で引っかかっているので、それを押すと簡単に外れます。
X軸アームとエクストルーダを適切な位置に移動させる
X軸アームのネジを緩めるために、XYZprintからX軸アームを操作します。最初に「ダッシュボード」から「セットアップ」を選択します。
エクストルーダをホームポジションに移動させるため、「スタート軸」を選択します。
エクストルーダを10mm上方向に移動させます。Z軸移動量が10mmであることを確認して、Z軸の上昇移動を選択します。
エクストルーダが上昇したら、作業の邪魔にならないように手でエクストルーダを右側に寄せいます。
調整ツールを用いた調整
X軸アームと調整ツールがちょうど触れる程度になるまで、X軸アームを下げていきます。下げすぎると壊れてしまいます。必ず1mmずつ下げていきます。
移動幅を1mmにセットし、Z軸下降移動を選択すると1mmずつ下がるので、下がるたびに調整ツールが左右に抵抗なく移動するかどうか確認します。移動は出来るが引っかかりが生じるところまで下げていきます。
X軸アームと調整ツールが接するところまでいくと、こんな感じになります。
X軸アームを支えているネジ5箇所を(1)から(5)の順番で緩めます。(1)のネジは右下側の丸く開いた部分からドライバを差し込んで緩めます。ネジ半回し程度緩めて下さい。決して緩めすぎないようにして下さい。
この状態で調整ツールをプラットホーム上で左右に移動させます。抵抗が強くなったら、その部分のX軸アームを持ち上げる、抵抗が弱くなったら、その部分のX軸アームを手で押し下げます。調整ツールの移動とX軸アームの調整を繰り返し行い、引っかかり具合が均一になるようにX軸アームを上下に手で動かして調整します。
後片付け
引っかかり具合が均一になったら、緩めたネジを締めます。締める順番は(5)から(1)の順になります。締め終わったら、調整ツールを引き抜きます。
最後に、最初に外した目隠し蓋を取り付けて終わりになります。
以上です。
参考資料
- XYZプリンティングジャパン: da Vinci mini w+ User Manual_JP
- XYZプリンティングジャパン: ユーザーマニュアル_ダヴィンチ Jr. Pro X+