はじめに
おはこんばんにちは!GxPの野本です。
この記事はグロースエクスパートナーズ Advent Calendar 2024の10日目の記事になります。
私は2023年4月に文系未経験という肩書を引っ提げて、弊社に新卒で入社しました。
そして昨年のアドベントカレンダーでは、研修が終わって配属されたと思ったらまた研修・・・!?という記事を書きました。
そんな記事を書いた約3ケ月後、新卒2年目の私は、またもや研修に携わることに。
ただし今度は、研修を「受ける側」ではなく「作る側」として、新人研修の完全内製化というミッションのメンバーにアサインされたのです。
「新卒2年目が研修を作るってどういうこと?」と思われるかもしれませんが、だからこその観点であったり、運営としておこなったことなど、書いていこうかなと思います。
今まではどういう研修だったの?
まず、見出しのような疑問が出ると思います。⇧
詳しくは、昨年のアドベントカレンダーに同期が詳しく書いたものを出してくれているので、それを読んでいただければと思います。(新入社員研修の内容を過去の自分に紹介しよう!~技術編~)
入社後の研修の流れをざっくり要約すると、
4月頭~4月中旬:社内研修(PCセットアップや社会人マナー研修など)
4月中旬~5月末:外部研修(DBやJavaScript、Javaなど基礎的なこと) or OJT研修
6月頭~7月中旬:社内研修(ビジネスモデルを考えたりチームでWebアプリを作成したり、アジャイル開発を体験したり)
となっており、赤字で強調したように、一部外部に委託しているという形でした。
それを2024年4月に入社された新入社員の研修から、全部自分たちでやっちゃおうぜ ということになります。
全体としてどういう流れの研修なの?
それでは早速どのような研修内容だったかを説明します。
運営体制
今回の新人研修は、以下のような体制で運営を進めました。
全体設計:新人研修全体の指揮・統括
推進チーム:コンテンツのオーナー、コンテンツ・講師・チューター調整など
事務局:予算・新卒労務管理など
期間
4月頭~7月中旬
(弊社は7月末頃に配属発表 ⇨ 配属 なので)
受講者数
今年は新卒メンバーを中心に、25名に参加していただきました!
全体の流れ
各々の詳細
全体の流れで出た各コンテンツを、もう少しざっくりご紹介します。
共通研修
下記二点は、どの会社さんでもおこなっている一般的なものだと思います。
- 弊社GxPグループの経営理念やミッション、GxP Way など自分たちの会社について理解してもらうためのコンテンツ
- 部署紹介や役員講話
- 会社の規約・ルールの説明
- ビジネスマナー研修
- ISMS教育
- 目標設定・SWOT分析
弊社では上記に加えて、AI研修 というものを実施しました!
具体的には、下記の通りです。
- 生成AIの存在が当たり前となりつつある今、私たちはどのように向き合っていくのか、「プログラマーは必要かどうか」というテーマでディスカッション
- ChatGPTの使い方と危険性の説明
また、生成AIに関しては、弊社の今年のアドベントカレンダー3日目に、生成AIがローコードツールになる時代: GxPのエンジニアの役割がどう変わっていくのか考えてみた という記事が公開されているので、ぜひ合わせて見ていただければと思います!
IT共通研修
開発をしていくにあたって基礎的な知識の習得を目的としています。
- 大まかな開発の流れの説明
- システム基礎講座
- サービスデザインについて
- 開発ツールの紹介・インストール
- A5M2・VSCode・Git・Docker など
- DBの基礎知識(データモデリング・RDB・SQL)
- ローコードツールの使い方(Retool)
- ソフトウェアのテストとは
プログラミング基礎コース
プログラミング未経験・初学者向け で、基礎的なプログラミング力とサーバーサイドの開発力を身に付けてもらうコースです。
- Udemy講座
- SpringBoot研修
- 「プロになるためのSpring入門」と社内トレーニング用Webアプリを中心とした独自のカリキュラム
Webアプリ基礎コース
プログラミング経験がある方向け で、基礎的なWebアプリ開発(SPAのサーバーサイドとクライアントサイド)を身に付けてもらうコースです。
- Vue.js研修
- Vue3のドキュメントを中心とした独自のカリキュラム
- SpringBoot研修(プログラミング基礎コースと同様のもの)
- AWS学習
サービスデザイン基礎コース
サービスデザイン・UIデザイン設計 の一連の流れを経験してもらうコースです。
- 基本講座
- ペルソナ・VPC・サービスブループリント・カスタマージャーニーマップ など
- サービスデザイン講座
- リーンキャンバス・システムマップなど
- Uiデザイン基礎
- ワイヤーフレーム・デザインコンポーネント・Figmaの使い方 など
Webアプリ開発演習
3コース終了後、それぞれのメンバーが合流して混合でチーム分けをし、各チームでWebアプリを開発してもらいます。基礎的なWebアプリ開発と、チーム開発プラクティスを身に付けていただくことを目的としています。
また、社内で開催しているG'sBizCon(ビジネスアイデアコンテスト)に出してもらうことを前提として、サービスデザイン基礎コース受講者を中心に設計をおこなっていただきました。
わかりづらいですが、こちらはWebアプリという物自体の出来・不出来の評価ではなく、アイデアとしての審査となっています。今年は新卒から1チーム、敢闘賞を受賞しました!
成果発表会
自分たちのチームが開発したWebアプリは、そもそもどういう意図で作成したのか、どのような機能があるのか、デモンストレーションをおこないつつ、発表していただきました!
全社向けにZoomを発行し、オンライン・オフラインどちらからでも新人研修の成果を見ていただけるようにしたので、自分のチームに配属されるのはどの方だろうと覗きに行った方も多いと思います
(ここで裏話、今年度は上記の成果発表会だけでは物足りなかったらしく、配属前最終日に真の成果発表会 も行いました)
そして実は2024年度新人研修の様子レポート記事が、弊社グロースエクスパートナーズグループの『今』を伝えるWEBマガジンG+WEBにも掲載されているので合わせてご覧ください!
(研修中の写真がたくさん載っているのでどんな雰囲気かわかると思います)
2024年度新人研修の様子レポート 「4月~5月編」
2024年度新卒研修の様子レポート 「6月~7月編」
じゃあ、あなたは何をしたの?
ここまでざっと研修自体の概要を話してきましたが、じゃあ結局どういうことをしたの?ってハナシ・・・。
私は、推進チームとして、プログラミング基礎コースのカリキュラム設計、及びコース実施期間中の運営 をメインとしておこなっていました。
概要でもお話しした通り、「プログラミング未経験・初学者向け で、基礎的なプログラミング力とサーバーサイドの開発力 を身に着けてもらう」という目的のコースになります。
それを踏まえた上で、まずはカリキュラム設計時に気を付けた・意識したことをお話しします。
カリキュラム設計
① 初心忘るべからず
いくら私が「IT未経験」で「昨年入社の2年目」と言えども、業務で開発を1年間行えば、ある程度「データの流れはそうなっているのね、ふ~ん」「オブジェクト指向、はいはいOKOK」くらいにはなると思います。(というかなっていないと1年間何やってきたのよ問題が・・・)
ですが、プログラミング基礎コースは、プログラミング未経験者や初学者を対象にしています。
そこで、入社後の研修時期、頭にハテナをたくさん抱えてキャパオーバーになっていた私を度々召喚して、作成したカリキュラムを見直す というのをおこなっていました。
まだ新人研修を受けた記憶が新しい私はよりコース受講者の感覚と近い解像度の私を召喚出来ましたが、大事なのは「受講者と同じ感覚を持って、カリキュラムを作成すること」だと思います。
なので決して2年目に任せておけばいいものができるだろう!なんてことはありません(笑)スーパーエンジニアな方でも、必ず初心者だった時代はあります。
受講者のことを考えてカリキュラムを作成する、当たり前だと思いますが、大切なことだと思います。
② 内容をきちんと把握する
これも当たり前だと思いますが、大事なことです。
今回プログラミング基礎コースでは、Udemyの講座を視聴してもらうことにしたので、どの講座が良いのか、プレビュー(お試しのレクチャー)を見て決めました。
そして決定した講座、それって運営(私)が把握しているのはプレビューという講座の一部分だけですよね?各レクチャーのタイトルとかで基本的にどういう内容を教えてくれるのかは想像つきますが・・・。(以下画像は今回使用した講座の一部分)
また、カリキュラムとなると、1日にここまでは見て欲しいな、でも見れるかな~という希望と予測で立てていくものになると思います。
例えば、「1日8時間の勤務時間がある。セクションが1つにつき2時間だから1日で4つ見れる。」という計算のもと作られたカリキュラムは、ロボットなら行えますが、今回受講していただくのはもちろん人間です。
パッと考えられる要素として、
- 8時間フル稼働は疲れちゃう
- お手洗いに行く
- 学習中に調べたい用語があった
- 講座内で理解しにくいところがあった
- 学んだことをまとめたい
などなど、挙げられると思います。
特にマークで示したところは、①初心忘るべからず でお話ししたように、受講者と同じ感覚を持ちながら動画を視聴すれば、ある程度理解に時間がかかりそうなところやこの説明じゃ足りないだろうな・・・といったところ、逆にここはいらないな、などの検討がつけられると思います。
それらを踏まえた上で、私は今回受講者に視聴いただこうと思っていた範囲すべて見ました!(ただしあまりにも量が多いので、2倍速かつ冒頭で不要な内容だと思ったところはすぐ飛ばしたりしてましたが)
そして、どういう内容なのか、わかりにくいところにはマークをつけて、補足資料を探してメモとしてリンクをつけておくという作業をしました。
雑なメモで恥ずかしいですがこんな感じ⇩
これは私の反省点でもありますが、今回は一人で視聴をおこない時間的に厳しかったところがあったので、周りの人にHelpを求めて分担したりするなど、効率的に内容の把握をおこなうのが大切だと思います!
だらだらと書きましたが、「内容をきちんと把握して、その情報をきちんとカリキュラム作成に生かそう」ということです。
そして完成したカリキュラム・・・
ちょっと見づらいかもですが初めの3日分だけ公開します!
①の視点を持ちつつ、②の内容の把握をおこない、その情報をもとにカリキュラムを作成すると、
- やらなくていいセクション
- セクション自体やその中の用語や考え方の補足資料
- コーディング演習でスキップする問題(合ってても正解にならないバグがあったので)
上記のことが考慮され、1日で行えそうな量を配分したカリキュラムが完成するのではないかと思います!
運営
次にカリキュラム実施中に運営として気を付けたことをお話しします。
①柔軟な対応
先に述べたようにどれだけ頑張ってカリキュラムを作り込んでも、実際に進めてみると思い通りにいかないことってありますよね。これはもう、研修運営あるあるだと思います。
だからこそ、「計画通りに進まないことがあるのは当たり前」と考え、柔軟に対応する姿勢を大切にしていました。
具体的には、毎日昼会をおこない、運営も必ず参加する形を取りました。そこでは特に、受講者一人ひとりの進捗状況や理解度を確認しながら、何か困っていることがないかをしっかりキャッチすることを意識していました。直接顔を合わせて話すことで、「ちょっとここが難しかったです」「思ったより進めなかったんですが大丈夫ですか?」といったリアルな声を聞くことができたのが良かったです。
また、進捗が遅れている場合には、スケジュールを無理に押し進めるのではなく、「ここのセクションは後回しにして、この重要な部分をしっかり理解しましょう!」といった形で対応し、「遅れてしまった…」と焦る気持ちを少しでも軽くして、安心して学べる環境を作ることを大切にしていました
あとは、適宜コース用Slackチャンネルに補足資料や参考になりそうなページを流したり、Udemy講座のテストセクションだけ日本語の補足資料を作成したり・・・。(本編には日本語字幕があったのですが、テストセクションは英語のみだったため、受講者が困らないよう対応しました!)
また、チューターとして参加いただいている先輩社員が解説してくださる内容に、私自身から質問を投げかけることもありました。これは、受講者にとっての「気になるポイント」を拾う意味もありましたが、自分自身の勉強にもなって一石二鳥でした
②コミュニケーションの仲介
①でも少し話題が出ましたが、このコースでは、受講者・運営の他に、チューターとして先輩社員にもご協力いただきました。
ただやはり入ったばかりですと、入社直後の受講者にとって、先輩社員に気軽に話しかけるのはハードルが高いのではないでしょうか? そこで、私としては、研修内容の質問が出来る環境にしたい!というのもそうですが、先輩社員の人柄に触れていただきたいな・・・という思いがあり、毎日行っている昼会とは別で、リフレッシュトーク という機会を企画しました!
内容はシンプルで、チューター1人に対し、受講者1人、そして話の中心として運営が1人入り、お互い軽い自己紹介は必須で、そこからは何を話してもOKとして、お互いのことを知っていただく場を設けました。
フリートークでしたが、主に下記のことを話していただいたり、運営が話を振ったりしていました。
チューターの方 | 受講者の方 |
---|---|
現在の仕事内容 | 学生時代どういうことを学んできたのか |
今までどういうことをなさってきたのか | なんでGxPに入社したのか |
趣味 |
このリフレッシュトークは受講者から非常に好評で、以下のような感想をいただきました。
- 「思っていたより堅苦しくなく、楽しかった」
- 「仕事の内容のみならず、人柄に触れられる良い機会だった」
また、「こういった機会は今後も欲しいですか?」という問いに対して、受講者全員が「はい」と回答してくれたことは、運営としても非常に嬉しく、やってよかったと思える取り組みでした。
他にもコース用Slackチャンネルでは、明るい雰囲気づくりをしたい!と思い、ちょっと絵文字を多くしてみたり、冗談ぽく伝えてみたり、を心がけて発信しておりました
(しかまつさんのネコチャンスタンプは社内でも愛用者多数です)
運営全体を通して
「カリキュラムを作成して終わり!あとはチューターの方よろしくお願いします!」ではなく、運営として積極的に関わることで、受講者が安心して学びやすい環境を提供することを心掛けました。進捗の確認や雰囲気作り、チューターとの橋渡しなど、運営としての役割をしっかり果たすことで、研修全体がより良いものになったのではないかと思います。
最後に
初の完全内製化の取り組みに携わることが出来て、自分のことをたくさん振り返ってみたり、どうやったら良いものができるか試行錯誤したり、とても良い経験をさせていただきました!
初年度ということもあり、至らない点や改善点などありましたが、それを踏まえて、弊社の新人研修はどんどんより良いものになっていくのではないでしょうか!(次年度、私が運営として関わるかは未定ですが、振り返りの意見はたくさん出したので活用してくれると思います)
拙い文章になりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました!