はじめに
こんにちは!この記事では、ソフトウェア設計の重要な考え方「DDD(ドメイン駆動設計)」を、できる限りやさしく、まるで犬に説明するかのように、初心者にもわかるように解説していきます。
🧠 DDDってなに?
DDD(Domain-Driven Design)とは、「ソフトウェアの設計を現実世界のルールに近づけることで、より理解しやすく・保守しやすくする考え方」です。
例えるなら、犬のお世話アプリを作るとします。
「ごはんをあげる」「散歩に行く」「ワクチンを打つ」などの行動を、そのままプログラムの構造に反映するという感じです。
🐾 ポイント:DDDは「プログラムの構造」と「現実世界の仕組み(ドメイン)」を一致させることを大切にしています!
🐾 現実のルールをそのままコードに
DDDでは「ビジネスルール」が重要な中心になります。犬の健康管理には、
- 1日2回のごはん
- 定期的なワクチン接種
- 散歩の回数制限(例:子犬は短め、大人は長め)
などのルールがあります。
これらのルールをプログラムに落とし込むことで、開発者が誤った仕様を実装するリスクを減らせます。
🧩 ドメインってなんなの?
「ドメイン」は「そのアプリが対象とする世界」のこと。
犬のお世話アプリの場合:
- 犬の名前、年齢、犬種など → エンティティ
- 散歩をする、ごはんをあげる → ドメインサービス
- 年齢ごとのワクチンスケジュール → 値オブジェクト
また、「ドメイン知識」は飼い主さんや獣医さんが知っている情報であり、開発者はこの知識をモデルに落とし込む役目を担います。
🎓 ユビキタス言語(Ubiquitous Language)とは?
DDDで重要なのが「ユビキタス言語」です。開発者とドメイン専門家(例:トレーナー、獣医など)が共通で使う言葉のことです。
- × テーブル名:tbl_dog_data
- ○ モデル名:Dog(犬)
このように、コードと会話の言葉を一致させることで、ミスコミュニケーションを減らせます。
🧱 DDDの基本コンポーネント
DDDを理解するための基本構成を犬の世界で説明します。
🐕 エンティティ(Entity)
- 特徴:一意なIDを持つ「存在」
- 例:「ポチ」という名前の犬(ID:1)
class Dog {
constructor(
public id: string,
public name: string,
public age: number
) {}
celebrateBirthday(): void {
this.age += 1;
}
}
🍎 値オブジェクト(Value Object)
- 特徴:値に意味があるが、個別のIDはない
- 例:ワクチンスケジュール、食事の内容
class VaccineSchedule {
constructor(
public ageInMonths: number,
public vaccineName: string
) {}
}
class MealPlan {
constructor(
public foodType: string,
public portionGrams: number
) {}
}
🛠 ドメインサービス(Domain Service)
- 特徴:複数のエンティティや値オブジェクトにまたがるビジネスロジックを扱う
- 例:犬が散歩に行けるかどうかを判断するサービス
class WalkService {
static canWalk(dog: Dog): boolean {
return dog.age > 3;
}
}
🗂 その他の重要な要素
🧰 リポジトリ(Repository)
- 役割:エンティティを保存・取得する窓口(データベースへのアクセス)
interface DogRepository {
findById(id: string): Dog | null;
save(dog: Dog): void;
}
🏠 集約と集約ルート(Aggregate / Aggregate Root)
- 集約:複数のエンティティや値オブジェクトを1つのまとまりとして扱う単位
- 例:DogとそのVaccinationHistoryを1つのまとまりとして管理
🏗 設計がしやすくなる理由
DDDを使うことで、こんなメリットがあります:
- コードがドメインに沿って整理されているため、読みやすい
- 業務のルールがそのままコードに反映されていて、変更に強い
- 現場の人(ドッグトレーナーなど)と共通の言葉で会話できる
- 設計に一貫性があり、大規模開発にも対応しやすい
📚 実際のプロジェクトでDDDを使うには?
DDDは「設計思想」なので、いきなりすべてを導入するのは難しいこともあります。
🐾 スモールスタートがおすすめ
まずは次のステップから始めてみましょう:
- ドメインモデルを意識したクラス設計にする
- ドメイン用語をコードに使う
- ユビキタス言語を開発チームで共有
徐々にDDDの考え方に慣れていくのがポイントです。
🔚 おわりに:DDDは犬にもやさしい?
DDDは一見むずかしそうに見えますが、実は「現実の世界をよく観察して、それをそのままプログラムに落とし込む」という、とてもシンプルな考え方です。
犬の例を通して、DDDの世界が少しでも身近に感じてもらえたら嬉しいです!