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「統計」と「機械学習」の違いの整理で多くの事業会社で「機械学習」が使えない理由が視えてきた!

Last updated at Posted at 2020-01-17

統計と機械学習って結局何が違うの?なんで今日から機械学習で予測して金儲けできないの?

機械学習を勉強し始めるとおそらく誰もが疑問に思う。そして、なんで事業会社の多くが日々の業務で今日から使えないの?っていう疑問も出てくる。いろいろな文献があるがいまいち理解に困ったので自分なりに整理しなおした資料。情報を組み合わせてかなり自論を入れています。
This article explains why many companies cannot use machine learning approaches to drive business starting today...

まずは統計と機械学習の考え方や向き不向きの違いを表にまとめてみた

統計か機械学習かVer2.png

多くの人が言及しているが互いに関連しているとはいえ、最終目的が異なる。「機械学習」は予測や判断は行うもののなぜそうなったのかは一般的にはブラックボックスだ。「統計」で行う予測や判断は、なぜそういう結論になったのかの理由付けが重要になり(理由付けを行うための学問であり)、理由はホワイトボックスとなっている。

なぜ多くの事業会社が「機械学習のアプローチを使えない」のか?

要因の整理に力を入れることが目的の「統計」は社会科学の課題解決に向いており、「機械学習」は自然科学の予測やロボットでの自動処理に向いている。と、整理結果から私は考えるに至ったし現実はそうなっている。売上に変動する要因を洗い出せ、要因に対して売上アップの施策を考えろなんていうテーマがあればこれは影響度の整理を行う「統計」の話(社会科学の問題解決)で「機械学習」でどうこうなる話ではない。(なお、BIのAI機能として提供されている影響分析の機能があるが、これは影響しているであろう項目の指定を行うことが必要で、関連して行われる計算は「統計」のエリアだ。ECサイトのおすすめ商品表示も他の人が買ったことのある組み合わせを表示させているだけのことが多く、機械学習上の予測というよりシンプルなクエリーに近いことが多いはずだ。)一方で台風の進路予測や地震予測(まだ無理だと思うが)、画像認識や音声認識などのロボット処理は機械学習のアプローチになる。例えば台風の進路/強度予測は進路/強度さえ当たれば別に気温、海水温、ジェット気流など何が影響してようがしていまいがモデルが統計学的に綺麗であろうが嫌われようが(気温と海水温は多重共線性、multicollinearityにより相互連動するから統計モデルという意味では両方同時に使わない方が好ましいはずですが)結果さえ正しければ国民には関係ない、興味関心がない話だからだ。
多くの事業会社はセールス、マーケティング、ファイナンス、人事といったエリアの「社会科学」に興味があるのであって「自然科学」や「ロボット」に興味がないことが多い。
(※マーケティングオートメーションは自動化を考えるわけですから、この領域はロボットと言えるかも。限定的ですが。)

さらに、なぜ多くの事業会社が「統計も機械学習も使えない」のか?

データがない。これに尽きる。
Kaggleコンペであるような綺麗なデータセットは一般的な事業会社では持ち合わせていない。
(1)主要因であるはずの属性情報データがない。
例えば物やサービスを購入しているお客様の過去、最新、未来の属性情報がない。属性情報は変動しており過去の時は過去の属性、現在の時は現在の属性。例としてクレジットカード会社の例として顧客情報の最新情報が手に入る与信を自動化は比較的楽だが、10年後どうなっているかの予測はまずできない。学歴だの家族構成だの年収だの状況はコロコロ変わるが最新の属性情報をいつも正しく管理しているわけではないので、結果としてクレジットカードを利用している人が誰なのか(属性として誰なのか)クレジットカード会社は(大量に多くの属性の個人情報を持っている企業ですら)ほとんどわかっていない。一回入手したら変わらない性別、年齢といった変わらない情報の最新はいつも持っているけど顧客属性を考えるとあまりに限られた情報だ。こんな状態で過去、現在、未来の消費動向などをつなげようとするのは無理だ。

(2)トランザクションデータとマスタデータが紐づいていない。
マスタデータ(品番など)がコロコロ変わり過去、現在、未来がつながらない。

(3)社内情報ですら(全ての)戦略や施策を網羅的に統計用、機械学習用にデータ化できない。
企業戦略、施策によって(例として広告、キャンペーンなど)仕入や売上に影響するのはアタリマエの話であるのだが、統計や機械学習用にデータの受け渡しなどほぼできない。ピンポイントで施策が功を奏したか否かくらいの個別分析はできても企業全体でなんていう話は無理。でも経営者はそれを欲しがる。

結論

●自然科学やロボット処理/処理自動化に興味関心がない人、会社は「機械学習」に入り込む多大なメリットはなさそう(各々がそちらの方面で潰しを利かすのなら別)
●分析に用いる適切なデータがなければ「統計」も「機械学習」も旗を振ったところで無意味、無駄な労力
●前提となる分析用データ整備がされていない場合は、データ入手/整備から入ることが必要
●根本、本質を理解していないデータサイエンティスト職の今後が危うい!成果出せずに結果...

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