#Salesforce は何でもできるのか
Salesforce ができることや夢のような話はよく聞きますが、ネット検索しても苦手なことやできないことについては記事を見かけない。おそらく部分的にアジャイルで導入して全体最適を試みて結果として無理かなあと思った際はその時点で終わってしまい、わざわざそれをまとめてアップロードする人がいないからだろう。こうしたらできたという事例はあっても、これは無理というものがなかったので自分なりに整理してみた。ここでいうSalesforceスコープはapex, visualforce, classic / lightning 等でカスタマイズを作り込む俗に言うEnterprise EditionやUnlimited Editionに代表されるforce.com, Sales Cloudの話をしており、Marketing Cloud等はあまり重きを置いていない。カスタマイズというよりコンフィグレベルのノンコーディングでビジネスアプリが作成できる反面、「今後」を考えてできないことは知っておいた方が良い。
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#Salesforce (SFDC) 苦手なこと、できないこと(一般的なカスタマイズの範疇を超えているか汎用モジュール自体が存在していない機能、ビジネスプロセスなど)
●ERPで特に会計、SCM (物流) の機能。会計仕訳や原価計算(加重平均、他)、固定資産管理(償却管理)は無理と考えた方が良い。財務会計(制度会計)、税務会計、管理会計(簡単な予実管理除く)どれも非現実的。倉庫業務のWMSとしても不向き。人、物、金の三代ERP分野で人の管理は所属異動や勤怠管理(ICカードと連携というよりPCから出退勤をクリックさせる方法であれば)何とかSalesforceで作り込めばできることが多いが物と金では管理対象が膨れ上がると難しい。(Commerce Cloud の EC上での在庫表示という意味ではできなくもないが、中規模以上の倉庫内の在庫管理や配送伝票系まで網羅しようとするときつい、市販された別製品(クラウド含め)の方が楽)・・・
ある時点のデータが何であったかのスナップショット機能がない(例えば3月31日時点の締め日のデータが何であったかみたいな話、決算では必須なんですけどね、だからお金や物の管理が無理という話)
●会計にも重なるが、基幹トランザクション処理システム としては不向き。記録方法にもよるが、制限値が厳しいケースが多い。検索結果表示にもタイムアウトの制限があり、運用がままならない。ファンクションキーやショートカットキー、一気にコピペ、リアルタイムのデータチェックのようなオペレーションに慣れていると標準GUIやvisualforceで大量のフィールドに対しデータを入れてチェック(しながら)するのはしんどい。データ変更履歴(Audit Trail)のフィールド数にも制限がある。
https://resources.docs.salesforce.com/206/latest/en-us/sfdc/pdf/salesforce_app_limits_cheatsheet.pdf
や
https://developer.salesforce.com/docs/atlas.en-us.salesforce_app_limits_cheatsheet.meta/salesforce_app_limits_cheatsheet/salesforce_app_limits_platform_api.htm
●保存ボタン押下前のデータ整合性チェックや自動保存、同一データを共有しながらリアルタイム更新/表示はできない (俗にいうGoogle Online SpreadsheetやExcel Onlineのような使い方はできない)
●文字や数字を置き換え、変換させながら出力させるレポートやダッシュボード(入れているデータをそのまま出力させることはできるが、標準のレポート機能で変換させながら出力はできない)、一つの親に対して4つ以上の子を結合させたレポートや、子に対して更に子を結合させるレポートはできない
●CRM/お客様関係の情報と言えども俗にいうWindows共有フォルダ、Google Drive、OneDrive / SharePointなどの置き換えとしては無理(ファイルを添付することはできるが軽量が前提、前述の制限値を参考のこと)・・・ Google Drive / OneDrive / SharePoint では当たり前の画像ファイル検索時のAIの検索は無い(例として花とキーワードを入れた場合に花の写真結果を返す機能)
●CRM/お客様関係の情報と言えどもテレカンや議事録・音声データの自動記録はできない(ChatterをSkype代わりにはできない、いわゆるSNSなので)
●全文検索時の近似検索は一部可能なものはある(大文字小文字など)が、Google検索に代表される近似レベルは期待できない(ひょっとして・・・?といった結果提案はされないので、利用者入力ミスで時々システム管理者を悩ませる)
●(こちらは運用はできるものの開発者を悩ましている問題)一つのSalesforceログインIDで複数のインスタンス(異なるorg)にアクセスできない ・・・ 典型的な問題として開発会社の担当が一つのSalesforceログインで複数の開発先のサイトにシングルサインオンすることはできない(開発しているorgが増えれば増えるほどログインのIDが増えてしまい管理が煩雑、ログイン後にorg選択させれば良いのでは?と思いますが・・・)
スコープを広げたり大規模になると使えないことがある。
特に上限値、制限については一般の企業はお金を追加で払ってどうこうなる話ではないので注意が必要。
アジャイルには確かに向いているが…
複数システムをSalesforceで統合したい、入力箇所をまとめたいといった企業でどこでも一番大きな課題として私が出会しているのは金と物の管理には向いていないというところ。