Elixirで気軽にErlang Term Storage(ETS)を使う #Elixir

はじめに

みなさんErlang Term Storage(ETS)を使ってますか？
依存関係なしでElixirから利用できるので便利ですよね。

確かにETSの関数はちょっとクセがあるので使いにくい面もあります。
そこでElixirのMap風のインターフェイスでETSを使えるようにしたらもっと気軽にできるのではと思い、取り組んでみました。

ETSとは

気軽にETSを使う

最低限これだけあれば気軽にETSを使えます。
あらかじめ名前付きのETSテーブルを作れるようにしておきます。
値の挿入と取得もモジュール経由ででき便利です。

自前のETSモジュールを作る

defmodule MyEts do
  def init, do: :ets.new(__MODULE__, [:set, :named_table])

  def get(key, default \\ nil) do
    case :ets.lookup(__MODULE__, key) do
      [] -> default
      [{_, value} | _] -> value
    end
  end

  def put(key, value), do: :ets.insert(__MODULE__, [{key, value}])

  def delete(key), do: :ets.delete(__MODULE__, key)
end

テーブルを作る

MyEts.init()

テーブルに値を挿入

MyEts.put(:feeling, "awesome")

テーブルから値を取得

MyEts.get(:feeling)

テーブルから値を削除

MyEts.delete(:feeling)

その他の関数

Erlangの公式ドキュメントにリストアップされています。
Elixir Schoolにもサンプルコードがいくつか紹介されています。
個人的にはselect系の関数が興味深いです。

db = :ets.new(:example_db, [:set, :named_table])
for i <- 0..9, do: :ets.insert(db, [{i, i**2}])

# キーの範囲を指定して複数の値を取得
match_spec = :ets.fun2ms(fn { key, value } when key in 3..5 -> value end)
:ets.select(db, match_spec)

Match Spec

Match Specと呼ばれるErlang独自のクエリ言語で検索できる仕組みがあります。
Match Specは自力で書いてもいいのですが、:ets.fun2ms/1関数（もしくはex2msというHexパッケージが提供するEx2ms.fun/1マクロ）が便利です。
ややこしいですが、慣れると楽しめそうです。

Erlangの:ets.fun2ms/1はElixirで使うとたまに謎のコンパイル関連エラーが出て怖いのでElixir用のex2msパッケージを使うと無難そうです。

# :ets.fun2ms(fn { key, value } when key in 3..5 -> value end)
[
  {{:"$1", :"$2"},
   [
     {:andalso, {:is_integer, :"$1"},
      {:andalso, {:>=, :"$1", 3}, {:"=<", :"$1", 5}}}
   ], [:"$2"]}
]

一例としてex_ratedというHexパッケージでは、ある条件で古いデータを消去する目的でMatch Specを使ってます。

エラー

Erlang特有のわかりにくいエラーメッセージが出ることがあります。

# 2回同じ名前のテーブルを生成した場合に出るエラー
iex> :ets.new(:example_table, [:set, :named_table])
:example_table

iex> :ets.new(:example_table, [:set, :named_table])
** (ArgumentError) errors were found at the given arguments:

  * 2nd argument: invalid options

    (stdlib 4.0.1) :ets.new(:example_table, [:set, :named_table])
    iex:2: (file)

DETS

ETSがインメモリのデータストレージであるのに対して、DETSはディスクベースのストレージです。
関数はETSと似ています。
ディスクベースなのでデータベースファイルを開いて、使用後に閉じる必要があります。

@zacky1972先生のvarious_map

さらに@zacky1972先生がさまざまなMapの実装をされています。

さいごに

Elixirを楽しみましょう！

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