はじめに
以下の記事にて、BIツールとはどのようなものなのかをご紹介させていただきました。
今回は、BIツールで作成したグラフを用いてデータ分析をするまでの工程を、簡単にですが記事にします。
※必ずこの工程でやる!というわけではないので、あくまで参考程度にご覧ください
どのような工程があるのか
私が経験してきた中では、以下のような工程が主になります。
- 要件整理
- データ収集
- データ加工★
- ダッシュボード(グラフや表)作成★
- データ分析(+今後のアクション検討)
★がBIツールを使用した工程となります。
"3. データ加工"は製品によってBIツールと呼ぶか異なってきますが、今回はBIツールとしてご紹介させていただきます。
"意外と段階がある"とタイトルでも述べた通り、グラフ作成をするだけではデータ分析をするにあたって正確なデータを見ることはできません。
「BIツールを使用してデータを可視化する目的は何だろう?」
「今あるデータで得たい情報は得られるのか?」
他にもあるのですが、考えるべきことはいろいろあるんです。
1. 要件整理
最低限整理しておくべき項目は以下です。
- 導入の目的
- どのようなデータを使用するか
- どのようなグラフを作成するか
- どのように分析して次のアクションに繋げるか
ある程度どころがかなり綿密に固めないと、本来の目的を見失ってしまう大事な工程です。
本当に侮ってはいけません。
- 最終的になにを"実現したい"のか?
→「毎年、売上を前年より上げたい」 - "実現したい"ことに必要なのはどのようなデータ?
→「今年度の売上高、前年度の売上高」 - どのようなグラフで表現し分析したら、"実現したい"ことへ繋げるために必要な情報を得られるか?
→「前年度と比較できる月ごとの売上高+今年度内の確認時点での売上高と前年度の売上高」
→「月ごとに数字を追って、前年度より売上が著しくない場合は早急に改善策を検討できるようにする」
お気づきの方は、この解像度では不十分だとお分かりになるかと思います。
実際に運用してみないとわからないこともありますが、洗い出した要件が本当に分析するのに足りているのか、何度も確認するべきだと思っています。
今回は工程のお話なのでここの詳細は割愛しますが、大変さが伝わったら幸いです。
冒頭にも掲載した別記事にて、"BIツールを導入することを目的としてはいけない"と述べました。
明確な用途を持つことに加え、その用途に対する適切なデータやグラフの検討も必要です。
BIツールが"データを可視化し、現状の把握と課題解決の手助けをしてくれるツール"とはいえ、事前準備がどれだけできているかで、ダッシュボード作成の工程への影響が左右します。
2. データ収集
要件が固まったら、グラフのインプットとなるデータを用意します。
集めるだけでいいと思いつつ、ここでデータが足りないことに気づくことも多いです。
「社員の在籍年数がほしいのに入社日のデータがない!」
「テーブル①に、テーブル②から部署名を引っ張ってきたいのにキーがない!」
どういうデータを可視化したいかが先行し、今あるデータの確認にまで手が届いていないということになりがちです。
後続の作業で気づくこともしばしば。。
手戻りになってしまうため、この段階で足りないデータを発見しておくことをおすすめします。
3. データ加工
必要なデータが集められたら、それらのデータを"よく見る"必要があります。
「データをよく見るってどういうこと?」と思われるかもしれませんが、かなり重要なことです。
蓄積されているデータの中に、"欠損値(※1)"や"外れ値(※2)"が存在していることがあります。
※1:入力されていない値
※2:同じカラムの中で極端に離れた値
それらが意図的でない場合データを適切な値に修正しないと、正しい分析結果が得られません。
さらに、複数のデータベースやテーブルから情報を取得する場合には、データを結合するなどの処理が必要になります。
そこで活用できるのが、"ETLツール"です。
データ収集の"Extract"、加工の"Transform"、送出の"Load"の頭文字を取り"ETL"と呼ばれており、製品によってはダッシュボードを作成するBIツールに含めて称することもあります。
簡単に言うと、データクレンジングツールです。
直感的に操作できる製品が多いのでほぼノーコードで完結できることもありますが、複雑な処理になるとJavaやSQLなどの言語をごりごりに使用する場合もあります。
年月日"2024/3/25"から年月"2024/3"を取得するなど、あるデータを自由に加工できます。
4. ダッシュボード(グラフや表)作成
使用したいデータが用意できたら、いよいよBIツールを使用してグラフ化しダッシュボード作成に入ります。
ここでもほぼノーコードでいけることもあれば、言語を駆使することもあります。
"1. 要件整理"で、どのようなグラフで可視化するのか決まっていたらあとは実現するだけです。
と言いたいところですが、ここでも意外とつまずきます。
理想のグラフ像があったとしても、BIツールはそれらすべてを実現できるわけではありません。
「円グラフの凡例の文字色を変えたい」
「棒グラフの目盛幅を特定の値に指定したい」
このくらいであればどのBIツールでも可能だと思いますが、複雑なグラフ構成にしたいとなると不可能と判断することもあります。
もともとBIツールの使用経験がある場合は、要件整理の段階で実現可否をぱっと判断できるのですが、まあ難しいです。。
しかも製品によって仕様がもちろん異なるので、一旦は"実現可否検討"を挟みます。
試行錯誤して、理想の形ができた時の達成感は半端じゃありません。
5. データ分析(+今後のアクション検討)
作成したダッシュボード(グラフや表)を用いて、実際にデータを可視化し分析します。
ここまできたら前工程は完了。。というわけにもいきません。
必ずと言っていいほどこの段階で、データ分析をするにあたって足りない要素が出てきます。
「社員情報を把握するのに、棒グラフは適していなさそう」
「グラフの目盛が見えにくいから、売上が好調なのか低迷なのかわからない」
新規で作成し運用すると改修すべき点が見えてくるので、再度要件整理に戻るか、簡単な修正程度であればダッシュボードの改修に入ります。
実際のデータ分析や今後のアクション検討に関しても、未経験の方は最初は苦戦するかもしれません。
何をすべきかわからない、となってしまうかもしれませんが、要件整理で確定した目的を振り返りデータと向き合う時間をかけると、次第に見るべきポイントがわかりアイデアが生まれます。
最後に
今回は、BIツールでデータ分析する際の一連の流れについてご紹介いたしました。
BIツールを使用するだけでなく、実際のデータ分析も含めてやってみると非常に面白いので、ご興味を持ってくださった方はもう一歩踏み込んでいただけたら知見が広がります!
最後までお読みいただき、ありがとうございました