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Python で DAW 用の VST プラグインを呼び出して MIDI データから WAV ファイルを生成する (dawdreamer)

Last updated at Posted at 2023-05-04

やること

  • python のプログラムだけで、SMF (some.midみたいなファイル) から、音声として再生可能なsome.wav ファイルを生成します。

  • この変換のときに DAW で使える VST プラグイン(サンプラーやシンセサイザ)を、ソフトウェア音源として使います。

変換には DawDreamer ライブラリを使います。

Windows 11 / Mac で動きました。

準備

ライブラリのインストール

python は 3.10 を使います。3.9 以下だと動かないプラグインがありました。

あとは必要なライブラリヲインストールします。

$ pip install dawdreamer numpy scipy

numpy / scipy の代わりに torch / torchaudio でもいけます。

プラグインの用意

適当な VST プラグインを用意します。下のコードでは Native Instruments のシンセサイザの Massive を使っています。

コード

vst.py
import dawdreamer as daw
import numpy as np
from scipy.io import wavfile

SAMPLE_RATE = 44100
BUFFER_SIZE = 128

SYNTH_PLUGIN = "C:/Program Files/Common Files/VST3/Massive.vst3" # for windows
#SYNTH_PLUGIN = "/Library/Audio/Plug-Ins/VST3/Massive.vst3" # for mac
MIDI_PATH = "./sample.mid"
OUTPUT = "./massive.wav"

engine = daw.RenderEngine(SAMPLE_RATE, BUFFER_SIZE)
synth = engine.make_plugin_processor("Massive", SYNTH_PLUGIN)
assert synth.get_name() == "Massive"

synth.open_editor()
synth.save_state('./massive.state')

synth.load_midi(MIDI_PATH, clear_previous=True, beats=False, all_events=True)

graph = [
  (synth, []),
]

engine.load_graph(graph)
engine.render(8) # WAVに出力する秒数を指定。無指定ではエラーになる。
output = engine.get_audio()

wavfile.write(OUTPUT, SAMPLE_RATE, output.transpose())

上記コードを実行すると、シンセサイザのウィンドウが開きます。そのウィンドウ上でプリセットを読み込んだり、パラメータをいじったりしてからウィンドウを閉じると、その設定の状態で mid ファイルの中身を演奏(レンダリング)した wav ファイルが出力されます。

毎回ウィンドウひらくのが面倒な場合は、state ファイルをロードさせることもできます。

vst.py
#synth.open_editor()
#synth.save_state('./massive.state')
synth.load_state('./massive.state') # これで設定をロードできる

プラグインいろいろ

プラグインによって、うまく動かなかったり、出力ファイルが再生できないとかあったので、メモしておきます。

エフェクタは試していません。

Mac の場合

  • ◎ Massive: 問題なく動く
  • ◎ Battery 4: 問題なく動く
  • ◎ BFD3: 問題なく動く
  • ◎ Addictive Keys: 問題なく動く
  • 〇 Massive X: コンソールにエラーが大量に出るが、wav は正常に出力される。
  • 〇 Loopcloud: ウィンドウは開くので多分いける(サブスクリプションが切れてて試せなかった)
  • △ Komplete Kontrol: Instruments, Loops, One-shots のいずれも動く。ただし、Windows 版の Komplete Kontrol と同じ問題が起こる(後述)。
  • △ Kontakt 6 Player: 動く。ただし、Windows 版の Komplete Kontrol と同じ問題が起こる(後述)。
  • △ Synthesizer V: ウィンドウが開くので、UI上で音符を入力すると wav は出力される。ただし、入力した譜面の最初の1音しか出力されない(気がする)。
  • × Kontakt 7: ウィンドウが開かない(使えない)。 python のバージョンを 3.10 にしたら動きました。3.9 では動きませんでした。

Windows の場合

  • ◎ Massive: 問題なく動く
  • ◎ Battery 4: 問題なく動く
  • 〇 Massive X: コンソールにエラーが大量に出るが、wav は正常に出力される。
  • △ Komplete Kontrol: Instruments, Loops, One-shots のいずれも使える。ただし、出力されたファイルが 32 ch になってしまい、そのままでは再生できない。後述する方法でチャンネル数を2に減らす必要がある。
  • × Kontakt 7: ウィンドウは開くが、Instruments の読み込みのときにフリーズしてしまう(使えない) ← Kontakt のライブラリの表示モードを Instruments Rack にしたら問題なく動きました。Content Browser モードだとフリーズすることがあるようです。

image.png

見た目が上のように、左側に instruments が縦に表示されるモードのことです。KONTAKT 7 というロゴのすぐ右側にある、本みたいなアイコンを押すと切り替えられます。

Komplete Kontrol / Kontakt 6 Player への対応

プラグインを呼び出すときにチャンネル数を 2 に指定できればいいのだけど、やり方が分かりませんでした。出力されたデータ側を修正することで、一応対応はできます。

komplete_kontrol.py
wavfile.write(OUTPUT, SAMPLE_RATE, output[0:2,:].transpose())

出力されたデータを見ると、3 チャネル以降には何もデータが入っていない(無音)状態になっていました。なので、単純に最初の2チャンネルだけ取り出しています。これで一応いけてました。

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