応用情報技術者試験(以下、応用情報と呼びます)は、基本情報技術者試験の上位に位置する試験で、より高度なIT知識とスキルを持っていることを証明する国家試験です。ここでは 22 歳の若手社員向けに応用情報の概要を説明します。
応用情報を受検する目的
応用情報を受検するメリットを3つ挙げます。
高度な知識とスキルの習得
応用情報では、基本情報技術者試験の内容に加え、さらに高度なIT知識やスキルが求められます。これにより、より専門的な知識を身につけることができます。
キャリアアップの足がかり
応用情報は、IT業界でのキャリアアップに非常に有利です。高度な知識とスキルを証明することで、将来的にリーダーシップを発揮するポジションに就く可能性が高まります。
問題解決能力の向上
応用情報の勉強を通じて、複雑な問題を解決するための高度な分析力や設計力が身につきます。これらのスキルは、どんな分野でも役立ちます。
応用情報技術者試験の受験方法
応用情報は春期(4月)と秋期(10月)の年2回実施されます。問題用紙と解答用紙を使った一般的な試験方法で実施されます。
具体的な申し込み方法は、試験実施団体である情報処理推進機構(IPA)のホームページよりご確認ください。
応用情報の出題範囲
応用情報は出題範囲が広いことで知られています。出題内容は知識を問う「午前の問題」と技能を問う「午後の問題」に分けられます。
試験区分 | 科目名 | 試験時間 | 出題数 | 出題形式 | 合格点 | 配点 |
---|---|---|---|---|---|---|
応用情報技術者試験 | 午前 | 150分 | 80問 | 四肢択一 | 60点 | 100点 |
応用情報技術者試験 | 午後 | 150分 | 11問 | 記述式 | 60点 | 100点 |
午前の出題範囲
午前の問題はテクノロジ、マネジメント、ストラテジ分野の応用的な知識を問う問題が 80 問出題されます。
テクノロジ分野
1 基礎理論
1 離散数学
2進数,基数,数値表現,演算精度,集合,ベン図,論理演算,命題など
2 応用数学
確率・統計,数値解析,数式処理,グラフ理論,待ち行列理論など
3 情報に関する理論
符号理論,述語論理,オートマトン,形式言語,計算量,AI(人工知能),機械学習,ディープラーニング(深層学習),ディープラーニングの応用,コンパイラ理論,プログラミング言語論・意味論など
4 通信に関する理論
伝送理論(伝送路,変復調方式,多重化方式,誤り検出・訂正,信号同期方式ほか)など
5 計測・制御に関する理論
信号処理,フィードバック制御,フィードフォワード制御,応答特性,制御安定性,各種制御,センサー・アクチュエーターの種類と動作特性など
2 アルゴリズムとプログラミング
1 データ構造
スタックとキュー,リスト,配列,木構造,2分木など
2 アルゴリズム
整列,併合,探索,再帰,文字列処理,自然言語処理,流れ図の理解,アルゴリズム設計など
3 プログラミング
既存言語を用いたプログラミング(プログラミング作法,プログラム構造,データ型,文法の表記法ほか)など
4 プログラム言語
プログラム言語(アセンブラ言語,C,C++,COBOL,Java),ECMAScript,Ruby,Perl,PHP,Pythonほか)の種類と特徴,共通言語基盤(CLI)など
5 その他の言語
マークアップ言語(HTML,XMLほか)の種類と特徴,データ記述言語(DDL)など
3 コンピュータ構成要素
1 プロセッサ
コンピュータ及びプロセッサの種類,構成・動作原理,割込み,性能と特性,構造と方式,RISCとCISC,命令とアドレッシング,マルチコアプロセッサなど
2 メモリ
メモリの種類と特徴,メモリシステムの構成と記憶階層(キャッシュ,主記憶,補助記憶ほか),アクセス方式,RAMファイル,メモリの容量と性能,記録媒体の種類と特徴など
3 バス
バスの種類と特徴,バスのシステムの構成,バスの制御方式,バスのアクセスモード,バスの容量と性能など
4 入出力デバイス
入出力デバイスの種類と特徴,入出力インタフェース,デバイスドライバ,デバイスとの同期,アナログ・デジタル変換,DMAなど
5 入出力装置
入力装置,出力装置,表示装置,補助記憶装置・記憶媒体,通信制御装置,駆動装置,撮像装置など
4 システム構成要素
1 システムの構成
システムの処理形態,システムの利用形態,システムの適用領域,仮想化,クライアントサーバシステム,Webシステム,シンクライアントシステム,フォールトトレラントシステム,RAID,NAS,SAN,ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC),クラウドコンピューティング,クラスタなど
2 システムの評価指標
システムの性能指標,システムの性能特性と評価,システムの信頼性・経済性の意義と目的,信頼性計算,信頼性指標,信頼性特性と評価,経済性の評価,キャパシティプランニングなど
5 ソフトウェア
1 オペレーティングシステム
OSの種類と特徴,OSの機能,多重プログラミング,仮想記憶,ジョブ管理,プロセス/タスク管理,データ管理,入出力管理,記憶管理,割込み,ブートストラップなど
2 ミドルウェア
各種ミドルウェア(OSなどのAPI,WebAPI,各種ライブラリ,コンポーネントウェア,シェル,開発フレームワークほか)の役割と機能,ミドルウェアの選択と利用など
3 ファイルシステム
ファイルシステムの種類と特徴,アクセス手法,検索手法,ディレクトリ管理,バックアップ,ファイル編成など
4 開発ツール
設計ツール,構築ツール,ローコード/ノーコードツール,テストツール,言語処理ツール(コンパイラ,インタプリタ,リンカ,ローダほか),エミュレーター,シミュレーター,インサーキットエミュレーター(ICE),ツールチェーン,統合開発環境など
5 オープンソースソフトウェア
OSSの種類と特徴,UNIX系OS,オープンソースコミュニティ,LAMP/LAPP,オープンソースライブラリ,OSSの利用・活用と考慮点(安全性,信頼性ほか),動向など
6 ハードウェア
1 ハードウェア
電気・電子回路,機械・制御,論理設計,構成部品及び要素と実装,半導体素子,システムLSI,SoC(SystemonaChip),FPGA,MEMS,診断プログラム,消費電力など
7 ユーザーインタフェース
1 ユーザーインタフェース技術
情報アーキテクチャ,GUI,音声認識,画像認識,動画認識,特徴抽出,学習機能,インタラクティブシステム,ユーザビリティ,アクセシビリティなど
2 UX/UIデザイン
UXデザイン,情報デザイン,帳票設計,画面設計,コード設計,Webデザイン,人間中心設計,ユニバーサルデザイン,ユーザビリティ評価など
8 情報メディア
1 マルチメディア技術
オーサリング環境,音声処理,静止画処理,動画処理,メディア統合,圧縮・伸長,MPEGなど
2 マルチメディア応用
色の表現(色相,明度,彩度ほか),画像の品質(画素,解像度ほか),グラフィックスソフトウェア,CG(ComputerGraphics),XR(クロスリアリティ),メタバース,メディア応用,モーションキャプチャなど
9 データベース
1 データベース方式
データベースの種類と特徴,データベースのモデル,DBMSなど
2 データベース設計
データ分析,メタデータ,データベースの論理設計,データの正規化,データベースのパフォーマンス設計,データベースの物理設計など
3 データ操作
データベースの操作,データベースを操作するための言語(SQLほか),関係代数など
4 トランザクション処理
排他制御,リカバリ処理,トランザクション管理,データベースの性能向上,データへのアクセス制御など
5 データベース応用
データウェアハウス,データマイニング,分散データベース,リポジトリ,ビッグデータなど
10 ネットワーク
1 ネットワーク方式
ネットワークの種類と特徴(WAN/LAN,有線・無線,センサーネットワークほか),インターネット技術,回線に関する計算,パケット交換網,QoS,RADIUSなど
2 データ通信と制御
伝送方式と回線,LAN間接続装置,回線接続装置,電力線通信(PLC),OSI基本参照モデル,メディアアクセス制御(MAC),データリンク制御,ルーティング制御,フロー制御など
3 通信プロトコル
プロトコルとインタフェース,TCP/IP,HDLC,CORBA,HTTP,DNS,SOAP,IPv6など
4 ネットワーク管理
ネットワーク仮想化(SDN,NFVほか),ネットワーク運用管理(SNMP),障害管理,性能管理,トラフィック監視など
5 ネットワーク応用
インターネット,イントラネット,エクストラネット,ネットワークOS,通信サービス,LTE,5G,モバイル通信技術など
11 セキュリティ
1 情報セキュリティ
情報の機密性・完全性・可用性,多層防御,脅威,マルウェア・不正プログラム,脆弱性,不正のメカニズム,攻撃者の種類・動機,サイバー攻撃(SQLインジェクション,クロスサイトスクリプティング,DoS攻撃,フィッシング,パスワードリスト攻撃,標的型攻撃,AIを悪用した攻撃ほか),暗号技術(共通鍵,公開鍵,秘密鍵,RSA,AES,ハイブリッド暗号,ハッシュ関数ほか),認証技術(デジタル署名,メッセージ認証,タイムスタンプほか),利用者認証(利用者ID・パスワード,多要素認証,パスワードレス認証,アイデンティティ連携(OpenID,SAML)ほか),生体認証技術,公開鍵基盤(PKI,認証局,デジタル証明書ほか),政府認証基盤(GPKI,ブリッジ認証局ほか)など
2 情報セキュリティ管理
情報資産とリスクの概要,情報資産の調査・分類,リスクの種類,情報セキュリティリスクアセスメント及びリスク対応,情報セキュリティ継続,情報セキュリティ諸規程(情報セキュリティポリシーを含む組織内規程),ISMS,情報セキュリティ管理策(組織的管理策,人的管理策,物理的管理策,技術的管理策),情報セキュリティ組織・機関(CSIRT,SOC(SecurityOperationCenter),エシカルハッカーほか),コンピュータ不正アクセス対策基準,コンピュータウイルス対策基準,PCIDSSなど
3 セキュリティ技術評価
ISO/IEC15408(コモンクライテリア),JISEC(ITセキュリティ評価及び認証制度),JCMVP(暗号モジュール試験及び認証制度),CVSS,脆弱性検査,ペネトレーションテストなど
4 情報セキュリティ対策
情報セキュリティ啓発(教育,訓練ほか),組織における内部不正防止ガイドライン,マルウェア・不正プログラム対策,ランサムウェア対策,不正アクセス対策,情報漏えい対策,アカウント管理,ログ管理,脆弱性管理,入退室管理,アクセス制御,侵入検知/侵入防止,検疫ネットワーク,携帯端末(携帯電話,スマートフォン,タブレット端末ほか)のセキュリティ,クラウドサービスのセキュリティ,IoTのセキュリティ,AIを使ったセキュリティ技術,AIそのものを守るセキュリティ技術,セキュリティ製品・サービス(ファイアウォール,WAF,DLP,SIEMほか),デジタルフォレンジックスなど
5 セキュリティ実装技術
セキュアプロトコル(IPsec,SSL/TLS,SSH,WPA3ほか),認証・認可技術(SPF,DKIM,SMTP-AUTH,OAuth,DNSSECほか),セキュアOS,ネットワークセキュリティ,データベースセキュリティ,アプリケーションセキュリティ,コンテナセキュリティ,セキュアプログラミングなど
12 システム開発技術
1 システム要件定義・ソフトウェア要件定義
システム要件定義(機能,境界,能力,業務・組織及び利用者の要件,設計及び実装の制約条件,適格性確認要件ほか),システム要件の評価,ソフトウェア要件定義(機能,境界,能力,インタフェース,業務モデル,データモデルほか),ソフトウェア要件の評価,UXを考慮した要件の定義など
2 設計
システム設計(ハードウェア・ソフトウェア・サービス・手作業の機能分割,ハードウェア構成決定,ソフトウェア構成決定,システム処理方式決定,データベース方式決定ほか),システム統合テストの設計,アーキテクチャ及びシステム要素の評価,ソフトウェア設計(ソフトウェア構造とソフトウェア要素の設計ほか),インタフェース設計,UXデザイン,ソフトウェアユニットのテストの設計,ソフトウェア統合テストの設計,ソフトウェア要素の評価,ソフトウェア品質,レビュー,ソフトウェア設計手法(プロセス中心設計,データ中心設計,構造化設計,オブジェクト指向設計ほか),モジュールの設計,部品化と再利用,アーキテクチャパターン,デザインパターンなど
3 実装・構築
ソフトウェアユニットの作成,コーディング標準,コーディング支援手法,コードレビュー,メトリクス計測,デバッグ,テスト手法,テスト準備(テスト環境,テストデータほか),テストの実施,テスト結果の評価など
4 統合・テスト
統合テスト計画,統合テストの準備(テスト環境,テストデータほか),統合テストの実施,検証テストの実施,統合及び検証テスト結果の評価,チューニング,テストの種類(機能テスト,非機能要件テスト,性能テスト,負荷テスト,セキュリティテスト,回帰テストほか)など
5 導入・受入れ支援
導入計画の作成,導入の実施,受入れレビューと受入れテスト,納入と受入れ,教育訓練,利用者用文書類,妥当性確認テストの実施,妥当性確認テストの結果の管理など
6 保守・廃棄
保守の形態,保守の手順,廃棄など
13 ソフトウェア開発管理技術
1 開発プロセス・手法
ソフトウェア開発モデル,アジャイル開発,DevOps,ローコード/ノーコード開発,ソフトウェア再利用,リバースエンジニアリング,マッシュアップ,構造化手法,形式手法,ソフトウェアライフサイクルプロセス(SLCP),プロセス成熟度など
2 知的財産適用管理
著作権管理,特許管理,保管管理,技術的保護(コピーガード,DRM,アクティベーションほか)など
3 開発環境管理
開発環境稼働状況管理,開発環境構築,設計データ管理,ツール管理,ライセンス管理など
4 構成管理・変更管理
構成識別体系の確立,変更管理,構成状況の記録,品目の完全性保証,リリース管理及び出荷など
プロジェクトマネジメント分野
14 プロジェクトマネジメント
1 プロジェクトマネジメント
プロジェクト,プロジェクトマネジメント,プロジェクトの環境,プロジェクトガバナンス,プロジェクトライフサイクル,プロジェクトの制約,テーラリングなど
2 プロジェクトの統合
プロジェクト憲章の作成,プロジェクト全体計画(プロジェクト計画及びプロジェクトマネジメント計画)の作成,プロジェクト作業の指揮,プロジェクト作業の管理,変更の管理,プロジェクトフェーズ又はプロジェクトの終結,得た教訓の収集など
3 プロジェクトのステークホルダ
ステークホルダの特定,ステークホルダのマネジメントなど
4 プロジェクトのスコープ
スコープの定義,WBSの作成,活動の定義,スコープの管理など
5 プロジェクトの資源
プロジェクトチームの編成,資源の見積り,プロジェクト組織の定義,プロジェクトチームの開発,資源の管理,プロジェクトチームのマネジメントなど
6 プロジェクトの時間
活動の順序付け,活動期間の見積り,スケジュールの作成,スケジュールの管理など
7 プロジェクトのコスト
コストの見積り,予算の作成,コストの管理など
8 プロジェクトのリスク
リスクの特定,リスクの評価,リスクへの対応,リスクの管理など
9 プロジェクトの品質
品質の計画,品質保証の遂行,品質管理の遂行など
10 プロジェクトの調達
調達の計画,供給者の選定,調達の運営管理など
11 プロジェクトのコミュニケーション
コミュニケーションの計画,情報の配布,コミュニケーションのマネジメントなど
15 サービスマネジメント
1 サービスマネジメント
サービスマネジメント,サービスマネジメントシステム,サービス,サービスライフサイクル,ITIL2),サービスの要求事項,サービスレベル合意書(SLA),サービス及びサービスマネジメントシステムのパフォーマンス,顧客,サービス提供者など
2 サービスマネジメントシステムの計画及び運用
サービスマネジメントシステムの計画,サービスマネジメントシステムの支援(文書化した情報,知識ほか),サービスポートフォリオ(サービスの提供,サービスの計画,サービスライフサイクルに関与する関係者の管理,サービスカタログ管理,資産管理,構成管理),関係及び合意(事業関係管理,サービスレベル管理,供給者管理),供給及び需要(サービスの予算業務及び会計業務,需要管理,容量・能力管理),サービスの設計・構築・移行(変更管理,サービスの設計及び移行,リリース及び展開管理),解決及び実現(インシデント管理,サービス要求管理,問題管理),サービス保証(サービス可用性管理,サービス継続管理)など
3 パフォーマンス評価及び改善
パフォーマンス評価(監視・測定・分析・評価,内部監査,マネジメントレビュー,サービスの報告),改善(不適合及び是正処置,継続的改善)など
4 サービスの運用
システム運用管理,運用オペレーション,サービスデスク,運用の資源管理,システムの監視と操作,スケジュール設計,運用支援ツール(監視ツール,診断ツールほか)など
5 ファシリティマネジメント
設備管理(電気設備・空調設備ほか),施設管理,施設・設備の維持保全,環境側面など
16 システム監査
1 システム監査
システム監査の体制整備,監査人の倫理,監査の独立性と客観性の保持,監査の能力及び正当な注意と秘密の保持,システム監査の計画・実施・報告・フォローアップ,システム監査基準,システム監査技法,監査証拠,監査調書,情報セキュリティ監査,監査による保証又は助言など
2 内部統制
内部統制の意義と目的,内部統制の限界,内部統制報告制度,ITへの対応(IT環境への対応,ITの利用,ITに係る全般統制,ITに係る業務処理統制),CSA(統制自己評価)など
ストラテジ分野
17 システム戦略
1 情報システム戦略
情報システム戦略の意義と目的,情報システム戦略の方針及び目標設定,情報システム化基本計画,情報システム戦略遂行のための組織体制,情報システム投資計画,ビジネスモデル,業務モデル,情報システムモデル,エンタープライズアーキテクチャ(EA),プログラムマネジメント,システムオーナー,データオーナー,プロセスフレームワーク,コントロールフレームワーク,品質統制(品質統制フレームワーク),情報システム戦略評価,情報システム戦略実行マネジメント,IT投資マネジメント,IT経営力指標など
2 業務プロセス
BPR,業務分析,業務改善,業務設計,ビジネスプロセスマネジメント(BPM),BPO,オフショア,SFAなど
3 ソリューションビジネス
ソリューションビジネスの種類とサービス形態,業務パッケージ,問題解決支援,ASP,SOA,クラウドサービス(SaaS,PaaS,IaaSほか)など
4 システム活用促進・評価
デジタルリテラシー,普及啓発,人材育成計画,システム利用実態の評価・検証,デジタルディバイド,システム廃棄など
18 システム企画
1 システム化計画
システム化構想,システム化基本方針,全体開発スケジュール,プロジェクト推進体制,要員教育計画,開発投資対効果,投資の意思決定法(PBP,DCF法ほか),ITポートフォリオ,システムライフサイクル,情報システム導入リスク分析など
2 要件定義
要求分析,ユーザーニーズ調査,現状分析,課題定義,要件定義手法,業務要件定義,機能要件定義,非機能要件定義,利害関係者要件の確認,情報システム戦略との整合性検証など
3 調達計画・実施
調達計画,調達の要求事項,調達の条件,提案依頼書(RFP),提案評価基準,見積書,提案書,調達選定,調達リスク分析,内外作基準,ソフトウェア資産管理,ソフトウェアのサプライチェーンマネジメントなど
19 経営戦略マネジメント
1 経営戦略手法
競争戦略,差別化戦略,ブルーオーシャン戦略,ESG投資,コアコンピタンス,M&A,エコシステム,アライアンス,グループ経営,企業理念,SWOT分析,VRIO分析,PPM,バリューチェーン分析,成長マトリクス,アウトソーシング,シェアードサービス,インキュベーターなど
2 マーケティング
マーケティング理論,マーケティング手法,マーケティング分析,バリュープロポジション,マーケティングミックス,デザイン思考,CXデザイン,サービスデザイン,ライフタイムバリュー(LTV),消費者行動モデル,製品戦略,製品ライフサイクル,Webマーケティング戦略,ブランド戦略,価格戦略など
3 ビジネス戦略と目標・評価
ビジネス戦略立案,ビジネス環境分析,ニーズ・ウォンツ分析,競合分析,PEST分析,戦略目標,CSF,KPI,KGI,バランススコアカードなど
4 経営管理システム
CRM,SCM,ERP,意思決定支援,ナレッジマネジメント,企業内情報ポータル(EIP)など
20 技術戦略マネジメント
1 技術開発戦略の立案
製品動向,技術動向,成功事例,発想法,コア技術,技術研究,技術獲得,技術供与,技術提携,技術経営(MOT),産学官連携,標準化戦略など
2 技術開発計画
技術開発投資計画,技術開発拠点計画,人材計画,技術ロードマップ,製品応用ロードマップ,特許取得ロードマップなど
21 ビジネスインダストリ
1 ビジネスシステム
流通情報システム,物流情報システム,公共情報システム,医療情報システム,金融情報システム,電子政府,POSシステム,XBRL,スマートグリッド,Web会議システム,IoT,AI利活用の原則及び指針,人間中心のAI社会原則,AIの活用領域及び活用目的,AIによる認識,AIによる自動化,生成AI,AIを利活用する上での留意事項,説明可能なAI,ハルシネーションなど
2 エンジニアリングシステム
エンジニアリングシステムの意義と目的,生産管理システム,MRP,PDM,CAEなど
3 e-ビジネス
EC(BtoB,BtoCなどの電子商取引),電子商取引の留意事項,電子決済システム,デジタル通貨,EDI,ICカード・RFID応用システム,ソーシャルメディア(SNS,ミニブログほか),ロングテールなど
4 民生機器
AV機器,家電機器,個人用情報機器(携帯電話,スマートフォン,タブレット端末ほか),教育・娯楽機器,コンピュータ周辺/OA機器,業務用端末機器,民生用通信端末機器など
5 産業機器
通信設備機器,運輸機器/建設機器,工業制御/FA機器/産業機器,設備機器,医療機器,分析機器・計測機器,スマートファクトリー,スマート農業,ロボット,MaaS,自動車制御システムなど
22 企業活動
1 経営・組織論
経営管理,PDCA,経営組織(事業部制,カンパニー制,CIO,CEOほか),コーポレートガバナンス,CSR,IR,コーポレートアイデンティティ,グリーンIT,ヒューマンリソース(OJT,目標管理,ケーススタディ,裁量労働制ほか),行動科学(リーダーシップ,コミュニケーション,テクニカルライティング,プレゼンテーション,ネゴシエーション,モチベーションほか),TQM,リスクマネジメント,BCP,株式公開(IPO),社会におけるIT利活用の動向(デジタルトランスフォーメーション(DX),カーボンニュートラル,データ駆動社会ほか)など
2 業務分析・データ利活用
線形計画法,在庫問題,PERT/CPM,ゲーム理論,IE分析手法,検査手法,品質管理手法,データ利活用,データの収集,データの種類・特徴,データの加工・分析,特徴量エンジニアリング,データサイエンス,データ分析における統計的手法,データの可視化,モデル化,シミュレーション,データ同化,統計的バイアス,認知バイアスなど
3 会計・財務
財務会計,管理会計,会計基準,財務諸表,連結会計,減価償却,損益分岐点,財務指標,原価,リースとレンタル,資金計画と資金管理,資産管理,経済性計算,IFRSなど
23 法務
1 知的財産権
著作権法,産業財産権法,不正競争防止法(営業秘密ほか)など
2 セキュリティ関連法規
サイバーセキュリティ基本法,不正アクセス禁止法,刑法(ウイルス作成罪ほか),個人情報保護法,特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン,プロバイダ責任制限法,特定電子メール法など
3 労働関連・取引関連法規
労働基準法,労働関連法規,外部委託契約,ソフトウェア契約,ライセンス契約,OSSライセンス(GPL,BSDライセンスほか),パブリックドメイン,クリエイティブコモンズ,守秘契約(NDA),下請法,労働者派遣法,民法,商法,公益通報者保護法,特定商取引法など
4 その他の法律・ガイドライン・技術者倫理
コンプライアンス,情報公開,電気通信事業法,ネットワーク関連法規,会社法,金融商品取引法,環境関連法,産業機器関連法,各種税法,輸出関連法規,システム管理基準,ソフトウェア管理ガイドライン,情報倫理,技術者倫理,プロフェッショナリズムなど
5 標準化関連
JIS,ISO,IEEEなどの関連機構の役割,標準化団体,国際認証の枠組み(認定/認証/試験機関),各種コード(文字コードほか),JISQ15001,ISO9000,ISO14000など
午後の出題範囲
午後の問題は 13 の分野の内、11 問出題され、そのうち 5 問を選択して解答します。問 1 の情報セキュリティは必須解答問題、問 2 ~ 11 は選択解答問題です。
番号 | 分野 | 問 1 | 問 2 ~ 11 |
---|---|---|---|
1 | 経営戦略 | - | 〇 |
2 | 情報戦略 | - | 〇 |
3 | 戦略立案・コンサルティング技法 | - | 〇 |
4 | システムアーキテクチャ | - | 〇 |
5 | ネットワーク | - | 〇 |
6 | データベース | - | 〇 |
7 | 組込みシステム開発 | - | 〇 |
8 | 情報システム開発 | - | 〇 |
9 | プログラミング(アルゴリズム) | - | 〇 |
10 | 情報セキュリティ | ◎ | - |
11 | プロジェクトマネジメント | - | 〇 |
12 | サービスマネジメント | - | 〇 |
13 | システム監査 | - | 〇 |
- | 出題数 | 1 | 10 |
- | 解答数 | 1 | 4 |
1 経営戦略
マーケティング,経営分析,事業戦略・企業戦略,コーポレートファイナンス・事業価値評価,事業継続計画(BCP),会計・財務,リーダーシップ論 など
2 情報戦略
ビジネスモデル,製品戦略,組織運営,アウトソーシング戦略,情報業界の動向,情報技術の動向,国際標準化の動向 など
3 戦略立案・コンサルティングの技法
ロジカルシンキング,プレゼンテーション技法,バランススコアカード・SWOT 分析 など
4 システムアーキテクチャ
方式設計・機能分割,提案依頼書(RFP),要求分析,信頼性・性能,Web 技術(Web サービス・SOA を含む),仮想化技術,主要業種における業務知識,ソフトウェアパッケージ・オープンソースソフトウェアの適用,その他の新技術動向 など
5 サービスマネジメント
サービスマネジメントシステム(構成管理,事業関係管理,サービスレベル管理,供給者管理,サービスの予算業務及び会計業務,容量・能力管理,変更管理,サービスの設計及び移行,リリース及び展開管理,インシデント管理,サービス要求管理,問題管理,サービス可用性管理,サービス継続管理,サービスの報告,継続的改善ほか),サービスの運用(システム運用管理,仮想環境の運用管理,運用オペレーション,サービスデスクほか) など
6 プロジェクトマネジメント
プロジェクト全体計画(プロジェクト計画及びプロジェクトマネジメント計画),スコープの管理,資源の管理,プロジェクトチームのマネジメント,スケジュールの管理,コストの管理,リスクへの対応,リスクの管理,品質管理の遂行,調達の運営管理,コミュニケーションのマネジメント,見積手法 など
7 ネットワーク
ネットワークアーキテクチャ,プロトコル,インターネット,イントラネット,VPN,通信トラフィック,有線・無線通信 など
8 データベース
データモデル,正規化,DBMS,データベース言語(SQL),データベースシステムの運用・保守 など
9 組込みシステム開発
リアルタイムOS・MPU アーキテクチャ,省電力・高信頼設計・メモリ管理,センサー・アクチュエーター,組込みシステムの設計,個別アプリケーション(携帯電話,自動車,家電ほか) など
10 情報システム開発
外部設計,内部設計,テスト計画・テスト,標準化・部品化,開発環境,オブジェクト指向分析(UML),ソフトウェアライフサイクルプロセス(SLCP),個別アプリケーションシステム(ERP,SCM,CRM ほか) など
11 プログラミング(アルゴリズム)
アルゴリズム,データ構造,プログラム作成技術(プログラム言語,マークアップ言語),Web プログラミング など
12 情報セキュリティ
情報セキュリティポリシー,情報セキュリティマネジメント,リスク分析,データベースセキュリティ,ネットワークセキュリティ,アプリケーションセキュリティ,物理的セキュリティ,アクセス管理,暗号・認証,PKI,ファイアウォール,マルウェア対策(コンピュータウイルス,ボット,スパイウェアほか),不正アクセス対策,個人情報保護 など
13 システム監査
IT ガバナンス及びIT 統制と監査,情報システムや組込みシステムの企画・開発・運用・保守・廃棄プロセスの監査,プロジェクト管理の監査,アジャイル開発の監査,外部サービス管理の監査,情報セキュリティ監査,個人情報保護監査,他の監査(会計監査,業務監査,内部統制監査ほか)との連携・調整,システム監査の計画・実施・報告・フォローアップ,システム監査関連法規,システム監査人の倫理 など
問題の例
午前の問題の過去問を「応用情報技術者試験ドットコム」にて無料で見ることができます。
合格率と学習時間
資格予備校の TAC によると、応用情報は偏差値 65 に相当し、独学で合格する場合は200~500時間の学習時間が必要との事です。合格者の平均年齢は28歳です。
試験名 | 合格率 | 勉強時間 |
---|---|---|
応用情報技術者試験 | 20% | 200~500時間 |
参考書
「応用情報技術者 午後問題の重点対策」が有名です。毎年改訂されており、古い版でもよければ古本屋で安く購入できます。
まとめ
この記事では、応用情報技術者試験の概要と出題内容、過去問と参考書を紹介しました。応用情報技術者試験は、専門的なITの知識やスキルを持っていることを証明し、より上位の試験である高度情報処理技術者試験への登竜門といえます。IT業界でのキャリアを本格的にスタートし、将来のキャリアを大きく広げたい方にお勧めします。
参考文献
情報処理推進機構 > 試験要綱 Ver.5.3
https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/gaiyou.html