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ITパスポート試験の出題範囲

Last updated at Posted at 2024-08-07

IT パスポート試験は 情報技術に関する基本的な知識を持っているかどうかを評価する国家試験です。ここでは 18 歳の新入社員向けにITパスポート試験の概要を説明します。

IT パスポート試験を受検する目的

ITパスポート試験を受検するメリットを3つ挙げます。

基本的なIT知識の習得

現代のビジネス環境では、ITの知識は欠かせません。この試験を通じて、業務で必要な基本的なIT知識を体系的に学ぶことができます。

仕事の効率化

ITの基本的な知識を持つことで、日常業務で使用するソフトウェアやシステムをより効果的に活用できるようになります。これにより、業務の効率が向上します。

組織内でのコミュニケーション向上

IT部門とのコミュニケーションがスムーズに行えるようになります。技術的な背景を理解することで、専門用語や技術的な概念についても理解しやすくなります。

IT パスポート試験の受験方法

IT パスポート試験は通年で随時実施されています。コンピュータを用いる方式によって実施されます。

具体的な申し込み方法は、実施団体である情報処理推進機構(IPA)のホームページよりご確認ください。

IT パスポート試験の出題範囲

IT パスポート試験の試験時間は 120 分です。出題数100 問のうち,ストラテジ分野 32 問,マネジメント分野 18 問,テクノロジ分野 42 問, その他点数に影響しない問題が 8 問出題されます。

試験区分 試験時間 出題数 出題形式 合格点 配点
IT パスポート試験 120分 100問 四肢択一 600点 1000点

各分野の出題範囲を次に挙げます。

ストラテジ分野

1 企業と法務

1 企業活動

  • 企業活動や経営管理に関する基本的な考え方
  • 社会におけるIT 利活用の動向
  • 身近な業務を分析し,問題を解決する手法や,PDCA の考え方,作業計画,図表及びグラフによるデータ可視化などの手法
  • データ(ビッグデータを含む)を分析して利活用することによる,業務改善や問題解決の手法
  • 財務諸表,損益分岐点など会計と財務の基本的な考え方

2 法務

  • 知的財産権(著作権法,産業財産権関連法規など),セキュリティ関連法規(サイバーセキュリティ基本法,不正アクセス禁止法など),個人情報保護法,労働基準法,労働者派遣法,その他の取引関連法規など,身近な職場の法律
  • ライセンス形態,ライセンス管理など,ソフトウェアライセンスの考え方,特徴
  • コンプライアンス,コーポレートガバナンスなどの企業の規範に関する考え方や,情報倫理
  • 標準化の意義

2 経営戦略

3 経営戦略マネジメント

  • SWOT 分析,プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM),顧客満足度,CRM,SCM などの代表的な経営情報分析手法や経営管理システムに関する基本的な考え方

4 技術戦略マネジメント

  • 技術開発戦略の意義,目的など

5 ビジネスインダストリ

  • 電子商取引,POS システム,IC カード,RFID 応用システムなど,各種ビジネス分野での代表的なシステムの特徴
  • AI の活用領域及び活用目的,AI を利活用する上での留意事項
  • エンジニアリング分野や電子商取引での代表的なシステムの特徴
  • IoT を利用したシステムや組込みシステム,ロボットなどの特徴,動向など

3 システム戦略

6 システム戦略

  • 情報システム戦略の意義と目的,戦略目標,業務改善,問題解決などに向けた考え方
  • 業務モデルにおける代表的なモデリングの考え方
  • グループウェアやオフィスツール,SNS などを利用した,効果的なコミュニケーションについて
  • コンピュータ及びネットワークを利用した業務の自動化,効率化の目的,考え方,方法について
  • クラウドコンピューティングなど代表的なサービスを通じて,ソリューションビジネスの考え方
  • IT の技術動向(IoT,ビッグデータなどを含む)に関する知識
  • AI,ビッグデータ,IoT などの活用方法や考え方
  • システム活用促進・評価活動の意義と目的

7 システム企画

  • システム化計画の目的
  • 現状分析などに基づく業務要件定義の目的
  • 見積書,提案依頼書(RFP),提案書の流れなど調達の基本的な流れ

マネジメント分野

4 開発技術

8 システム開発技術

  • 要件定義,設計,プログラミング,テスト,ソフトウェア保守などシステム開発のプロセスの基本的な流れ
  • システム開発における見積りの考え方

9 ソフトウェア開発管理技術

  • アジャイルなどをはじめとする,代表的な開発モデルや開発手法に関する意義や目的について

5 プロジェクトマネジメント

10 プロジェクトマネジメント

  • プロジェクトマネジメントの意義,目的,考え方,プロセス,手法

6 サービスマネジメント

11 サービスマネジメント

  • IT サービスマネジメントの意義,目的,考え方
  • サービスデスク(ヘルプデスク)など関連項目
  • コンピュータやネットワークなどのシステム環境整備に関する考え方

12 システム監査

  • システム監査の意義,目的,考え方,対象
  • 監査の計画,実施,報告,フォローアップなど,システム監査の流れ
  • 内部統制,IT ガバナンスの意義,目的,考え方

テクノロジ分野

7 基礎理論

13 基礎理論

  • 2 進数の特徴や演算,基数に関する基本的な考え方
  • ベン図などの集合,確率や統計,数値計算,数値解析に関する基本的な考え方
  • ビット,バイトなど,情報量の表し方や,デジタル化の基本的な考え方
  • AI の技術(機械学習,ディープラーニングなど)について基本的な考え方

14 アルゴリズムとプログラミング

  • アルゴリズムとデータ構造の基本的な考え方
  • 流れ図や擬似言語の読み方,書き方
  • プログラミングの役割,プログラム言語の種類,特徴
  • HTML,XML などのデータ記述言語の種類とその基本的な使い方

8 コンピュータシステム

15 コンピュータ構成要素

  • コンピュータの基本的な構成と役割
  • プロセッサの性能と基本的な仕組み,メモリの種類と特徴
  • 記録媒体の種類と特徴
  • 入出力インタフェース,IoT デバイス,デバイスドライバなどの種類と特徴

16 システム構成要素

  • システムの構成,処理形態,利用形態の特徴
  • クライアントサーバシステムや仮想化システムの特徴
  • Web システムの特徴
  • システムの性能・信頼性・経済性の考え方

17 ソフトウェア

  • OS の必要性,機能,種類,特徴
  • アクセス方法,検索方法など,ファイル管理の考え方と基本的な機能の利用法,バックアップの基本的な考え方
  • オフィスツールなどソフトウェアパッケージの特徴と基本操作
  • オープンソースソフトウェア(OSS)の特徴

18 ハードウェア

  • コンピュータの種類と特徴
  • 入出力装置(IoT 機器を含む)の種類と特徴

9 技術要素

19 情報デザイン

  • 情報デザインのための技術,考え方
  • GUI,メニューなど,インタフェースの設計の考え方,特徴
  • Web デザインの考え方
  • ユニバーサルデザインの考え方

20 情報メディア

  • 音声,静止画,動画などの表現の基本的な仕組み
  • JPEG,MPEG,MP3 など,符号化の種類と特徴
  • AR,VR など,マルチメディア技術の応用目的や特徴
  • 情報の圧縮と伸長,メディアの特徴

21 データベース

  • データベース及びデータベース管理システム(DBMS)の意義,目的,考え方
  • データの分析,データベース設計,データモデルの考え方
  • データベースからのデータの抽出などの操作方法
  • 同時実行制御(排他制御),障害回復など,データベースのトランザクション処理の考え方

22 ネットワーク

  • ネットワークに関するLAN やWAN の種類と構成,インターネットやLAN の接続装置の役割,IP アドレス(IPv6・IPv4)の仕組み,移動体通信の規格
  • 通信プロトコルの必要性,代表的なプロトコルの役割
  • インターネットの特徴と基本的な仕組み
  • 電子メール,インターネットサービスの特徴
  • モバイル通信,IoT 機器による通信やIoT ネットワーク,IP 電話など,通信サービスの種類と特徴,課金,伝送速度など

23 セキュリティ

  • ネットワーク社会における安全な活動の観点から情報セキュリティの基本的な考え方,脅威と脆弱性
  • 情報資産とリスク管理の目的,情報セキュリティマネジメントシステム・情報セキュリティポリシーの考え方,情報セキュリティ組織・機関(CSIRT など)
  • マルウェア(コンピュータウイルス,スパイウェア,ランサムウェアなど)や様々な攻撃手法(フィッシング,標的型攻撃,サイバー攻撃など)への対策としての,アクセス制御やSSL/TLS などの技術的セキュリティ対策の考え方,種類と特徴
  • 入退室管理やアクセス管理,情報セキュリティ教育,内部不正対策などの,物理的・人的セキュリティ対策の考え方,種類と特徴
  • 利用者ID・パスワード,デジタル署名,生体認証(バイオメトリクス認証)など,認証技術の種類と特徴
  • 共通鍵暗号方式,公開鍵暗号方式,ハイブリッド暗号方式,公開鍵基盤(PKI)など,暗号技術の仕組みと特徴
  • IoT 機器の安全な活用方法などのIoT システムのセキュリティについて

問題の例

IT パスポート試験の過去問は「IT パスポート試験ドットコム」の「過去問道場」で見ることができます。

ITパスポート試験の合格率と学習時間

資格予備校の TAC によると、ITパスポート試験を独学する場合は100~180時間の学習時間が必要との事です。

試験名 合格率 勉強時間
ITパスポート試験 50% 100~180時間

参考文献

情報処理推進機構 > 基本情報技術者試験シラバス Ver.9.0
https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/gaiyou.html

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