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VBAHaskellの紹介 その19(ParamArrayとswapVariant)

Last updated at Posted at 2015-07-02

VBAの ParamArray の仕組みがどうもよくわからない。

MSDNには「プロシージャが、省略可能なパラメーターとして、指定されたデータ型の要素の配列を受け取ることを示します。 ParamArray は、パラメーター リストの最後のパラメーターにのみ使用できます。」とある。
要するに可変長引数であり、受け取ったプロシージャ側からその引数はひとつの配列のように見える。配列なので LBoundUBound の値も取れるし、For ループで個々の要素にアクセスすることもできる。
しかしこれは 他のプロシージャに ByRef で渡すことができない、という制約があって、下のコードだと bar1 に渡そうとするとエラーになる(「コンパイルエラー:ParamArrayの使い方が適切ではありません。」というダイアログメッセージが出る)。
ByValbar2 に渡すことは普通にできる。しかし bar1 に渡すにはローカルでコピーをとって渡すしかないようだ。

Function foo(ParamArray v() As Variant)
    bar1 v     ' これはNG
    bar2 v     ' これはOK
    Dim tmp As Variant : tmp = v
    bar1 tmp   ' ← コピーならOK
    ...
Sub bar1(ByRef x As Variant)     ' ByRef渡し
Sub bar2(ByVal x As Variant)     ' ByVal渡し

VBAHaskellで ParamArray を使っている箇所は少ないが、そのひとつに catVs 1 がある。任意個の1次元配列をつなげて配列を返す関数で、以前は下のような実装になっていた。ふたつの配列をつなげる catV 関数を foldl1 する、という素朴なやり方だ。

'ベクトルを結合(可変長引数)
Function catVs(ParamArray vectors() As Variant) As Variant
    catVs = foldl1(p_catV, VBA.Array(vectors)(0))
End Function

VBA.Array(vectors)(0) の部分が分かりにくいと思うが、少し書き直すと結局こういうことをやっているのと同じで、引数vectorsのコピーを作っている。

Function catVs(ParamArray vectors() As Variant) As Variant
    Dim tmp As Variant : tmp = vectors    ' コピー
    catVs = foldl1(p_catV, tmp)
End Function

これはfoldl1 関数に引数 vectors をそのまま渡すことができないせいだが、もちろん効率は悪く、個々の配列が大きいときは無視できないコストになる。なにより無意味なコピーは無くしたいという気持ちが強い。
これには swapVariant 2 を使って変数をスワップするのが有効な手段で、最近以下のように書き換えた。

'ベクトルを結合(可変長引数)
Function catVs(ParamArray vectors() As Variant) As Variant
    Dim i As Long
    Dim tmp As Variant
    If LBound(vectors) <= UBound(vectors) Then
        ReDim tmp(LBound(vectors) To UBound(vectors))
        For i = LBound(vectors) To UBound(vectors)
            swapVariant vectors(i), tmp(i)    ' スワップする
        Next i
        catVs = foldl1(p_catV, tmp)      ' 実際の処理
        For i = LBound(vectors) To UBound(vectors)
            swapVariant vectors(i), tmp(i)    ' 元に戻す
        Next i
    End If
End Function

もとの引数である vectors と同じ長さの配列 tmpを作り、個々の要素(それ自体が配列)をスワップして入れている。要素が巨大な配列だとしてもそのコストは無視できる程度だ。こうして作った tmp は通常の配列と同様に扱うことができるので、foldl1 で処理すれば目的が達成できる。最後にもう一度スワップして元に戻してやる。
VBAHaskellで目標にしているループの排除が犠牲になっているが、これは課題としたい。


VBAHaskellの紹介 その18(reverseをfoldで実装)
VBAHaskellの紹介 その1(最初はmapF)
ソース https://github.com/mYmd/VBA

  1. Haskell_4_vector.bas モジュール

  2. VBAHaskellの紹介 その14(変数のムーブ)参照

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