ローコード・ノーコードとキャリア
はじめに
ローコード・ノーコードをキャリアとして積む際のリスクとリターンについて考える。私はエンジニア 5 年程度であり、うち半分をローコード・ノーコード、残りをフルスタックエンジニアとして働いた。主に RPA や Kintone、プリザンター等を利用した開発を行ってきた。そんなキャリアの私がローコード・ノーコードについて考えてみる。したがって、この記事は市民開発者ではなく、エンジニア視点となること留意して欲しい。
ローコード・ノーコードについて
ローコード・ノーコードとは、プログラミング言語なし or 少しプログラミングでアプリケーションやシステムを構築できるツールのことを指す。
開発生産性とアジリティの高さから DX の推進や、IT 人材不足の解消に向けた手段として注目を浴びている。しかし、一方でその使い易さが課題を生むこともある。
ツールの例は以下の通り。
- RPA: UiPath, PowerAutomate
- ローコードプラットフォーム: OutSystems, Kintone
- ノーコードプラットフォーム: Bubble, Wix
ローコード・ノーコードのリスク
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スキルの特異性
ローコード・ノーコードツールは非常に多様で、1 つのツールに習熟すると、そのスキルが他のツールに直接転用できない。基本的な概念(変数や関数といった)は転用できるものの、ツール毎の知見などは転用できない。 -
プログラミング能力の評価が難しい
ツール側の粒度はまちまちであるが、処理がブラックボックスとなっているため、開発者本人のプログラミング能力が評価しにくい。その結果以下のようなことが発生する。- 給料(単価)が安くなる
「コーディングしなくてもいいから、誰でもできるでしょ」という風潮から単価は低く設定されることがある。 - Web 等の開発職に採用されにくくなる
私も転職活動して感じたが、これは本当。(私の個人的な問題の可能性もあるが、、、)
- 給料(単価)が安くなる
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ツールの制約に縛られる
ツールが提供する機能や操作性の範囲内でしか開発ができないため、特定の要件を満たすためのカスタム開発が難しい場合がある。これにより、独自のビジネスロジックなどを実装するのが難しくなる。
ツールの専門性が高くても、給与が上がりにくいというリスクがあるため、エンジニアとしては面白くない話である。
ローコード・ノーコードのリターン
- 開発速度が早い
ツールがテンプレートや多くの標準機能を用意しているため、少ない時間と労力でアプリケーションを作成することが可能となる。
ただし、複雑な開発や大規模な開発の場合は、開発速度は減少することもあるため、スコープの見極めが大切である。 - ユーザとのコミュニケーションが多くなる
CI・CD が高速なため、積極的にユーザと関わる機会が増える。 - 広く浅く学べる
複数のツールを使うことで、さまざまな技術分野に対する理解が広がり、それぞれの強み・弱みを理解することができる。
キャリアを考えてみる
- エンジニアじゃない方
どんどん IT 知識が身に付くので、是非ローコード・ノーコードをキャリアとして積むのはオススメしたい。自分の職務と IT 分野のシナジーが生まれ市場価値も上がると思われる。 - 若手エンジニア or 実務未経験でエンジニアを目指している方
あまりオススメはしないが、上記のリスクを理解した上でなら問題ない。可能であれば、通常の開発から始めることをオススメする。 - すでにエンジニアの方
- 技術力をキャリアの主軸にする方
上述したが、「プログラミング能力の評価が難しい」というリスクを孕んでいるため、キャリアとしてマイナス要素となる可能性がある。逆にそのリスクさえクリアすれば強みになるかと。 - 課題解決力をキャリアの主軸にする方
ローコード・ノーコードを使いこなすことで、課題解決する手段が増える。結果的に課題解決力を高めることができる。そのため、キャリアの主軸としてローコード・ノーコードを積むことは有益であると思われる。
- 技術力をキャリアの主軸にする方
まとめ
課題解決力を高めるためにローコード・ノーコードを使いこなすことは有益である。しかし、エンジニアとしてのキャリアを考える上で、リスクを理解した上で積むことが重要である。
また、通常の開発とローコード・ノーコードの両方を使いこなすことで、コンサルのような立ち位置をキャリアアップとして目指せる可能性がある。