はじめに
◆この記事は何?
KPT振り返りをするときに私が気をつけていることを紹介する記事です。
振り返りを活性化させる具体的な方法や考え方をお伝えします。
◆対象は?
・振り返りを有効に活用したい人
・振り返りのマンネリを打開したい人
先に結論
- 視座/視野/切り口を変える質問で、場をほぐしてマンネリ化を防ぐ
- Tryを挙げやすくするコツ
- 義務付けないことでハードルを下げる
- 仕事を減らすには?を考えて、まずは仕事量を減らす
- 見つけ損にしないカルチャーで改善を挙げやすくする
KPT振り返りとは
KPT振り返りは、振り返りフレームワークの一つです。
スプリントレトロスペクティブなどの振り返りのタイミングで使われます。
私は次のように解釈しています。
- Keep
- 良かったところ
- Problem
- 改善点
- Try
- 試すこと
KPTの解釈は他にもあると思いますが、上記の解釈がうまくハマりました。
ポジティブな表現が良かったです。
「何も出ない」を避ける
KPT振り返りを続けていくと、マンネリ化することがあります。
人によっては何も挙げられない、ということもあります。
私がファシリテーションをするとき、次のような質問で場をほぐすようにしています。
①視座を変える質問
「個人の観点ではどうでしたか?」
「チームの観点ではどうでしたか?」
「組織で見たときにどうでしたか?」
など、視座を変えるような質問をします。
視座を変えてみることで、気づきが生まれやすくなります。
②視野を変える質問
「ユーザーから見たときはどうでしょうか?」
「ステークホルダーから見たときはどうでしょうか?」
など視野を変える質問をします。
③切り口を変える質問
「運用保守の観点ではどうですか?」
「テストアクティビティとしてはどうでしたか?」
「コーディングでうまくいったことはありましたか?」
など、振り返りの切り口を変えます。
Tryが全く出ないことを避ける
私は「Tryが全く出なくなる」を失敗の一つと定義し、Tryが出やすくなるように工夫しています。
①Tryを出してくれることに感謝する
参加者がTryを挙げてくれたら、どんなに小さいことでも、効果が薄いと思うことでも、間違っていたとしても、まずはお礼を言います。
Tryを出してくれること自体が嬉しいこと、良いことと考えているためです。
②Tryが実行されないことを許容する
Tryを挙げても実行されないことは多々あります。
反対意見もあるかと思いますが、まずはこの状況を許容します。
「Tryを挙げても実行されない」などと否定してしまうと、Tryが挙がらなくなるためです。
実行されないTryがある程度溜まってきた場合は、優先度を考えて整理するようにします。
「Tryがあるけど実行できていない」という不安を取り除きます。
③成果の定量化を義務付けない
Tryを出しやすくするために、「Tryの結果、生産性がX%向上した」や「X時間の削減になった」などの効果の定量化を義務付けないようにしています。
成果の定量化を義務付けてしまうと、定量化しにくい改善が挙がりにくくなります。
また、定量化されると分かっていると発言しにくくなることもあります。
結果として定量化できるものは定量化して、Tryの結果を喜ぶようにします。
④仕事を減らすには?という切り口を入れる
「どうすればやることを減らせますか?」と質問するように心がけています。
改善しようとすると一時的に仕事量が増えることがあります。
まずは仕事を減らすことから考えるようにすることで、ポジティブに改善できるようにします。
仕事を減らす工夫の後に、「その分、プロダクトを良くするためにXXをやってみます」というさらにポジティブなTryが挙がることもよくあります。
⑤見つけ損にしない
「XXのような改善点がある」と改善点を見つけてくれた人に、なし崩し的に対応をお願いしないようにしています。
見つけ損になるためです。
見つけ損が当たり前のチームでは、次第にTryが挙がらなくなります。
Tryを挙げてくれた参加者の主体性を大事にしつつも、リーダーやマネージャーが考え、「チームのTry」として扱います。そしてチームを巻き込みながら推進していきます。
「ソフトウェアテストのセオリー」では次のような一説があります。
ソフトウェアに関する事象を発見した際に、その原因分析や対応を、なし崩し的に発見者に担当させることは行ってはいけません。これでは事象を多く発見した人が、より多くのタスクを抱え込むと言う「見つけ損」の状態になってしまい、組織内で事象を発見しようと言うモチベーションを損なうでしょう。
Tryを挙げてもらうためには、見つけ損にしない文化が重要です。
おわりに
この記事では、KPT振り返りの実践例について紹介しました。
皆さんの振り返りの工夫も教えていただけると幸いです。
それでは。