はじめに
◆この記事は何?
社内Wikiの改善方法について紹介する記事です。
◆この記事のねらい
社内Wikiを改善することで、チームの生産性や品質を向上させ、開発体験をより良くするのがねらいです。
先に結論
- 「ルール」ではなく「ポリシー」を設ける
- 「Working集」と「アーカイブ集」をつくる
- ページごとに目的を書く
- 大切な思考法
- 「中途半端なドキュメントは中途半端な文化を生む」
- 「誰でもできるは誰もやらなくなる」
社内Wikiのよくある課題
皆さんの社内Wikiで次のような課題を感じたことはありませんか。
- 情報が散乱
- 更新中のページがそのまま
- メンテナンスされていない構造
多くの人が作成・編集できる社内Wikiは、改善の意志がないと上記のような状態になりがちです。
最悪の場合、開発体験の低下につながります。
良い社内Wikiとは
良い社内Wikiの必要条件は以下の通りです。
- 開発体験を向上させる
- 結果的にビジネス価値を生む
- 必要な情報にアクセスしやすい
- 逆に不要な情報はアーカイブされている
- 未来を見据えて改善され続けている
組織によって条件は変わると思いますが、概ね上記のような内容が挙がるかと思います。
「ルール」ではなく「ポリシー」を設ける
まず社内Wikiを改善するためにポリシーをつくります。
社内Wikiは「ルール」よりも「ポリシー」の方が改善は進みやすいです。
- 「ルール」
- 必ず守る具体的な指示
- 「ポリシー」
- ガイドラインとしての推奨事項
◆「ルール」よりも「ポリシー」が良い理由
- 社内Wikiは想定外や例外が発生しやすい
- 多くの人が関わるため、新しい「ルール」はハレーションが起きやすい
- 仮に守っていなくても、そこまで大きな問題になることは少ない
柔軟性を持ちつつ、明確な方針の下で組織として活動していくために、ポリシーを設けます。
次に、実際に効果があったポリシーを3つ紹介します。
①「Working集」をつくる
Working集は「更新中のページ」や「どこに配置すべきか分からないページ」のための場所です。
目的は、
- 中途半端なドキュメントの混在を防ぐ
- 全体の構造を綺麗に保つ
です。
Working集は、想定していなかった例外をキャッチできるようになります。
例えば、次のような運用ができます。
- 「とりあえずWorking集からページを立ち上げておく」
- 「アドホックなイベント用ページをWorking集で立ち上げる」
②「アーカイブ集」をつくる
「アーカイブ集」は、「役目を終えたページ」や「削除を迷うページ」のための場所です。
「役目を終えたページは削除する」というポリシーも考えられます。
しかし、社内Wikiでは「自分が作成していないページは削除して良いかわからない」状態になりがちです。
そのため、削除の判断に迷う場合も「とりあえず移動できる場所」として用意しておきます。
心理的にもハードルが下がり、結果的に全体の保守性が高くなります。
③各ページに目的を書く
「各ページに目的を書く」というポリシーは有効です。
目的を書くことで、「このページは本当に必要か?」と再評価できるようになります。
量も自然に必要十分になっていきます。
ページごとの目的を記載することで、ページの配置位置を適切に導くことができ、Wiki全体の構造を綺麗に保ちやすくなります。
「中途半端なドキュメントは中途半端な文化を生む」
中途半端なドキュメントが一つあると、次々と中途半端なドキュメントが生まれていきます。
そして、それらは次第に「中途半端な組織カルチャー」になっていきます。
早い段階で中途半端なドキュメントを無くしておく、また上記の「Working集」などを活用して「中途半端であること」を明示することで、「中途半端な文化」を予防します。
「誰でもできるは誰もやらなくなる」
誰でもできることは誰もやらなくなる傾向があります。
社内Wikiがその代表例です。
よって、推進担当を一人設けるのが有効です。
「ドキュメントオーナー」という役割も考えられます。
「エンジニアのためのドキュメントライティング」では次のように解説されています。
ドキュメントの責任は全員にある、と考えられることが多くあります。それゆえに、誰も責任を負ってないとも言えるでしょう。そこでドキュメントの課題への対応、ドキュメントの変更に対するレビュー、必要であればドキュメントの更新に責任を持つドキュメントオーダーを明示的に任命することで、責務を明確にしてください。責務の明確化は、ドキュメントが古くなることの防止に役立ちます。
誰でもできる仕事は誰もやらなくなるので、私は積極的にやるようにしています。
そのほうが、組織が良くなり、結果的に自分のためになるからです。
おわりに
この記事では、社内Wikiの改善方法について紹介しました。
ポリシーをつくること、そしてその背景にある思考法についてご紹介しました。
もし他に効果的なポリシーや思考法があれば、コメントで教えていただけると幸いです。