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社内Wikiを改善して、開発体験をより良くする

Last updated at Posted at 2024-05-11

はじめに

◆この記事は何?
社内Wikiの改善方法について紹介する記事です。

◆この記事のねらい
社内Wikiを改善することで、チームの生産性や品質を向上させ、開発体験をより良くするのがねらいです。

先に結論

  • 「ルール」ではなく「ポリシー」を設ける
    • Working集」と「アーカイブ集」をつくる
    • ページごとに目的を書く
  • 大切な思考法
    • 中途半端なドキュメントは中途半端な文化を生む
    • 誰でもできるは誰もやらなくなる

社内Wikiのよくある課題

皆さんの社内Wikiで次のような課題を感じたことはありませんか。

  • 情報が散乱
  • 更新中のページがそのまま
  • メンテナンスされていない構造

多くの人が作成・編集できる社内Wikiは、改善の意志がないと上記のような状態になりがちです。

最悪の場合、開発体験の低下につながります。

良い社内Wikiとは

良い社内Wikiの必要条件は以下の通りです。

  • 開発体験を向上させる
    • 結果的にビジネス価値を生む
  • 必要な情報にアクセスしやすい
    • 逆に不要な情報はアーカイブされている
  • 未来を見据えて改善され続けている

組織によって条件は変わると思いますが、概ね上記のような内容が挙がるかと思います。

「ルール」ではなく「ポリシー」を設ける

まず社内Wikiを改善するためにポリシーをつくります。

社内Wikiは「ルール」よりも「ポリシー」の方が改善は進みやすいです。

  • 「ルール」
    • 必ず守る具体的な指示
  • 「ポリシー」
    • ガイドラインとしての推奨事項

◆「ルール」よりも「ポリシー」が良い理由

  • 社内Wikiは想定外や例外が発生しやすい
  • 多くの人が関わるため、新しい「ルール」はハレーションが起きやすい
  • 仮に守っていなくても、そこまで大きな問題になることは少ない

柔軟性を持ちつつ、明確な方針の下で組織として活動していくために、ポリシーを設けます。

次に、実際に効果があったポリシーを3つ紹介します。

①「Working集」をつくる

Working集は「更新中のページ」や「どこに配置すべきか分からないページ」のための場所です。

目的は、

  1. 中途半端なドキュメントの混在を防ぐ
  2. 全体の構造を綺麗に保つ

です。

Working集は、想定していなかった例外をキャッチできるようになります。

例えば、次のような運用ができます。

  • 「とりあえずWorking集からページを立ち上げておく」
  • 「アドホックなイベント用ページをWorking集で立ち上げる」

②「アーカイブ集」をつくる

「アーカイブ集」は、「役目を終えたページ」や「削除を迷うページ」のための場所です。

「役目を終えたページは削除する」というポリシーも考えられます。
しかし、社内Wikiでは「自分が作成していないページは削除して良いかわからない」状態になりがちです。

そのため、削除の判断に迷う場合も「とりあえず移動できる場所」として用意しておきます。
心理的にもハードルが下がり、結果的に全体の保守性が高くなります。

③各ページに目的を書く

「各ページに目的を書く」というポリシーは有効です。

目的を書くことで、「このページは本当に必要か?」と再評価できるようになります。
量も自然に必要十分になっていきます。

ページごとの目的を記載することで、ページの配置位置を適切に導くことができ、Wiki全体の構造を綺麗に保ちやすくなります。

「中途半端なドキュメントは中途半端な文化を生む」

中途半端なドキュメントが一つあると、次々と中途半端なドキュメントが生まれていきます。

そして、それらは次第に「中途半端な組織カルチャー」になっていきます。

早い段階で中途半端なドキュメントを無くしておく、また上記の「Working集」などを活用して「中途半端であること」を明示することで、「中途半端な文化」を予防します。

「誰でもできるは誰もやらなくなる」

誰でもできることは誰もやらなくなる傾向があります。
社内Wikiがその代表例です。

よって、推進担当を一人設けるのが有効です。
「ドキュメントオーナー」という役割も考えられます。

「エンジニアのためのドキュメントライティング」では次のように解説されています。

ドキュメントの責任は全員にある、と考えられることが多くあります。それゆえに、誰も責任を負ってないとも言えるでしょう。そこでドキュメントの課題への対応、ドキュメントの変更に対するレビュー、必要であればドキュメントの更新に責任を持つドキュメントオーダーを明示的に任命することで、責務を明確にしてください。責務の明確化は、ドキュメントが古くなることの防止に役立ちます。

誰でもできる仕事は誰もやらなくなるので、私は積極的にやるようにしています。
そのほうが、組織が良くなり、結果的に自分のためになるからです。

おわりに

この記事では、社内Wikiの改善方法について紹介しました。

ポリシーをつくること、そしてその背景にある思考法についてご紹介しました。

もし他に効果的なポリシーや思考法があれば、コメントで教えていただけると幸いです。

参考

GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた

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