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コミュニティ運営で気を付けたい30のこと

Last updated at Posted at 2024-08-18

はじめに

◆この記事は何?
コミュニティ運営で気をつけることを紹介する記事です。

◆対象は?
・主にコミュニティ運営に関わる方/コミュニティマネージャー
・コミュニティ参加者

◆この記事のねらい
より良いコミュニティ運営ができるようになること
コミュニティ参加者がコミュニティ活動をより楽しめるようになること

全体像

コミュニティ運営は、長期・中期・短期と期間に応じた活動で分類できます。例を紹介します。

期間 活動例
長期 コミュニティ設計
中期 イベント、プロジェクト
短期 メンバーとの日々の交流

コミュニティ運営では、最初の設計が重要です。そのため、①長期②中期③短期の順で留意点を説明します。

前提

この記事での「コミュニティ」は、「共通の関心ごとを持った能動的な集まり」とします。

「コミュニティ」は多様です。この記事では、IT業界で多いと考えられる「オンラインを主体に集まるコミュニティ」を想定します。

「エンジニア同士がSlackやDiscordで日々の交流があり、ときどきイベントで集まる」のようなコミュニティを想像していただきたいです。

長期的なコミュニティ活動

設計

コミュニティ運営では設計が重要です。一度出来上がったコミュニティを後から変更するのは難しいためです。

(1)大義(Mission)と価値(Value)をつくる

  • 「なぜ集まるのか?」を言語化します。
  • 集まった結果、「何が得られるのか?」を言語化します。
  • 大義(Mission)と価値(Value)が言語化されていなければ、コミュニティ活動は方向を見失います。

(2)ペルソナに優先順位をつける

  • コミュニティ運営者は「すべての人に楽しんでもらいたい」と思いがちですが、ペルソナには優先順位をつけるようにします。ペルソナを全部惹きつけるコミュニティは現実的ではありません。

(3)「Give and Give」の関係にする

  • Giveファーストで活動します。「Give and Take」ではなく、「Give and Give」の関係を目指します。「Give and Give」の関係が構築されることで、継続性が高まります。

(4)情報提供型よりも参加型にする

  • 「Give and Give」にするために、一方的な情報提供だけでなく、参加型にします。

(5)心理的安全性を高め、相互リスペクトの文化をつくる

  • コミュニティ活動に参加しやすいように、心理的安全性を高め、相互リスペクトの文化を醸成していきます。

(6)参加できるようにするために情報をオープンにする

  • コミュニティ活動に参加しやすくなるように、情報をできるだけオープンにして、透明性を高めていきます。オープンにすることで不安も減っていきます。

仕組み・仕掛けづくり

(7)コミュニティガイドラインをつくる

  • コミュニティ活動に安心して参加できるように、コミュニティガイドラインを整備します。例えば、「コミュニティ内でやってはいけないこと」を明文化します。

(8)逆インセンティブを増やさない

  • 逆インセンティブが増えすぎないように注意します。特にコミュニティを拡大しようとするときに注意が必要です。
  • 例えば、「コミュニティメンバー限定の先着10名の企画」などが増えていくと、コミュニティメンバーからみると「コミュニティメンバーが増えれば自分が参加しにくくなり損する」ようになります。これはコミュニティの拡大と逆向きに作用します。

問題への対応

(9)タダ乗りへの対応

  • コミュニティ活動をすると、タダ乗りをする人が現れます。例えば、情報発信を積極的に続けるメンバーに対して、受け取る"だけ"のメンバーが多くなると、情報のタダ乗りの割合が多くなります。
  • タダ乗りの割合が増えると、コミュニティ活動が楽しく無くなっていきます。
  • 対策
    • 少額でも良いのでコミュニティやイベントへの参加を有料にすることで、タダ乗りの可能性は大幅に減っていきます。
    • Give and Giveの文化を醸成していくことで、タダ乗りはしにくくなります。例えば、技術発信をしている人がいれば、その記事に反応するだけでもGive and Giveとなり、コミュニティ内のタダ乗りは減っていきます。

(10)マウンティングへの対応

  • 人が集まるとマウンティングが発生してしまいます。これは意識的にも無意識的にも発生します。好きに発言できる場はマウンティングの機会になりやすいためです。
  • 対策
    • コミュニティガイドラインでマウンティングを予防します
    • マウンティングが発生しにくくなるようなカルチャーを日々つくっていきます

(11)排他性への対応

  • 人が集まると排他性が発生してしまいます。
  • 閉鎖的な仲良しグループを作らないようにすることが重要です。本人たちは居心地が良いかもしれませんが、他を排除していることと同様です。内輪ノリが出てきつつあると察知したら、早めに阻止します。
  • 対策
    • "閉鎖的な"サブコミュニティをつくらないようにします。
    • 例えば「4枠のLT会をするとき、2枠は新メンバーにする」などが挙げられます。

中期的なコミュニティ活動

イベントなどのプロジェクトは中期的なコミュニティ活動になります。

(12)会う

  • コミュニティ活動では会うのが重要です。会うことでコミュニティ活動が活発化していきます。

(13)イベントを企画する

  • 会うためにイベントを企画します。コミュニティ運営者がメンバーと会うだけでなく、コミュニティメンバー同士が会う機会になります。

(14)イベントでのコミュニケーション方法を提示する

  • 「休憩中に名刺交換しましょう」などを主催側から提示すると、交流が生まれやすくなります。

(15)非公式な活動を奨励する

  • イベント参加者が自主的に時間をつなぐと、イベントで生まれた熱量が次のイベントまでつながりやすくなります。

(16)情報発信とセットにする

  • イベントやコンテンツと情報発信をセットにすることで、コミュニティは拡大しやすくなります。
  • 情報発信は自主的な活動なので、情報発信は間違っていない限り、訂正しにいかないようにします。

(17)仕事を振るのではなく、役割を振っていく

  • イベントやコンテンツをつくる際に、メンバーの方にお願いすることがあります。このとき、仕事を振るのではなく役割を振るようにします。仕事ではなく役割を振ることで、自主的に活動しやすくなります。

短期的なコミュニティ活動

SlackやDiscordでの日々のやり取りは短期的なコミュニティ活動になります。

繋げる

(18)コミュニティメンバー同士を繋げる

  • コミュニティメンバー同士を繋げることで、メンバーの満足度が高くなります。

(19)コミュニティ内外を繋げていく

  • コミュニティ内だけでなく、コミュニティ内外を繋げていくことで、コミュニティ活動が活発になります。例えば、外部からゲストを呼ぶなどです。

継続

(20)継続のために、参加者を固定しない

  • コミュニティの継続のために、参加者を固定しないようにします。コミュニティ内外で、お誘いをしていきます。

(21)増えていくメンバーの期待を把握する

  • メンバーの「コミュニティへの期待」を把握します。
  • 参加フォームなどで、「コミュニティに入ろうと思ったきっかけ」「コミュニティに入って実現したいこと」の設問を用意しておくと期待を把握しやすくなります。

(22)「メンバーへの期待」の言語化する

  • 「コミュニティメンバーにはXXのようにしてほしい」と言語化すると、コミュニティメンバーが動きやすくなります。

(23)「熱量の高い聞く/見るだけ参加」の方がいることを忘れない

  • コミュニティ運営者が忘れがちなのが「熱量の高い聞く/見るだけ参加」の方です。
  • 可視化されにくいため把握が難しいですが、自分が把握できていないところに熱量の高い人が居るということを忘れないようにします。
  • もし忘れてしまうと、そのような方々を無視してコンテンツをつくったり、コミュニティ活動を続けてしまう可能性があるためです。

コミュニティ思考

最後にコミュニティを運営する上で重要な思考法を紹介します。

(24)コミュニティが成功する保証や万能の裏技はない

  • コミュニティ運営に銀の弾丸はありません。

(25)コミュニティ運営は難しい

  • コミュニティ運営は難しいという前提で運営します。
  • 複雑な仕事、細かい話が多いです。

(26)何のためにやっているか、方向性を見失わないようにする

  • コミュニティの大義(Mission)と価値(Value)を忘れないように活動していきます。
  • コミュニティ活動はやろうと思えばなんでもできてしまうため方向性を見失わないように注意します。

(27)コミュニティはメンバーがつくっていく

  • コミュニティはメンバーがつくっていくものです。コミュニティ運営者だけではつくることができません。
  • ときにはメンバーによるコミュニティづくりを支援していきます。

(28)対等にコミュニケーションをとる

  • コミュニティ運営者とコミュニティメンバー、コミュニティメンバー同士も対等にコミュニケーションをとるように心がけます。

(29)褒めるよりも祝う

  • 褒めると上下関係が無意識に生まれやすくなることがあります。そこで「祝う」ようにします。例えば、誕生日や試験の合格はみんなで祝うことができます。

(30)「コミュニティマネージャー」としての自覚を持つ

  • コミュニティ運営にはスキルが必要だと理解します。
  • 人に興味を持つようにします。
    • 技術への興味だけではコミュニティマネージャーには向いていないと言われることがあります。同じ技術を、この人はどう使うんだろう?と考え方に興味を持てないときっと疲れてしまいます。
  • メンバーのエンゲージメントを高めることを意識します。
    • エンゲージメントとは、メンバーがコミュニティに対して積極的に関与し、貢献しようとする意欲のことです。
  • 人間の心理と人間同士がどう関わるかについて理解します。

おわりに

この記事では、コミュニティ運営で気をつけたい30のことを紹介しました。

良いコミュニティ運営に繋がれば幸いです。

参考

『集まる場所が必要だ――孤立を防ぎ、暮らしを守る「開かれた場」』

『遠くへ行きたければ、みんなで行け ~「ビジネス」「ブランド」「チーム」を変革するコミュニティの原則』

『ファンをはぐくみ事業を成長させる 「コミュニティ」づくりの教科書』

『コミュニティシフト: すべてがコミュニティ化する時代』

『ハイブリッドコミュニティが世界を変える!』

『ビジネスも人生もグロースさせる コミュニティマーケティング』

『コミュニティ・オーガナイジング――ほしい未来をみんなで創る5つのステップ』

『人生を変える最強のコミュニティづくり』

『成功するコミュニティの作り方』

『ネットコミュニティの設計と力 つながる私たちの時代 (角川学芸出版全集) 』

「意識を変えると行動が変わる」は、組織変革では順序が逆 会社に活力を取り戻す「チェンジマネジメント」のやり方

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