「原点を通る」とは? 🤔
「原点を通る」とは、グラフや数式で表される関係性が、座標軸の原点(げんてん)、つまり全ての座標がゼロである点を通過する、という意味です。
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2次元の場合: 原点は
(0, 0)
です。 -
3次元の場合: 原点は
(0, 0, 0)
です。 - より高次元の場合: 全ての座標軸の値がゼロの点です。
例えば、関数のグラフで考える場合、入力がゼロの時に出力もゼロになる、ということです。
数式とグラフで見てみよう 📊
1. 原点を通る例:y = 2x
この数式は、入力 x
に 0
を代入すると、出力 y
も 0
になります。
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x = 0
のとき、y = 2 * 0 = 0
つまり、点(0, 0)
を通ります。
例え:比例関係 ⚖️
「買えば買うほど値段が高くなる」というシンプルな関係を想像してください。
もし1個も買わなければ(入力が0)、値段も0円(出力も0)ですよね。
これはまさに原点を通る関係です。
2. 原点を通らない例:y = 2x + 3
この数式は、入力 x
に 0
を代入すると、出力 y
は 3
になります。
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x = 0
のとき、y = 2 * 0 + 3 = 3
つまり、点(0, 3)
を通ります。原点(0, 0)
は通りません。
例え:基本料金があるサービス 📞
「基本料金3000円に加えて、使った分だけ料金が加算される」サービスを想像してください。
たとえ全く使わなくても(入力が0)、最低3000円はかかります(出力が3000)。
これは原点を通らない関係です。
ニューラルネットワークと「原点を通る」ことの意味 🧠
ニューラルネットワークの文脈で、「線形変換が原点を通る」ということは、バイアス項がない状態を指します。
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バイアスがない場合:
出力 = 重み × 入力
- もし全ての入力がゼロだったら、出力も必ずゼロになります。
- これは、モデルが学習できる関係性が「原点を通るもの」に限定されてしまう、という大きな制約を意味します。
- 例えば、クラスを分ける境界線(決定境界)も、常に原点を通る線しか引けなくなります。現実のデータでは、分類の境界が原点を通らない場所に存在することがほとんどです。
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バイアスがある場合:
出力 = (重み × 入力) + バイアス
- バイアスがあることで、入力が全てゼロでも、出力はバイアスの値になります。
- これにより、モデルは原点を通らない関係性も学習できるようになり、決定境界を自由に移動させてデータに最適な位置に設定できるようになります。
もしニューラルネットワークにバイアスがなければ、モデルはデータが原点を通るという非常に強い仮定のもとでしか学習できません。これでは、現実世界の複雑なデータパターンに対応することが極めて難しくなり、分類や予測の精度が大幅に低下してしまいます。バイアスは、モデルが現実の多様なデータに柔軟に対応し、より賢くなるための「土台」となる非常に重要な要素なのです。
まとめ 🚀
「原点を通る」とは、数式やグラフが示す関係性が、全ての座標がゼロである点 (0,0)
や (0,0,0)
を通過することです。ニューラルネットワークにおいては、バイアスがない線形変換がこの「原点を通る」という制約を持ち、モデルの表現能力を著しく制限します。バイアスを導入することで、この制約が取り払われ、モデルはより柔軟に、そして正確に現実世界の複雑なパターンを学習できるようになります。