こんにちは、Apple Vision Pro発売日にvisionOSアプリを3つ公開した個人デベロッパです。
本記事では、iOSアプリ公開経験もある私が「visionOSアプリをApp Storeで公開するために必要な知識」を紹介します。
大前提
基本的にiOS/iPadOSアプリとほぼ同じです。
「iOS/iPadOSアプリをApp Storeに公開する方法」については公式日本語ドキュメントや多くの優れたブログ記事が既にあります。また、多くのデベロッパがiOS/iPadOSアプリをApp Storeに公開した事があるでしょう。
そのため、今回は「iOS/iPadOSアプリと明確に異なる部分」や「特に意識しておくべき注意点」等に話題を絞って紹介します。
公式ドキュメント(visionOS向け)
Apple Vision Pro用のApp Storeへのアプリの提出 - Apple Developer
このページはApple DeveloperサイトのvisionOSトップページのヘッダーからすぐにアクセスできます。
(本記事において引用元を個別に明示していない引用テキストはこの公式ドキュメントからの引用です。)
「アプリモーション情報」という固有の設定項目
App Store Connectには、visionOSアプリのアプリモーション情報を入力する必要があります。アプリに素早い回転やカメラ視点の突然の切り替えなどの動きが含まれる場合は、App Store Connectでその情報を提供する必要があります。情報を提供することで、このような体験の影響を受ける可能性があるユーザーに通知するためのバッジがプロダクトページで表示されます。
ドキュメントリンク
アプリのモーション情報の提供 - App Store Connect - ヘルプ - Apple Developer
「iOS/iPadOSアプリ互換性設定」に注意
ほとんどのiPadOSおよびiOSアプリはApple Vision Pro上で変更せずに実行できるため、追加の作業を必要とせず、簡単にアプリをこの新しいプラットフォームに展開することができます。互換性のあるiPadおよびiPhoneのアプリは、すでに提供されているメタデータを使用して、Apple Vision Pro用のApp Storeに自動的に公開されます。App Store Connectでいつでもアプリの公開設定を編集できます。
この設定はデフォルトでオン
つまり、デベロッパ自身がこの設定を意図的にオフにしない限り、どのiOS/iPadアプリもvisionOS上のApp Storeからインストール出来るという事です(一部例外を除く)。
visionOS版をリリースすると互換アプリは自動的に差し替えられる
互換アプリがインストールされている状態でvisionOS版を「ユニバーサル購入」でリリースすると、visionOS版にアップデートされます。
ドキュメントリンク
スクリーンショット/プレビューについて
実機で録画する際はReality Composer Proのデベロッパキャプチャ機能を使う
質の高いスクリーンショットとアプリプレビューを取得するには、Reality Composer Proのデベロッパキャプチャ機能を使用します。コントロールセンターで行われた画面録画からキャプチャしたスクリーンショットやアプリプレビューは使用しないでください。これらの録画はフォビエーションが施され、解像度が制限されています。
シミュレーターのスクショのサイズと規定サイズが異なる
iOSやwatchOSではシミュレーターのスクリーンショットをそのままApp Store Connectにアップロード出来ましたが、visionOSでは規定サイズと異なるため出来ません。
SimulatorでキャプチャしたスクリーンショットをApp Store Connectにアップロードする前に、アップロードの仕様に合わせてサイズ変更とトリミングを行う必要があります。
推奨される文章スタイルについて
基本的に「Apple Vision Pro」と呼ぶ
「Apple Vision Pro」を常に連続する3字として表記し、「A」、「V」、「P」は大文字、その他は小文字にしてください。「Apple Vision Pro」の途中で改行しないでください。「Apple Vision Pro」の前に「the」を加えないでください。
「ヘッドセット」と呼ばない
「Apple Vision Pro」の一般的な呼称として、「ヘッドセット」は使わないでください。
「Apple Style Guide」では…
Appleエコシステムにおける文章表現の推奨スタイルが整理されている公式ドキュメントApple Style Guideでは、「基本的にはApple Vision Proと呼ぶ。何度も言及する必要があるような状況ではheadset(ヘッドセット)ではなくdevice(デバイス)と呼ぶ。」と書いてあります。
Don’t refer to Apple Vision Pro as a headset. In most cases, use the product name; in content where the name is repeated frequently, you can use device.
引用元: https://support.apple.com/ja-jp/guide/applestyleguide/apsg3acde405/web
AR/VR/XR/MRと表現せず「空間コンピューティング」と表現する
空間コンピューティング:アプリは空間コンピューティングアプリとして言及してください。アプリ体験を、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、クロスリアリティ(XR)、複合現実(MR)などと表現しないでください。
もしAR/VR/XR/MRというワードをアプリのApp Storeメタデータに使った場合、審査でリジェクトされるのかどうかは不明です。
もし何らかの理由があってAR/VR/XR/MRといったワードを使わざるをえない場合は細心の注意を払ってください。
翻訳や音訳をしない
「visionOS」、「Apple Vision Pro」、「App Store」は常に英語で表記します。英語以外の言語の文中でも同様です。これらを翻訳したり音訳したりしないでください。
つまり「ビジョンOS」や「アップルビジョンプロ」といった表記はNGです。
「マルチプラットフォームアプリをどうリリースするか」について
iOSアプリ/iPadOSアプリ/watchOSアプリは3つまとめて単一の製品として公開されますが、visionOSアプリは(macOSアプリやtvOSアプリの場合と同様に)別製品として公開できますし、同一製品としても公開できます。
「ユニバーサル購入」について
マルチプラットフォーム対応のvisionOSアプリは「ユニバーサル購入」で同一製品として公開することを(基本的には)オススメします。
ユニバーサル購入を使うと、ユーザーはアプリを一度購入するだけで、所有するすべてのAppleデバイスでそのアプリを見つけて楽しむことができます。アプリ内購入とサブスクリプションも簡単に設定でき、複数のプラットフォームで共有できます。
プロダクトページには、アプリがサポートするその他のプラットフォームがスクリーンショットとともに表示されます。また、マーケティングチャネル全体で1つのURLを使ってアプリを宣伝できるようになります。
visionOS向けのアプリを有料アプリとして別途提供したい場合は、App Store Connectで新規のアプリレコードとして設定してください。
ドキュメントリンク
ユニバーサル購入の提供 - サポート - Apple Developer
「プライバシーラベル」に新項目
プレイバシーラベルのデータグループに「周囲の環境」と「人体」が追加されました。
App Storeでアプリを探したりするには(基本的に)実機が必要
App Storeでどういったアプリが配信されているのか調査したい場合、実機のApp Storeアプリを使う必要があります。
visionOSアプリのApp Store製品ページはWebでも閲覧可能
iPhoneアプリ同様に製品ページはWebでも閲覧可能です。
Web版簡易App Store
App StoreアプリのトップページをベースにしたWeb版App Storeが3月中旬くらいから(しれっと)公開されています。検索機能は無いようです。
[追記 2024-06-24]検索機能が追加されました。
(visionOSアプリ固有の話ではないが)プライバシーマニフェスト対応作業が必要
Appleプラットフォーム向けにApp Storeでアプリを公開するためには2024年5月1日から「プライバシーマニフェスト」に対応する必要が(殆どのケースで)あります。本記事では説明しません。
参考リンク