VAST4.2でつくる動画広告の世界 その2(VASTタグ)

前回の第1回目で VAST が動作する仕組みを大まかに説明しました。

今回から VAST4.2 の各要素を見ていきます。

TL;DR

• ラップ(3pas入稿)するか否かで、<Wrapper>か<InLine>を使い分ける
  • ラップする場合でも各種計測タグなどは利用できる
• VAST4では <AdServingId> という広告リクエストごとに一意のIDが必須になる
• VAST4では <UniversalAdID> というシステム間で一意のクリエイティブを示すIDが必須になる

VAST xmlの構成要素

アウトラインの説明を優先するため、AdPodやメザニンファイル等の指定方法は次回以降、個別に説明します。
また、要素の数が多すぎるので、必須のものをメインにして説明します。

どの要素を使って広告を組み立てるかはPlayerに委ねられるのため、基本的にはID等を除き

<AdTitle>○○商品の施策 9月</AdTitle>

のような内部情報ではなく、

<AdTitle>商品名</AdTitle>

のようなユーザーが見ても違和感ないような情報を使ったほうがいいと思います。

VASTタグ

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<VAST version='4.2' xmlns:xs='<http://www.w3.org/2001/XMLSchema>' xmlns='<http://www.iab.com/VAST>'>
  <Ad id='1'>
    <InLine>
      <!-- InLineタグ -->
    </InLine>
  </Ad>
</VAST>

<VAST> がrootになり、その配下に <Ad> か <Error> のどちらかを指定します。

Ad内にはさらに <Wrapper> もしくは <InLine> を指定することができます。

• <Error>
  • noad(返す広告がなし)を表す
• <Ad>
  • <Wrapper>
    • VASTは自身のVASTから他のVASTを参照することができます(前回参照)。ラップする場合、このタグでVASTのURLを指定する
      • ラップする場合でもImp計測や各種ビーコンの測定はできるため、 <Impression> や <Creatives> は利用できる
  • <InLine>
    • 実際に配信するクリエイティブ情報を載せる
    • id: 識別子
    • sequence: Ad Pod。重要な機能なのでまた説明します。
    • adType: video or audio or hybrid。省略した場合はvideo。

InLine / Wrapper タグ内

<InLine>
  <AdSystem version="1.0">AD_SYSTEM</AdSystem>
  <Error><![CDATA[https://example.com/error]]></Error>
  <Impression id="Impression-ID"><![CDATA[https://example.com/track/impression]]></Impression>
  <Pricing model="cpm" currency="USD">
    <![CDATA[ 25.00 ]]>
  </Pricing>
  <AdServingId>AD_SYSTEM-00000000-0000-0000-0000-000000000000</AdServingId>
  <AdTitle>AD_TITLE</AdTitle>
  <Creatives>
    <!-- Creativesタグ -->
  </Creatives>
</InLine>

<Wrapper>
  <AdSystem version="1.0">AD_SYSTEM</AdSystem>
  <Error><![CDATA[http://example.com/error]]></Error>
  <Impression id="Impression-ID"><![CDATA[http://example.com/track/impression]]></Impression>
  <Creatives>
	<!-- Creativesタグ -->
  </Creatives>
  <VASTAdTagURI>
    <![CDATA[http://example.com/vast_inline.xml]]>
  </VASTAdTagURI>
</Wrapper>

• <AdSystem>
  • 配信システム名
  • 必須
  • InLine or Wrapperで利用化
• <AdTitle>
  • 広告タイトル
    • メディアによってはこの名前が表示される場合がある
    • 余白が足りない場合は <Description> (オプション)を使う
  • 必須
  • InLineでのみ利用化
• <AdServingId>
  • 広告ライフサイクルのID
    • 1つのImpから各種トラッキングやクリック等を、複数システムをまたいで一意に識別できるID
    • <InLine>で一意である必要があるため、AdPod等で複数<InLine>がある場合は別々のAdServingIdを付与する必要がある
    • GUIDもしくはAdSystem+GUIDなどの、十分にユニーク、もしくはタイムスタンプと組み合わせてユニークな値が推奨
    • [ADSERVINGID] マクロで展開可能
  • InLineのみ利用化で必須
• <Impression>
  • Impビーコン
    • Imp通知用URIを指定
  • InLine or Wrapperで利用化
• <Category>
  • 広告のカテゴリ
    • カテゴリIDまたはラベルを指定
    • authority　でカテゴリリストを渡す必要あり
  • パブリッシャーが要求しない限りはオプション
  • InLineでのみ利用化
• <Pricing>
  • RTBの価格を指定できるらしい
    • OpenRTB等の一般的なRTBの仕組みでは既に価格設定のプロトコルがあるため、何に使うかはよく分からない
  • オプション
  • InLine or Wrapperで利用化
• <ViewableImpression>
  • PlayerがViewableと判断した段階で発火するビーコン
    • <Viewable>
      • 視聴可能を満たした場合に発火
    • <NotViewable>
      • 視聴可能に満たなかった場合に発火
    • <ViewUndetermined>
      • 視聴可能か判断できなかった場合に発火
  • オプション
  • InLine or Wrapperで利用化

Creativesタグ内

<Creatives>
  <Creative id="1" sequence="1" adId="1">
	<UniversalAdId idRegistry="example.com">11111111<UniversalAdId>
    <!-- Linearタグ -->
    <!-- Companionタグ -->
  </Creative>
</Creatives>

• <Creatives>
  • クリエイティブそのものを示す、 <Creative> をまとめる要素
  • InLineの場合は1つ必須、Wrapperの場合は 0 or 1
  • <Creative>
    • 複数存在できる
    • id
      • クリエイティブを提供する 広告システム を識別するためのID
    • adId
      • クリエイティブ を識別するための広告システムで一意のID。後述のUniversalAdIdが導入され、システムをまたいだ一意のIDが特定できるようになったので、今後不要かもしれない
    • sequence
      • 広告を再生する順番
      • Ad sequenceとCreative sequenceが非常に紛らわしいが、この Creative sequence はPodではなく、単純に1クリエイティブとして複数コンテンツを再生する
    • <UniversalAdID>
      • システム間で一意のクリエイティブ識別子
        • 一意のクリエイティブを示す文字列
      • 必須
      • idRegistry
        • カタログ化されているサイトのURL
        • idRegistryのサービスドメインとIDでシステム間で一意になる理解
      • e.g.
        • <UniversalAdId idRegistry="ad-id.org">CNPA0484000H<UniversalAdId>
        • <UniversalAdId idRegistry="clearcast.co.uk">AAA/BBBB123/030<UniversalAdId>

あとがき

今回はVAST全体の構成と、Creativesタグまでを説明しました。
Creative内には 前々回 話した Linear、NonLinear(廃止)、Companionと複数のパターンがあるため、次回に分割して説明します。

Supershipではプロダクト開発やサービス開発に関わる人を絶賛募集しております。
Supership 採用サイト