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デジタル赤字縮小のためのWeb画像軽量化

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AWS に代表される海外クラウドサービスの利用は、貿易という観点では輸入になる。国内における海外サービスの利用は増す一方であり、IT 分野においては輸入超過の赤字が体質化している。それが「デジタル赤字」の問題だ。

この デジタル赤字を縮小する意外な方法が Web 画像の軽量化だ。

  • AWS のコストダウンに有効で、デジタル赤字を縮小できる。
  • 処理を自動化しやすく、稼働し始めると運用の手間がかからない。
  • 通信量が減るのでユーザーのモバイル通信コストも減り、表示も早くなる。

画像軽量化というと表示高速化のイメージが強いが、ネット回線が高速になった現在では期待するほどのインパクトはなくなった。

それよりはクラウドコストの面において確実な効果があり、事業者・ユーザー・国の貿易収支にメリットのある、まさに「三方よし」の打ち手になる。

なぜ画像軽量化で AWS の料金が下がるか

AWS をはじめ海外クラウドサービスのほとんどは、いわゆるサーバー代と別にデータ送信料金がある二階建ての料金体系になっている。

ユーザー送信するデータ量が多いほど追加費用がかかり、このデータ送信料金が案外バカにならない。

オレンジと青の長方形からグローバルネットワークとクラウドサーバーへの矢印

通常、ユーザーに送信するデータに占める割合が最も大きいのは画像である。したがって画像を軽量化すると送信データ量が減り、データ送信料金は安くなる。

ファイル形式変換とデータ転送の図解

これはシンプルに単価の決まったデータ送信量が減るという話なので、金額の大小はあってもコストダウンは必ず実現できる。

知っている人には常識なのだが、経営層にもなると「AWS = サーバー代」の粒度で解釈されていることも珍しくない。話してみると「知らなかった」と驚かれることがある。

データ送信料金はどのくらい安くなるのか

まずは今のデータ送信料金を把握しよう。

通常、AWS における Web サイトのインターネット側の出口は CDN(CloudFront)になる。したがって AWS の料金内訳を見て、CloudFront の料金 = データ転送料金 と見てよい。

正確にはみなさんの AWS 料金の内訳を確認いただくとして、月 100 万 PV のサイトのおおよその目安を示す。

  • メディアサイト: 月 100 万 PV → 約 8.5 万円 (1PV あたり 5MB / $1=150 円を想定)
  • EC サイト: 月 100 万 PV → 約 17 万円 (1PV あたり 10MB / $1=150 円を想定)

サイトの売上に対するとそこまで大きな割合ではないかもしれないが、コストは 1 円でも減らしたい。

Web 画像は通常、JPEG、PNG、GIF のいずれかで配信されるが、もし画像をこれらの従来フォーマットから 次世代画像フォーマット に変換すると、画質を変えずに経験上、画像データ量は半分に軽量化できる。

様々な画像ファイル形式がWEBP形式に変換される様子

すると上記のデータ送信料金は以下のように削減できる。

  • メディアサイト: 60%が画像と想定 → 画像軽量化で 30%削減 = 約 2.6 万円節約
  • EC サイト: 80%が画像と仮定 → 画像軽量化で 40%削減 = 約 6.8 万円節約

言い換えると、今後も従来フォーマットで画像を配信するのはユーザーに同じ画像を届けるために 2 倍の配送料を AWS に献上し続けるのと同義である。しかもユーザーにも負担がかかる。

クラウド上のサーバーから様々な形式の画像が世界中に配信される様子

次世代画像フォーマットに切り替えるには

現在、主流となっている次世代画像フォーマットは、WebP または AVIF である。特に WebP は対応ブラウザのシェアが 97%を超えており、例えば今後は Web 画像は WebP で出力するという判断もありえる。

webp画像フォーマットの主要ブラウザにおける対応状況

しかし、CMS や EC システムによってはまだ WebP に対応していない場合も多いだろう。「今から画像は軽量な WebP で!」と言われても即座に対応できない。

現実的には、従来の画像フォーマットから WebP への変換を自動で行い、問題を解決する仕組みを設けるのがよい。しかしそれにはさまざまな方法や製品があり、ここでは解説しきれない。

宣伝になり恐縮だが、弊社では LightFile Proxy というサービスを提供している。

これは画像データの提供元である Web サーバーや Amazon S3 バケットと CloudFront の間に立ち、従来フォーマットの画像を適切に WebP へ変換する仕組みだ。

WebサーバーまたはS3からLightFile Proxyを経由してCloudFrontへ画像が配信される様子

このサービスのメリットは、既存の Web サーバーや Amazon S3 バケットには変更を一切加えることなく、AWS から送信する画像を WebP に変換できる点にある。開発作業は不要で、導入したその日から AWS のデータ送信料金を削減できる。

まとめ

以上のように AWS に代表されるクラウドプラットフォームの料金は、単純なサーバー代だけではなく、データ送信料金との二階建て料金体系になっている。

最もデータ量が大きい画像を軽量化することで、そのデータ送信料金は確実に削減できる。

今や次世代画像フォーマットも成熟しており、WebP や AVIF への切り替えを推奨する。それにより、データ送信料金を 30%〜40%程度削減できる見込みが高い。

近年は海外 IT サービスの隆盛が著しく、円安も常態化している。企業の負担は大きく、デジタル分野での貿易赤字も深刻だ。Web 画像の軽量化は、地味ながら戦略的な技術投資となる。ぜひ検討いただきたい。

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