はじめに
この投稿は「最近のRPAベンダー関連のニュース」から、気になったものをピックアップし、流れを読み解こうという内容です。
「RPACommunity」の アドベントカレンダーの 2日目 の記事でもあります。
内容は特定のベンダー、製品またはサービスを推奨するものではありません。了承下さい。
そして、記事の内容は全然深くありません。(むしろざっくり&浅め)
RPAベンダーのお金にまつわるニュース
最近何かと、買収やら資金調達のニュースが多いRPA業界ですが、過去のネット記事からピックアップして並べてみました。
時期 | ドコが | 何をした | 補足など |
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2021/10 | Microsoft | API統合プラットフォームの ClearSoftware(アメリカ)を買収 |
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2021/09 | Blue Prism | Vista Equity Partners によって買収 |
約1652億円。 傘下のTibcoに合流 |
2021/08 | Salesforce | RPAベンダーの ServceTrace(独)を買収 |
傘下のMulesoftに合流 |
2021/08 | Appian | プロセスマイニング ベンダー の Lana Labs(独)を買収 |
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2021/04 | IBM | プロセスマイニング ベンダー の myInvenio(イタリア)を買収 |
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2021/03 | ServiceNow | RPAベンダーの Intellibot(インド)を買収 |
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2021/03 | UiPath | API統合プラットフォーム の Cloud Elements(アメリカ)を買収 |
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2021/02 | SAP | ローコードツールベンダーの AppGyver(ロシア)を買収 |
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2020/07 | UiPath | 市場から資金調達 | 241億円 テンセント等から |
2020/07 | IBM | RPAベンダー の WDG Automation(ブラジル)を買収 |
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2020/05 | Microsoft | RPAベンダー の Softomotive(ギリシャ)を買収 |
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2020/04 | BluePrism | 市場から資金調達 | 134億円 |
2020/01 | ノーコードプラットフォーム の AppSheet(アメリカ)を買収 |
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2019/10 | UiPath | プロセスドキュメンテーションツールベンダー の StepShot(ウクライナ)を買収 |
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2019/10 | UiPath | プロセスマイニングツール・ベンダー の ProcessGold(オランダ)を買収 |
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2019/03 | Apple | RPA企業 の Stamplay(イタリア)を買収 |
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2019/02 | Automation Anywhere |
市場から資金調達 | Workday Venturesから |
2018/11 | Automation Anywhere |
市場から資金調達 | 3億ドル ソフトバンクビジョンファンドから |
2018/11 | SAP | RPAベンダー の Contextor(仏)を買収 |
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2018/04 | Automation Anywhere |
市場から資金調達 | 2億5,000万ドル |
2018年までさかのぼってみましたが、年度別に見ると
- 2021年:8
- 2020年:5
- 2019年:3
と、RPA関連企業に関わる買収や資金調達のニュースが、徐々に増えています。
最近は「資金調達」よりも「関連企業の買収によるRPA成長戦略」と「テックジャイアントによるRPAサービス取り込み」が多いです。
特に、API/プロセスマイニングのサービスが人気です。
前製品/サービスの「プロセスマイニング」を組み入れる動きと、APIで外部連携を含めた「システムの中心」にRPAを据える動きなのかな。
この買収の流れは「RPAが流行ってなくて、市場が衰退しているから買収が多いのだ」という、安易な話ではなく、逆に市場として正しく次のステージに来ていて、「ローコードツールとしてのRPAを、前後サービスも含めてサービス化する」「総合力で勝負していく」という動きだと思います。
RPA市場は拡大しているのか?
RPAは「ピーク時期」を超えて「幻滅期」に入っているのは事実だと思いますが、「流行ってる/流行ってない」は、感覚の個人差があるので、難しいところです。
ただし、有名な「ガートナー」のレポートによれば、
RPA市場はCOVID-19による経済的な圧力にもかかわらず、
2024年まで「2桁」の成長率で拡大すると予測される
と書かれており、市場全体規模としては「拡大している」と言えそうです。
ただし、一部のユーザー企業では「期待はずれ・導入失敗」による「幻滅期での撤退」はあると思います。(全てのプロジェクトが「うまくいく」訳は無い。失敗もある)
また、取扱高を牽引しているのが「大企業によるRPA大規模導入」の可能性もあり、中小規模では「お試し導入」で止まっている可能性もあるかもしれません。(どちらかと言うと、RPA化を進める人材不足の問題?)
ガードナーの予測通りに「2024年まで「2桁」の成長率で拡大」した後で、2025年以降の成長はどうなのか?気になりますが、そんな先まで予想できる訳ないですよね。
その頃になると「ある程度RPAが各業務に行き渡る」ことで、新規の伸びが減るのかもしれませんが、技術の進化で違う未来になっているかもしれません。
その頃になると「ローコード・オートヒーリング(RPA自体が不具合を自動修復する)」が進んで、開発費も相当低くなっている可能性もありますし。そうでないかもしれない。(ワカラナイ)
いや、RPAというワード自体が、なにか違うものになっているかもしれない。(しらんけど)
RPAベンダーたちの動き
RPA業界もついに「買収」や「資金調達」というカードも使いながら、各社競争するフェーズに入ったと言えますが、市場でのベンダー評価も変わってきています。
かの有名な「ガートナー」社のレポート は、各社の評価が細かく書かれていて、非常に勉強になりますが、2021年版を見てみると
- 買収側のMicrosoft や Salesforce(ServceTrace)が急成長
- 買収&資金調達を終えた UiPath がリーダーを維持
- 資金調達&提携を終えた AutomationAnywhere も高い評価
という内容が読み取れます。
BluePrism は今は少し下がっていますが、 Vista Equity Partners からの資金調達(買収)を今年行い、製品拡大を進めてくるはずなので、来年は上がってくる可能性もあります。
また、こちらも有名な「Everest Group の RPA PEAK Matrix」の2021年度版の表も、ガートナーと同じような評価になっています。
買収の記事も絡めて考えると、2021年は「資金豊富な巨大企業による、全面的な戦いの幕開け」な感じがします。(大きければ良いという話ではないので、独自のカラー・戦略で評価される企業もあるはず)
終わりに
RPAベンダーがどんどん変化している中、1,2年先でもう「全然違う製品になってるー」なんてこともあるのかも。関わっている人のポジション・役割も、今後もどんどん変わるのでしょう。
激動の2021年が終わり、2022年も新たなニュースがあると思いますが、みなさん、今年一年お疲れさまでした。(まだ終わってないけど)
この記事が参考になったら、 LGTMをお願いします。閲覧ありがとうございました。