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この処理、簡単に自動化できたらイイな!をASTERIA Warpで試してみよう! by アステリアAdvent Calendar 2022

Day 14

OpenAIの画像生成APIで、LINE Botをつくってみた | ノーコードのデータ連携ツールを使って

Last updated at Posted at 2022-12-13

2022年12月現在、OpenAIが開発した対話型チャットボットの「ChatGPT」が話題です。

OpenAIは対話型のチャットボットだけでなく、AIによる画像生成のAPIも公開しています。
今回はこの画像生成APIを使って、LINE Botをつくってみました。

完成形

以下が完成したBotの画像です。LINEで友だち登録して使います。
メッセージを送ると、AIが画像生成してくれます。画像生成にかかる時間は5秒くらいです。
ProgrammingSantaClausPng.png
Enlightened-Santa-Claus.png
Santa-Claus-spoils-his-reindeer.pngSanta-Claus-playing-soccer-with-reindeer-on-a-beach-in-Hawaii.png

処理の流れ

今回つくったBotの大まかな処理の流れです。
process-flow-resized.png

上図の ASTERIA Warp は、ノーコードのデータ連携ツールです。
ASTERIA Warpを使うことで、「AからBへデータを渡す」といった処理をかんたんに実装できます。そのためコードを一行も書かずに、LINE Botをつくることができました。

対象読者

今回の記事は、以下のような方を対象にしています。

  • ノーコードでLINE Botをつくってみたい
  • OpenAIの画像生成APIを使ってみたい
  • ASTERIA Warpを使う場合は、企業の方

ASTERIA Warpは企業でないと導入できないようです。費用など詳しくは、公式サイトを確認してください。

ASTERIA Warp 製品ラインナップ・価格

参考記事

実装にあたって、まず以下の記事を参考にしました。ASTERIA Warpの公式ブログ記事です。

ASTERIA Warpには、LINEアダプターというものが用意されています。このアダプターを利用することで、LINE公式アカウントに友だち登録されているLINEユーザーへ簡単にメッセージの送信ができます。

実際につくってみる

それでは実際につくっていきます。具体的な手順は以下の通りです。

  1. ASTERIA Warpでプロジェクトとフローをつくる
  2. フローをブラウザから実行できるようにする
  3. ASTERIA WarpサーバーでHTTPS通信をする
  4. LINE公式アカウントを開設する
  5. LINE Developersコンソールで、Webhookを設定する
  6. LINEアダプターを利用する
  7. Google CloudのTranslation APIを設定する
  8. OpenAIのImage Generation APIを設定する
  9. 生成した画像をLINEユーザーへ返信する

ASTERIA Warpでプロジェクトとフローをつくる

私は今回、手ぶら de ASTERIA Warp 体験 5日間を利用しました。クラウド上で手軽に試せる5日間の体験版です。リモートデスクトップでサーバーに接続して試せます。

まずこのASTERIA Warpでプロジェクトをつくります。プロジェクトというのは、複数の処理をまとめて管理するためのものです。

詳しくは、公式のチュートリアルガイドなどを参考にしてください。「手ぶら de ASTERIA Warp」を利用すると、リモートデスクトップのデスクトップにチュートリアルガイドが用意されています。

私はこのチュートリアルガイドで、基本的な操作を学びました。基本的な操作を覚えるのにかかった時間は、2時間ほどです。

プロジェクトをつくったら、その中にフロー(フローサービス)をつくります。フローなどASTERIA Warpの概要については、以下の動画が分かりやすいです。

フローをブラウザから実行できるようにする

LINEでWebhookを設定すると、LINEユーザーの送ったメッセージ情報を任意のURLへ送信できます。

今回の実装では、下図②の部分です。
1-2.png
この②では、LINEのWebhookで設定したURLを、ASTERIA Warpのフローを実行するトリガーにします。これにより、LINEのメッセージ情報をASTERIA Warpで受け取ることができます。

フローの具体的な作成方法については、以下の公式マニュアルが参考になります。

このマニュアルにそって、URLトリガーによるHTTP起動の実行設定を定義します。
ブラウザから実行できるようにするには_–_ASTERIA_Warp_サポートサイト-ADN.png

ブラウザから実行できるようにするには_–_ASTERIA_Warp_サポートサイト-ADN-2.png
(画像は上記マニュアル https://support.asteria.com/hc/ja/articles/236098287 より引用)

ASTERIA WarpサーバーでHTTPS通信をする

LINEと連携するためには、HTTPS(SSL/TLS)での通信が求められます。

LINEからASTERIA WarpサーバーへHTTPSで通信するため、ngrokというサービスを利用しました。ローカルPCやプライベートネットワーク上のサーバーと、外部ネットワークをつなぐリバースプロキシです。
ngrok.png

このngrokを利用することで、かんたんにHTTPS通信で外部サービスと連携できます。先ほど「フローをブラウザから実行できるようにする」で登録したURLトリガーのURL(HTTP)を、ngrok経由でHTTPSとして公開します。

具体的にはASTERIA Warpが稼働しているサーバーのコマンドプロンプトで、以下のようなコマンドを実行します。

ngrok http 21380   # 21380ポートのサーバーをngrok経由で公開する

もちろんASTERIA Warpを使ったサービスを第三者に公開して運用する場合などは、安全のためngrokからASTERIA Warpへの通信もHTTPS(SSL/TLS)で暗号化した方が良いでしょう。以下の記事が参考になります。記事中の「<事前準備1>ASTERIA Warpサーバーの設定」という部分です。

ASTERIA WarpがLINEBotに!?~LINE公式アカウントにつないでみた~

LINE公式アカウントの開設

LINE公式アカウントを開設します。LINE公式アカウントを利用することで、友だちとして登録されているユーザーへメッセージを自動で送信できます。

アカウントの開設は:point_down:からできます。
【公式】LINE公式アカウントをはじめましょう|LINE for Business

Webhookの設定

LINE公式アカウントを開設したら、LINE DevelopersコンソールでWebhookの設定をします。この設定により、LINE公式アカウントにメッセージが送信されたとき、WebhookイベントからASTERIA Warpサーバーでメッセージ情報を受信できます。

Webhookの具体的な設定方法については、先ほども紹介した以下のブログ記事が参考になります。記事内の「まずは「LINE公式アカウント」のアカウントを開設しましょう。」という部分です。

ASTERIA WarpがLINEBotに!?~LINE公式アカウントにつないでみた~

上記のブログ記事では、フローのURLトリガーをHTTPSにしています。しかし私は今回、フローのURLトリガーはHTTPにして、先ほどngrokで公開したHTTPSのURLをWebhookのURLとして設定しました。
LINE_Developers.png

LINEアダプターを利用する

ASTERIA WarpのLINEアダプターを利用することで、LINE公式アカウントの友だちユーザーへ簡単にメッセージの送信ができます。アダプターというのは、LINEやGoogleなどの外部サービスとASTERIA Warpをかんたんに繋ぐためのモジュールのことです。

詳しくは、すでに紹介した以下の記事が参考になります。

  1. ASTERIA WarpがLINEBotに!?~LINE公式アカウントにつないでみた~
  2. いつものLINEが翻訳アプリに?~LINEで翻訳Botをつくってみた~

この2つ目の記事では、ASTERIA Warpのアダプターを組み合わせてつくる簡単な翻訳Botを紹介されています。またこの記事の最後に、ダウンロードして使えるフローが公開されています。私はこのフローを基に、今回のLINE Botをつくりました。

Google CloudのTranslation APIを設定する

OpenAIの画像生成APIは、日本語でも画像生成できます。そのため当初は日本語で画像生成して、その画像をLINE Botで返信していました。

しかしすぐ、上手くいかないと気づきました。なぜならOpenAIの画像生成APIは日本語が苦手で、関係ない画像が生成されてしまうからです。
リンゴ.png
りんご.png
林檎.png
上の「林檎」では、「林」という字から木々を連想したようです。どうやらOpenAIの画像生成モデルは、漢字を日本語より中国語として認識しているようです。

ためしに、リンゴを中国語(簡体字)で画像生成してみました。すると完璧なリンゴが生成されました。
苹果.png

「女性」でも上手く生成できました。これは「女性」の場合、日本語と中国語で漢字が同じだからだと思います。
女性.png

ちなみに「Woman」だと、西洋系の女性になりました。
woman.png

日本語だと上手くいかないことが分かったので、日本語のメッセージは英語に翻訳してから画像生成することにしました。

そのためGoogle CloudのTranslation APIを利用することにしました。今回の実装では、下図の③の部分です。
3-4.png

具体的な実装方法については、先に紹介した以下の記事が参考になります。

いつものLINEが翻訳アプリに?~LINEで翻訳Botをつくってみた~

:point_up:の記事では英語から日本語に翻訳しています。しかし今回の実装では、日本語から英語に翻訳します。

OpenAIのImage Generation APIを設定する

画像生成(Image Generation)APIを利用して、英語に翻訳したメッセージから画像を生成します。下図④の部分ですね。
4.png

APIへPOSTリクエストするため、ASTERIA Warpのフローでマッパー(Mapperコンポーネント)を使います。マッパーについて詳しくは、以下の公式マニュアルが参考になります。

データのマッピングを行うには

マッパーを使って、英語に翻訳したメッセージをPOSTリクエストのリクエストボディに挿入します。そのためにEmbed関数を使います。Embed関数については、以下の公式マニュアルが参考になります。マニュアル内の「入力データを文字列に埋め込む(Embed 関数)」という部分です。

文字列データを加工するには

Embed関数を使って、以下のようにリクエストボディを作成します。
embed.png

{
    "prompt": "$input1",
    "n": 1,
    "size": "256x256"
}

上記の $input1 に、英語に翻訳したメッセージが入るようにフローを設定します。

リクエストボディのパラメーターについては、OpenAIの公式ドキュメントを参照してください。

Image generation - OpenAI API

英語に翻訳→画像生成のフローは、以下のようにつくりました。
subflow2.png

生成した画像をLINEユーザーへ返信する

OpenAIの画像生成APIで生成した画像をLINEユーザーへ返信します。下図⑤の部分です。
5.png

ASTERIA Warpのフローは、LINEReplyコンポーネントを使って以下のようにつくりました。
subflow4.png

このフローで使っている2つのマッパーは、以下のように設定しています。
mapper2.png
mapper1.png
この2つのマッパーにより、OpenAIの画像生成APIから返ってきた画像URLを「プレビュー画像のURL」と「画像のURL」の2か所に設定しています。

LINEユーザーへの返信処理は、LINEReplyコンポーネントがやってくれます。

これで完成です:tada:

Santa-Claus-praising-programmers.png

まとめ

ASTERIA Warpを使うことで、一行もコードを書かずにLINE Botを作ることができました。以下のようなデータの受け渡し処理を、かんたんに構築できたためです。

LINEのメッセージを翻訳APIに渡す

翻訳結果を画像生成APIに渡す

生成した画像をLINEユーザーへ返信する

ただASTERIA Warpに限らず、ノーコードツールには良いことばかりではありません。以下のようなデメリットもあります。

① 慣れないとデバッグが難しい

普通にコードを書く場合、デバッグ方法が確立しています。たとえばJavaScriptなら console.log でログを出力したり、debugger でブレークポイントを設定するなど。

しかしノーコードツールの場合、ツールの操作方法だけでなく、デバッグ方法も慣れないと分からないことが多いです。私がいろいろ試して学んだASTERIA Warpのデバッグ方法について、後ほど紹介します。

② イレギュラーな処理を実装するのが難しい

普通にコードを書く場合、ググればいろいろな情報が出てきます。少し特殊な処理をしたい場合でも、ググれば解決することが多いです。

しかしノーコードツールの場合、メジャーなプログラミング言語に比べると情報が少ないです。なので公式ドキュメントにない処理を実装したい場合などは、独力での解決が難しいです。ただASTERIA Warpの場合はチャットで手軽にサポートを受けられるようなので、あまり困らないと思います。

ASTERIA Warpのデバッグ方法

ASTERIA Warpのデバッグ方法について、以下の3つを紹介します。

① ログを確認する

ASTERIA Warpでログを確認する方法は、3つあります。詳しくは以下の公式ドキュメントが参考になります。

フローサービスログ

私は「フローサービス管理コンソール」でログを確認しました。管理コンソールにログインして「状態」-「ログ」で確認できます。
log.png

② RESTコンポーネントでテスト実行する

RESTコンポーネントは、ASTERIA Warpで外部のHTTPサーバーと通信するためのコンポーネントです。詳しくは以下の公式ドキュメントが参考になります。

REST - HTTPサービスの呼び出し

このコンポーネントを使うと、HTTPリクエストのテストができます。具体的には、リクエストボディやヘッダーなどを自由に設定して、任意のURLへリクエストを送信できます。リクエストのレスポンスも確認できるので、デバッグに便利です。
test.png

類似のコンポーネントとしてHTTPGet、 HTTPPostコンポーネントがあります。しかしこれらのコンポーネントには、テスト実行ができないなどの制限があります。なのでGETやPOSTでリクエストする場合でも、デバッグするならRESTコンポーネントを使うのが良いでしょう。

③ Webhookのデバッグサービスを使う

これはASTERIA Warpに限らず使える方法です。Webhook.site というサービスを使います。

Webhook.siteにアクセスすると、ユニークかつランダムなURLが発行されます。このURLをWebhookの送信先に設定してリクエストを送信すると、リクエストの詳細を確認できます。
Webhook_site_-_Test__process_and_transform_emails_and_HTTP_requests.png

以下のまとめが参考になります。

Webhook.site のまとめ - Zenn

今回つくったLINE Botの場合、LINE DevelopersコンソールでWebhookのURLを設定しました。このときWebhook.siteで発行されたURLを登録することで、LINEのWebhookイベントで送信されるリクエストの詳細を確認できます。

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