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レキシカル・バインディングとダイナミック・バインディング

Last updated at Posted at 2023-01-10

年末年始から、An Introduction to Programming in Emacs Lispを読んでいます。
ちょっとつまずいた箇所があったので、まとめようと思います。

先にまとめ

Emacs 27.1でレキシカル・バインディングがデフォルトで有効になりました。
GNUのドキュメントでは、その点カバーできていない部分があるようなので、気をつけよう。

レキシカル・バインディングとダイナミック・バインディング

というか、レキシカルとかダイナミックとかって何?という話もあるので、簡単に。

(setq value 255)

(defun inner ()
  (message "inner> value = %d" value))

(defun outer ()
  (let ((value 0))
    (message "outer> value = %d" value)
    (inner)))

上記は、ダイナミック・バインディングが有効か、レキシカル・バインディングが有効かで動作が変わります。

ここでは、valueと名のついた変数が2つあります。
1つはsetqで設定した、グローバル変数に相当するもの。値は255に束縛しています。
もう1つはlet式内で定義された、outer関数のローカル変数に相当するもの。値は0に束縛しています。

ダイナミックバインディングが有効な場合

上記のコードで、(outer)を評価すると、ミニバッファは以下のように出力します:

outer> value = 0
inner> value = 0

inner> value = 0 とあるとおり、inner関数はローカル変数のvalueにアクセスしています。
outer関数の中で呼び出されたinner関数は、ダイナミック・バインディングにより、実行時に直近にある変数にアクセスしました。一番近くにあったのは、outer 内のローカル変数である value。そのため、ミニバッファの出力は inner> value = 0 となりました。

レキシカル・バインディングが有効な場合

同様にして、ミニバッファは以下のように出力します:

outer> value = 0
inner> value = 255

inner> value = 0 ではなくなりました。レキシカル・バインディングにより、inner関数がアクセスするのは、実行時ではなく、コード記述時点で直近にある変数 value。つまり setq で設定したグローバル変数の value です。

Emacs 27.1からはレキシカル・バインディングがデフォルトで有効に

Emacs 27.1からはレキシカル・バインディングがデフォルトで有効になっています。
明示的にレキシカル・バインディングを有効にするには、(setq lexical-binding t) とします。

lexical-binding  ; => t

An Introduction to Programming in Emacs Lispでは、2023年1月現在、この変更に追従できていないのか、ダイナミック・バインディングがデフォルトと記述がされています (そこで混乱して、この文章をまとめるに至りました)。気をつけんとなぁ、と思います。

In computer science jargon, we would say the binding of a symbol is visible only in functions called in the let form; in Emacs Lisp, the default scoping is dynamic, not lexical. (The non-default lexical binding is not discussed in this manual.)
Prevent confusion (Programming in Emacs Lisp)

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