はじめに
日頃、部下や後輩との1on1の場で「自分の方が話過ぎちゃったなぁ」と思う先輩社員はおられませんか? 私はそうです(ドヤァ
いや、ドヤってる場合じゃない。
「話過ぎた」の全てのケースが悪いわけではないと思っています。
が、「後輩が話したいこと、全部吐き出せる場になっているだろうか?」に疑問が沸き始めたら、黄色信号。今年だけでも何度か点灯させてしまい、何とかせねば・・・と自分なりに学んだり試行したりしていました。その結果を少しだけ紹介します。
いわゆる「傾聴」と呼ばれる「話の聞き方」に関するお話です。
私自身まだまだ足らずですが、お手柔らかに・・・
そもそも傾聴とは?
その名の通り、相手の話に耳を傾けて聞くというコミュニケーション手法です。
大事なポイントが3つあると言われています。傾聴三原則。
相手の立場になり相手の気持ちに共感しながら理解しようとして聞く。【共感的理解】
「相手の気持ちを解ろう」とすることが大切。
相手の話が聞き手にとって受け入れがたいことでも、否定せずにまずは聞く。【無条件の肯定的関心】
「なんじゃそら!?!?」と思うこともまずは受け止める。否定しない。
聞き手にとって相手の話が理解できないときは、真摯な態度で尋ね、理解する。【自己一致】
わからないまま「ふーーん」と話を流さない。
ご参考:傾聴とは ~働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳(厚生労働省)
https://kokoro.mhlw.go.jp/listen/listen001/
傾聴の何が難しいのか?
難しさを感じるポイントは聞き手側それぞれかと思いますが、よくあるのはこういうところではないでしょうか?
- 相手の話が一通り終わった後に、なんと返したら良いのかわからない。わからないから、思わず自分の意見や経験を持ち出してしまい、いつの間にか話の主導権がこっち側に・・・
- つい相手の話に口を挟みたくなってしまう
- 集中して話を聞くことが苦手。自分としてはちゃんと聞いているつもりだけど、他のことを考えてしまう
- 沈黙が怖い
私は全部当てはまっていました。特に、沈黙。
関西人のDNAに刷り込まれし沈黙に対する恐怖心が自ずと口を開かせるのか・・・
どないせえっちゅうねん
次のステップで考えてすすめてみました。
「この場は部下の思いを受け止めて、それを一緒に考えていく場所」ということを理解する。
時に部下との1on1を「部下のための時間と場所」と表現することがありますが、部下のために・・!と張り切って話しすぎてしまう傾向がある場合には、このようにもう一段階ブレイクダウンして考えるといいと思いました。
まずは「部下の思いを受け止める」。そしてそのためにも「思いを吐き出してもらう」ことが大事。
「受け止める」ために話を聞く。ポイントは「事柄」と「感情」。
1on1の場で出てくるような(他愛のないことを含む)相談や困り事のお話の場面では、「事柄」を指す部分と「感情」を指す部分に分かれます。
その違いを意識しながら聞いてみています。
☆事柄の例
任されてた仕事が終わった!
☆事柄+感情の例
任されてた仕事が終わった!途中どうなることかと思ったけど終わって嬉しかった!
何の気なく話を聞くよりも「こういうことがあったんだ」「こういう気持ちなんだ」と頭の中で整理しながら聞くことができ、集中して聞ける感じがしています。
受け止めるPart1:「感情」に応答する/「感情」を引き出す
話をしてくれた内容を「受け止める」ためにやることその1は、出てきた感情の部分に応答するということです。
感情に応答というと「それ、わかるわかる!!」という返答が想像されがちですが、決してそうではなくて、話し手が発した「感情」をそのまま返すだけで良いと言われています。
・任されてた仕事が終わった!終わって嬉しかった!
→ 終わったんだ!それは嬉しいね!
・最近忙しすぎて、いろんなことが後手に回ってしまっていて。不安です・・・
→ そうかぁ、やること後手に回っているのを不安に感じてるんだね・・・
「同じ言葉を同じトーンで返す」のが有効なのだそうです。
多くの人は自分が発した感情をそのまま返される=認められた とポジティブに捉えます。単純にそれだけで「嬉しい」と感じるのだそうです。
同じ言葉を使うことで、発した本人の気持ちに100%反応することになるので、三原則のうち【共感的理解】に繋がるそう。へぇ・・・。
この辺りは少しアカデミックなので、そういうものなのか?程度に思ってやってみると、意外と話の流れがスムーズで話し手の反応も良いです。「聞いてもらえている」感が増す のが良いのかなと感じています。
また、聞き手側が複雑にあれこれ考えすぎることなく相手の気持ちに寄り添えるというのも良いところです。
仕事での相談にのっていると、事柄ばかりでてきて感情がなかなか出てこないことも良くあります(話しやすいのは事柄なので)。
そういう時はあえて、感情を尋ねるのも一手です。
ex) 「〇〇の話してくれたけど、その時どういう気持ちだった?」「〇〇と聞かせてくれたけど、それについてはどう思っていた?」★
で。もちろん、そこで出てきた感情に応答する・・・という流れ。
受け止めるPart2:「事柄」「感情」を深堀する
話し手が話をしてくれている内容を聞いて、わからないことは尋ねましょう。三原則にあった【自己一致】です。
真摯な気持ちで質問することが大事です。高圧ダメ絶対。
え?今の話わからなかった。どういうこと??
今の〇〇と言ってくれたところ、〇〇〇という理解でよいかな?/わからなかったのでもう一度、聞かせて欲しいな。
話してくれる内容がおおよそ理解できた と感じても、意図的に深堀する質問を挟むと、新たな事実がわかることもあります。
本人にとっても、問われることで気づいた新たな気づきが得れたりします。
感情についても同様で、少し深堀ってみると本人が新たな気持ちに気づけたりします。
ex)
〇〇の部分について具体的にどういうことか聞かせてほしいな?
なぜそう思ったのかな?★
いつまでにそれを解決したいと思う?★
さっき「つらい」と言ってたけど、〇〇さんは具体的にどういうところにつらさを感じていた?★
沈黙を恐れない
いや。無理。怖い。
・・・と私は思う(え?関西人だから?)のですが、ここまでのステップだけでもやってみると、双方がしーーーんとなる沈黙は生まれにくいかなと思います。
また上記で例にあげたうち、★部分のような問いかけを行った結果、話し手側が熟考して起こる沈黙 というものが起こり得ます。
ここでも「部下のために!」心の強い先輩は助け舟を出したくなるものですが、これは対話を通じて部下側に新たな思考が芽生えるチャンスでもあります。グッと我慢。
「話の聞き方」について、語ってみました。
傾聴にまつわるテクニックはもっともっと奥が深く、ここで語ったことなぞ導入部分の導入にしか過ぎないのですが、これだけでも知っていると知らないでは差があるかなと思います。