日本語 LaTeX コマンド(platex, uplatex, pdflatex, lualatex, xelatex)に応じて、必要な設定(文書クラス、追加パッケージ、graphicxパッケージのオプション)を切り替える稚作のクラスファイル autojsarticle.cls を紹介します。
前提
日本語 LaTeX(pTeX, upLaTeX, pdfLaTeX, LuaLaTeX, XeLaTeX )がインストールされていること。日本語 LaTeX のインストールはいくつかの方法がありますが、TexLive がお薦めです。インストール方法は、 TexWiki を参照してください。
チュートリアル
- 以下のいずれかの方法で autojsarticle.cls 取得し、カレントフォルダに置く
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GitHub から clone
git clone https://github.com/miura-katsuyoshi/autojsarticle
- autojsarticle.cls ←のリンクを右クリックし、名前をつけてリンク先を保存
-
GitHub から clone
- カレントフォルダに sample.tex を作成
- 文書クラスは autojsarticle としてください
- 文字エンコーディングは UTF-8 にしてください
- 取り急ぎ試したい方は、以下の内容をテキストエディタにコピーし、sample.tex の名前でカレントフォルダ(autojsarticle.cls と同じフォルダ)に保存してください
sample.tex
\documentclass{autojsarticle} \begin{document} 世界よ、こんにちは。 \end{document}
- 端末、あるいは、コマンドプロンプトを開き、カレントフォルダ(autojsarticle.cls, sample.tex と同じフォルダ)に移動して、sample.tex をコンパイルする
- platex コマンドを使う場合:
platex sample.tex dvipdfmx sample.dvi
- uplatex コマンドを使う場合:
uplatex sample.tex dvipdfmx sample.dvi
- pdflatex コマンドを使う場合:
pdflatex sample.tex
- lualatex コマンドを使う場合:
lualatex sample.tex
- xelatex コマンドを使う場合:
xelatex sample.tex
- platex コマンドを使う場合:
- sample.dvi をビューアー(Adobe Reader、ブラウザ等)で開く
これを使うと何が嬉しいのか?
以前は、LaTeX で日本語を扱う場合、platex コマンドと dvipdfmx コマンドを使う方法のほぼ一択で、文書クラスは jarticle でした。ところが、近年1、upLaTeX, pdfLaTeX, LuaLaTeX, XeLaTeX 等の様々な拡張版の TeX が登場しました。これらの拡張版の LaTeX を使う場合、適切に、文書クラス、文書クラスオプション、追加パッケージを設定する必要があったり、graphicx パッケージ使用時に適切なオプションを指定する必要があったりと、非常に複雑な状況になっています。また、Visual Studio Code + LaTeX Workshop 等の統合環境を使う場合、標準の設定では海外で主流の pdflatex が使われますが、pdflatex で日本語を扱うためには適切な設定が必要となります。
この autojsarticle.cls を使うと、自動的に、必要な設定が切り替えられるので、使用する LaTeX コマンドに応じて設定を変更する必要がなくなります。Visual Studio Code + LaTeX Workshop では、標準設定でコンパイル&プリビューができます。
使い方
- クラスファイル autojsarticle.cls を、LaTeX コマンドが参照可能なフォルダに置く
- 手っ取り早い方法は、カレントフォルダに置くことです
- システムにインストールしたい場合は、/usr/local/texlive/texmf-local/tex/latex/local/ 等のフォルダに置き、mktexlsr コマンドを実行してください
sudo mktexlsr
TeX のインストールフォルダ(上述の /usr/local/texlive)は、OS や TeX のインストール方法によって異なります。TeX をコンパイルすると、様々なシステムファイルのパスが表示されますので、それを参考にしてください。
- LaTeX ソースファイルの1行目に記載する文書クラスを autojsarticle にする
文書クラスの指定
\documentclass{autojsarticle}
- 文字エンコーディングは UTF-8 にしてください
- autojsarticle.cls は、jsarticle.cls を呼び出しています。jsarticle クラスで使用可能なコマンドを使用可能です
- 文書クラスオプションは、そのまま、jsarticle.cls に伝達されます
文書クラスオプションの指定例
\documentclass[12pt]{autojsarticle}
- graphicx パッケージはインクルード済みですので、
\usepackage{graphicx}
は不要です
- LaTeX コマンド(platex, uplatex, pdflatex, lualatex, xelatex のいずれか)でコンパイルする
- platex, uplatex は DVI ファイルを生成します。dvipdfmx コマンドで PDF に変換してください
- pdflatex, lualatex, xelatex は、直接 PDF ファイルを出力します
どの LaTeX コマンドが良いの?
正直、どの LaTeX コマンドが良いのかは、よくわかりません。
GitHubリポジトリ
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執筆時点は2023年 ↩