この記事はNuco Advent Calendar 2022の23日目の記事です
日本は存亡の危機に瀕している
私は今、人生史上最大の危機感を抱いている。
まず結論から言わせて欲しい。2022年12月25日現時点で、東京、いや、首都圏はいつ消滅してもおかしくない状況だ。
そのXデーは私にもわからない。こうして記事を書いてる最中にXデーが訪れ、私は記事執筆中に天に召される可能性すらある。
それほど緊迫した状態なのだ。この危機感を皆さんに急いで共有するべく、ペンを握ることを決意した。(実際はキーボードペチペチする決意をした。)
この記事を書こうと思ったきっかけ
先日、Twitterを閲覧していたところ、このようなツイートを目にした。
私はこのツイートを見た時、自分の目を疑った。
Web系エンジニアと呼ばれる集団がIT業界にいて、そのWeb系エンジニアの一部の過激派とSIer一派との折り合いが悪いということまでは最近よく噂に聞いていた。
しかし実際に目にする機会がなかったため、その正体については不明な点が多かった。
このツイートを見てその正体を知って驚愕した。過激派Web系エンジニアの正体は反SIerだったのだ。
反SIer、実際にお目にかかったことはないが、名前から察するにSIerの反物質にあたる存在であろう。
現代の科学力で実現できているのは、微量の反水素を数時間から1日ほど留めておける程度だと認識していた。
しかし実際は違ったようだ。反原子で構成された反人間とでも言うべきいう複雑な物質がこの現代社会でITエンジニアとして生活していようとは、にわかに信じがたい事実を目の当たりにしてしまったのだ。
機関がまさかここまで実験を進めていたとは…。
いや、機関についてこれ以上触れるのはやめておこう。。
エル・プサイ・コングルゥ
反物質と対消滅反応
ここまで読んでも何がヤバいのかわからない方も一定数存在すると思う。
そんな方に向けて反SIerと呼ばれるものがどれだけ危険な存在であるかを説明しておきたい。
ITとは直接関係ない分野であるが、なるべく事前知識がない方にもわかるように解説するので、ぜひこの章の最後まで読んでいただきたい。わからない場合は雰囲気で読んでもらって全く問題ない。筆者も雰囲気で書いている。
そうすれば日本が存亡の危機に瀕している、というのが冗談ではなくて、現実に起こり得るシナリオだ、というのがご理解いただけると思う。
また、以後の説明を物理学的に正しく厳密に記述するためには、ミクロな世界の現象を記述するための言葉が必要となる。
人間の眼で捉えられる大きさはおよそ0.1mm程度と言われている。ここで言うミクロな世界とは、それよりもずっとずっとずっと小さい世界のことである。
それと比して我々人間の目に見えている世界はマクロな世界と呼ばれており、両者を同じ言葉で説明するのは少々無理があるが、この記事では便宜上、正確さよりもわかりやすさを優先し、専門家の方から見た場合、不適切な表現をしてしまうことをお許しいただきたい。
物質と反物質
まず物質と反物質について説明させていただきたい。
物質と素粒子
ここで言う物質とは、物理学上の物質であり、「ある空間を占め、有限の質量をもつもの」のことをいう。
物質でないもの、とは概念や精神、感情といったものになる。
この物質というものは分子という要素に分解でき、分子はさらに原子で構成されており、この原子というものが物質を構成する基本要素である、ということを学校で耳にしたことがあるはずだ。授業つまんないから居眠りしてたと思うが、寝てても聴覚は機能しているので耳にしたという事実に変わりはない。覚えてないだけだ。
さらに進路によっては、原子というものが陽子、中性子、電子から構成されているということも学校で習っているだろう。
そしてそれらは更に素粒子と呼ばれる構成要素からなっており、現代の物理学では素粒子が物質を構成する最小要素とされている。
上画像は標準模型と呼ばれる素粒子の一覧表である。実際の物理現象は標準模型を用いても完全には説明できず、これは物理学の未解決問題として知られている。
標準模型には載っていない素粒子も存在している、もしくは理論上、存在することが予想されている。
陽子と中性子はクォークと呼ばれるいくつかの素粒子から構成され、電子に関しては素粒子そのものである。
素粒子は質量、スピン、電荷の3つの物理量により分類される。
プログラマにわかりやすいように説明すれば、下記のような型のオブジェクトである。
// 素粒子型
type ElementaryParticle = {
mass: number, // 質量
charge: number, // 電荷
spin: number // スピン
};
便宜上、各プロパティの型をnumber型としているが、実際はnumber型ではなく、取り得る値のバリエーションはもっと狭い。
3つの物理量は各素粒子ごとに決まった値を取り、素粒子自体、標準模型では17種類しか存在していない。
なので標準模型に限って言えば、17種類のオブジェクトのUnionTypeとして表現する方が適切である。
質量は皆さんが知っている質量と同じで、素粒子の重さである。正確には重さではなくて物質の動かしにくさ、を表しているが説明するのが面倒なので重さ、で理解してもらって一旦は差し支えない。
電荷はどのくらい電気を帯びているか、である。電荷はプラスの場合もマイナスの場合もある。乾電池の+/-みたいなものだと思ってもらうといい。
スピンは聞き慣れないかもしれないが素粒子は自転をしていて、その自転の速さや勢いのような度合いを表す。
すごく簡単に言えば、素粒子は重さを持ち、電気を帯びており、自転している。
そしてその値は各素粒子の種類ごとに決められた値を取る。
何ならそれだけ覚えてくれればOKだ。
素粒子は重さがなかったり、電気を帯びてなかったり、自転していなかったりもする。(それぞれのプロパティが0を取り得る。)
例えば光子と呼ばれる素粒子は質量も電荷も0である。光子は皆さんが目にしている可視光を含む電磁波そのものである。
質量も電荷も0であるため、光子は他の素粒子の影響を受けず、物理現象の中でもっとも速い速度で進む。
実際は素粒子は自転しているわけではなくて、マクロな世界のイメージで言うと自転という概念が近しい、というだけである。
前述の通り、ミクロな世界はマクロな世界とは全く異なる世界で、ミクロな世界の概念に完全に対応するマクロな世界の概念はない。
素粒子には大きさという概念があるのかどうかすらわかっていない。
スピンに関しても、スピンはスピン、と表現するのが最も正確であるが、今回の記事は素粒子論の解説が主旨ではない。
反粒子と反物質
次に反粒子について説明しよう。
素粒子の間には反粒子というペアの関係になっているものがいくつかある。
電荷が0でないある素粒子に対して、質量とスピンが等しく、電荷の絶対値が等しい素粒子のことを反粒子と呼ぶ。
光子などの電荷が0の素粒子は反粒子にあたる素粒子は存在しない。
具体例を出して説明しよう。電子は、質量(m), スピン(s), 電荷(e)が下記の値を取る。
m = 9.109 \times 10^{-31}kg
s = 1/2
e = −1.6021×10^{-19}C
また、陽電子と呼ばれる素粒子が存在し、質量、スピン、電荷は下記の値を取る。
m = 9.109 \times 10^{-31}kg
s = 1/2
e = 1.6021×10^{-19}C
上述の通り、電子と陽電子は質量とスピンが等しく、電荷の絶対値が等しいので互いに反粒子の関係になっている。
電子は有名だが、陽電子の方はあまり聞き覚えがないかもしれない。
しかし、陽電子は実際に実験で観測されており、実在する素粒子である。
同様に他の素粒子についても反粒子が存在している、もしくは存在することが予想されている。
先程、陽子はクォークと呼ばれる素粒子から構成されると説明したが、クォークに対応する素粒子として反クォークが存在している。
それらをいくつか組み合わせることで、反陽子と呼ばれる粒子を構成することが可能だ。
さらに水素と呼ばれる物質が存在しているのは皆さんご存知だろう。
最近美容や健康目的でも良く使われているので耳にする機会も多いと思う。
水素原子は陽子一つと電子一つの組み合わせで構成されている。
どこかで見たことある水素の模式図だ。(正確には水素の主たる同位体である軽水素。)
さて、陽子と電子の組み合わせで水素原子が構成されるのであれば、それらの対となる反陽子と陽電子を使って反水素を構成することができそうだ。
そしてそれは実際に存在しており、反水素は実験によって作り出すことに成功している。
反水素は水素の反物質である。
ある物質に対して、それを構成する素粒子の反粒子で構成された物質を反物質と呼ぶ。
したがって、水素の例と同様に考えると、SIerとは企業体であるためその主な構成要素は人間である。
ゆえに、反SIerとは、人間を構成する素粒子の反粒子から構成された、反人間とでも言うべき存在のITエンジニアで構成された企業体であると思われる。
やや長かったと思うが、これで首都圏存亡の危機が目前に迫っていることを説明するピースがほとんど揃った。
いよいよ最後のピースをご紹介しよう。
対消滅
物理学の世界では、粒子と反粒子が衝突することにより、対消滅という現象が起きることが知られている。
対消滅が起きると衝突した粒子と反粒子が光子へ変換される。光子は質量が0だということは先程説明したが、粒子と反粒子が元々質量を持っていた場合、衝突によって2つの粒子分の質量がなくなるのである。この質量はどこへ行くのだろうか。
正解はエネルギーである。粒子と反粒子の衝突によって消失した質量はエネルギーへと変換される。どのくらいのエネルギーになるのかというと、以下の有名な公式によって導かれる。
E = mc^2
Eはエネルギー、mは質量、cは光速を表す。
この公式を導き出したのがかの有名なアインシュタイン博士である。
この公式は質量とエネルギーの等価性と呼ばれる法則を示しており、質量とエネルギーはこの公式によって理論上、相互に交換可能になっている。
つまりSIerと反SIerが物理的に衝突した場合、反物質の関係にあるこれらは対消滅現象によって質量がエネルギーに変換される。
さて、これで首都圏消滅の危機を説明するためのパズルのピースが全て揃った。
ここからが本記事の最も主張したい点である。
もし反SIerとSIerが東京都中心で衝突したら
さて、SIerと反SIerが衝突することの何が問題なのだろうか。
いつもSNS上でやんややんややっててうるさいからいっそのこと消滅してくれた方が治安が良くなって助かる、とお思いかもしれない。(私は思ってない。)
そんな簡単な話ではないのだ。対消滅現象で発生するエネルギー量は戦略核兵器どころの話ではないのだ。実際に計算してみよう。
仮に1g(グラム)の物質と反物質の合計2gの質量が対消滅によってエネルギーに変換されたとすると、下記のエネルギーが発生する。(光速は秒速30万kmとする。)
E(J) = 0.002(kg) \times 300000000(m/s)^2 = 180000000000000J = 1.8 \times 10^{14}J
計算結果は180兆ジュールである。まあ、180兆ジュールと言われてもなんとなくとてつもなくデカそうだけどそもそもジュールが何なのかわからない、という方もいらっしゃるであろうから、わかりやすく具体例を示すと。
これだけのエネルギーが一瞬の内に発生するのだ。しかもこれはたった1グラムの物質と反物質の対消滅だ。
人間と反人間の対消滅となればさらに莫大なエネルギーが発生する。
比較のために人類史上最高の威力を誇る兵器はロシアが開発したツァーリ・ボンバと呼ばれる水素爆弾の威力を紹介したい。ツァーリ・ボンバの威力はおよそ、
210 PJ = 2.1 \times 10^{17}J
のエネルギー量(理論値)であり、広島に落とされた原爆の3500倍である。
もし仮にこのツァーリ・ボンバが東京永田町の中心部に投下された場合の被害をシミュレーションすると下記画像のようになる。シミュレーションにはニュークマップ3を用いた。
このシミュレーションのサマリーは下記の通りだ。
永田町を中心に、
- 半径6.1km以内は蒸発する。
- 半径10.1km以内の建造物は完全に破壊され、この範囲内にいる人間はほぼ全員死ぬ。
- 半径32.6km以内の建造物は損壊し火災が発生、負傷者/死者が広範囲で発生する。
- 半径91.8km以内の建造物の窓ガラスが衝撃波によって割れる
- 半径73.7km以内の人間は熱波により重度の火傷を負う。
- 死者1340万人、負傷者1459万人にのぼる人的被害が発生する
勘違いしないでいただきたいのは、これはあくまでツァーリ・ボンバの被害シミュレーションである。
質量60kg同士の人間と反人間が衝突し、120kgの質量が対消滅した場合に発生するエネルギーはこれをさらに上回る。
対消滅で発生するエネルギーは失われる質量に比例するため、先程計算した、物質1gと反物質1gの合計2gの対消滅で発生するエネルギーの6万倍のエネルギーが発生する。具体的には、
1.08 \times 10^{19}J
ぱっと見もはや何がなんだかわからないが、なんとツァーリボンバの威力のおよそ50倍である。これほどの威力になるともはやニュークマップではシミュレーション不可だが、おそらく概算で上記の被害範囲の半径が3〜4倍ほどに広がると思われる。
したがって関東一帯は完全に壊滅し、名古屋あたりまで被害が及ぶはずだ。
先日こんなツイートもしている方もいらっしゃったが、物理学を全く理解していないとしか思えない。おそらく高等教育を受けていないのだろう。4
暖を取るとかそういう次元の話ではない。日本存亡の危機である。
いくら寒いと言っても暖を取るために私的にSIerとWeb系エンジニアを戦わせるなんて断じて許されることではない。
寒いのならどこぞの少女よろしく、マッチでも燃やして暖を取ればいい。
おわりに
この記事をここまで読んでいただいた聡明な読者の皆様には、Web系エンジニアと称される反SIerなる集団がどれだけ恐ろしいものかお分かりいただけたと思う。
反SIerとSIerはいつ衝突してもおかしくない緊張状態にあるものと思われるが、そのXデーが来てしまった場合、おそらく読者のほとんどもこの世を去ることになるだろう。
絶対にそんなXデーを実現させてはいけない。我々は今こそ力を合わせてこの危機を乗り越えるべきである。
そして私は記事を書き終えたとき、ふと考えた。
反SIerとSIerの衝突など引き起こして、一体だれが得をするのだろうか、と。
首都圏消滅という人類未曾有の大災害の後の世界に何が起きるのだろうか。日本という国はどうなってしまうのだろうか。
おそらく大阪府が日本の首都機能を担う役割になるだろう。これはまさに大阪維新の会が掲げていたま大阪都構想の実現に他ならない!!
いや、地方政党とはいえ政治家が国益を大きく損なうようなことをするはずがない。やはり中国共産党の一派がWeb系エンジニアたちを扇動しているのか?
いや、こんな稚拙な陰謀論に走るなど、些か考えすぎか。。今日は一気に執筆作業して疲れてしまったようだ。。
今日はもう休もう。おや、PCの画面が…。どうしたんだろうか。
ん…?
「You know too much...」
-fin-
あとがき
こんなくだらない記事を最後まで読んでいただきありがとうございました。
裏話というほどでもないのですが、記事中に引用させていただいたTwitterのツイート主は私の知り合いですので、心配なされぬように。
なんだか最近TwitterでSIerというワードがトレンドに上がっていることが多く、それを見て思いついた記事です。
主旨としてはみんな仲良くやろうぜってことが言いたかっただけなんですが、書いてる内にその主旨は失われてしまいました。
仲良くしようっていうか、多分ほんの一部の方がSNSで一方的に騒いでるだけだと思うのでこの記事を読んでる大多数の皆さんはこの記事を読んでも特に何もできることはないと思います。
この記事もどっちかというと逆効果な気がしてならないですし、もしそうなったら反省して新しい記事書きます。
最後に、こんなゴミみたいな記事を書いてサーバーのストレージとネットワーク回線を汚してしまったことを心よりお詫び申し上げて結びの言葉としたいと思います。
おまけ
弊社では、経験の有無を問わず、社員やインターン生の採用を行っています。
興味のある方はこちらをご覧ください。
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都内における再生可能エネルギーの利用状況から都内の2020年度における年間電力消費量は約767億kWhとして計算 ↩
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wikipedia - 雷より稲妻の平均エネルギーは900MJとして計算 ↩
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ニュークマップはニュージャージー州ホーボーケンにあるスティーブンス工科大学准教授で、核兵器の歴史研究が専門のアレックス・ウェラーシュタイン氏が開発した核爆弾シミュレーター。 ↩
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実際は数学博士の友人です。 ↩