プレゼン資料に漫画のコマを使ったりアイコンがアニメのキャラクターだったりLGTMのgifがアニメのワンシーンだったりするのをよく目にしますが、法律的にどうなのか調べてみました。
※ 以下は2016年12月1日時点での情報です
日本では
以下のいずれかを満たしていれば著作物を使うことができます 1 2 。
- 日本で保護されていない
- ただし、外国の著作物であっても条約を結んでいれば日本が保護する義務を持つ
- 日本は世界の大半の国と保護関係がある 3 ので、外国の著作物であっても自由に使えると考えてはいけない
- 保護期間を過ぎている
- 著作者の死後50年
- 法律で定められた、例外的に無断で使える条件を満たしている
- 法令、通達、判決などの権利の目的とならない著作物
- 私的利用
- 教育機関における複製
- 引用
- 他多くの例外あり 4
- 著作権者から許可をもらう
したがって以上を満たさない漫画・アニメの使用は違法です。
スライドでの漫画のコマ使用は引用とは言えない
漫画のコマをスライドに挟んで感情を表現する場合、それは引用と言えるのでしょうか?
引用には『引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること』や「引用を行う必然性があること」 5 などが求められます。
漫画の批評を行うためにコマを引用するのは合法ですが、ただ単に自分の言いたいことをキャラクターに代弁させるためだけに漫画のコマを使うことは、たとえ出典をきちんと書いていても違法と言えると思います。
アメリカでは
アメリカには フェアユース という考え方があり、日本の法律よりもより寛大に著作物の利用が認められています。
これは『他者の著作物であっても、非営利や利用する部分が少ないなど一定の条件下で使う場合、「フェアユース」(公正な利用)として著作権の侵害に当たらない』 6 とする規定です 。
よってアメリカでは漫画のコマやアニメのキャラクターを資料やアイコンに使っても問題ありません。
シリコンバレーのエンジニアが著作物を使って楽しそうにgifを作ったりLGTM画像を作ったりいろいろやっていても、残念ながら日本で同じようなことができるとは限りません。
アメリカのサービスを日本で使う場合
例えばTwitterには著作物から作られたGIF画像を検索・投稿できる機能が実装されていますが、これを日本で使った場合どうなるのでしょうか。
この場合「他国のWebサービスでも国内での利用は国内法を適用するという解釈が自然」であるため日本で著作権を侵害するようなGIF画像を投稿してしまうと違法になってしまいます 6 。
訴えられなくても著作権侵害は犯罪です
著作権侵害は親告罪なので、著作権者から告訴されるまで罪に問われることはありません。
しかし、訴えられなかったとしても著作権を侵害すればそれは犯罪です 7 8 。
例えば強姦罪は親告罪ですが、訴えられない限り犯罪ではないと言えるでしょうか?
社内だけでの利用でも著作権侵害です
著作権法では私的利用であれば無断で著作物を使用できますが、私的利用とは「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」と規定されているため、会社での利用は私的利用にあたらないと考えられます 9 。
よって社内だけに公開する資料・アイコンだからと言って許可なく著作物を使うと違法になります。
雑感
インターネットの発展と著作権との関係は微妙なところがありますが、現状の法律がどのようになっているか知ることは大切だと思います。
個人的にはアメリカのフェアユースのような緩やかな規定を望みます。