インターネットにおけるパケット交換技術と技術的課題
1. 初めに
現在インターネットというものは、世の中の人々にとって、なくてはならないものになっている。
ひと昔前までは、世界中の人々と簡単にコミュニ―ケーションが取れるなど誰も考えなかっただろう。しかし、今ではインターネットを介して、地球の裏側の人とまであらゆる情報を共有出来る。年々利用者は増え、現在とてつもなく多くの人がインターネットを利用することになった。
このようなことを実現できたのはインターネットの通信技術であるパケット交換技術によるものとも言える。今回はそんなインターネットなどの通信に広く使われているパケット交換技術のメリット、デメリットを考察しながら、特定のデメリットを一つ取り上げて、自分なりの解決案を示していきたいと思う。
2. パケット交換技術の概要
インターネットのデータ通信はパケットと呼ばれる単位で行われている。
パケットとは、ヘッダとペイロードによって構成されている小分けにされたデータである。あるデータを転送する際に、パケットに分割されて送信されるのである。そして、データが転送される際には、ルータと呼ばれる中継機器が小分けにされたパケットを次へ次へと転送し、最終的に目的地へとつくように中継する[1]。
途中で中継するルータは、パケットのヘッダの部分の情報を読み取ることで、次の転送先を決定し、転送する。この方式はコネクションレス型と呼ばれ、通信をする際に、接続処理を事前に行わず、途中のルータがヘッダの情報を読み取り、目的地への伝送路をルーティングするという方式である。
パケット交換技術とは、このようにデータをパケットへと細切れにすることで、蓄積交換によって送受信し、同時に複数の通信を可能にする技術である。
つまり、この技術を用いることで、一本の回線を共有し、同時に多数の通信を可能にすることで、ネットワークの効率を高めている[3]。
トラヒックが集中した際にはフロー制御や輻輳制御でデータの送信停止や速度制限などの調整を行う。また伝送技術や伝送手順の異なる相手との通信もパケット交換技術を用いることで可能である。[2]
3. パケット交換技術のメリット、デメリット
パケット交換技術のメリット、デメリットを回線交換技術と比較しながら述べる。
まず、パケット交換技術のメリットの一つとして、一本の回線を共有し、同時に多数の通信を行うことができるという点がある。この通信方法が可能になったことで、インターネットのような様々な情報が飛び交う大規模ネットワークが実現できたのである。
一方、回線交換は、複数の端末による伝送路等の共有ができない。そのため利用効率が悪い。パケット交換であれば、パケットを別々の回線にバラバラに送信することも可能なので、利用効率が回線交換に比べて格段に良い。
次に、パケット交換であれば、異なる速度の端末装置同士であっても容易に通信を行うことができる。[3]これは、中継機器が送信したデータを一度蓄積するため可能になる。それに比べると、回線交換では異なる端末装置同士の通信は比較的困難である。
また、パケットにあるヘッダに誤り検出情報や訂正符号があることにより、転送中に生じたデータの破損を検出し、データの修復や再送信を行うことができる。回線交換自体には、そのような仕組みはなく、もし可能にしたいのであればパケット通信的な仕組みを実装しなくてはならない。
さらに、パケット交換では、回線交換とは違い、通信中は回線を占有しつづけないので、動的な経路選択が可能であり、輻輳した際には迂回や遅延で輻輳回避を図ることができる[2]。以上がパケット交換技術による主なメリットである。
続いてパケット交換技術のデメリットを述べる。パケット交換技術は上記のように様々なメリットがあるが、デメリットも持ち合わせている。
まず、データを小分けにして、中継機器等で蓄積を基本としているために、即時かつ連続的なデータの伝送には向いていない。少なからず遅延が発生する。
さらに、トラヒックが集中して、混雑状態になると、遅延が増大し、最悪パケットを廃棄することもある。また、パケット交換では、ヘッダ情報の付与、回線切れやパケット喪失などの際に、自動再送が行われるなど、データの蓄積や流通、再送といったパケット制御が必要である。回線交換では、回線を占有するので、そのような制御は不必要なのに対し、パケット交換はそう言った制御の影響で通信料が増えてしまうというデメリットがある[3]。
以上がパケット交換技術の主なデメリットである。
4. 特定のデメリットに対する解決案
三章ではいくつかのデメリットを取り上げたが、私はその中で、「トラヒックが集中し、混雑状態になると、遅延が増大し、最悪パケットを廃棄することもある」というデメリットに対する自分なりの解決案を上げたいと思う。
まず、私は、このデメリットを解決するために、トラヒックが集中しにくい技術を構築することを考えた。トラヒックが集中しにくいネットワークが実現できれば、このデメリットは逓減することができると考えた。
その解決案とは、ネットワークにて、ルータや管理装置などが行う情報交換を、インターネット使用ユーザが少ない時間帯に行うという解決案である。
ネットワークには、ルータや管理装置などが情報を交換したり収集したりするための制御用データが常時流れている[4]。これからネットワークの規模が大きくなり、ルータなどの装置の数が増えると、情報を交換したり収集したりする相手が増えるので制御用のトラヒックが増えてしまう。
さらにこのようなトラヒックはユーザの利用頻度に関係なく流れてしまう。なので、インターネットを利用しているユーザが多い日中などは、その様な情報交換をせず、インターネットを利用するユーザが少ない夜間にのみ行うということを実現する。それにより、インターネットの使用者が多い時間帯には今までより多くのデータを送受信できるようになる。
ただ、今まで行ってきた情報交換を夜間(0時~7時と仮定する)にまとめて行うとすれば、かなりのデータ量になる。しかし、夜間はインターネット使用者が少なく、トラヒック量が少ない。つまりそこで、ルータや管理装置同士で大量のデータを送受信して、まとめてインターネット使用者が少ない時間帯に終わらせるという、効率的にインターネット回線を使用する解決策である。
また、万が一、夜間に災害が起きる等あれば、夜間にも情報を求めようとインターネットを使用するユーザが増えることがある。
その際、ルータ同士で膨大な量の情報交換を行えば、トラヒック集中がより加速してしまい、重要な情報をユーザが得られなくなってしまう。そのような状況を作らないために、夜間でもバッファの使用率が一定の値以上であれば、ルータや管理装置同士の情報交換を中断するようあらかじめ設定する。
夜間の間でもインターネットの使用率が高ければ、トラヒック集中を避けるよう対策をとる。つまり、私が考えた「トラヒックが集中し、混雑状態になると、遅延が増大し、最悪パケットを廃棄することもある」というデメリットに対する自分なりの解決案は、インターネット使用ユーザが多い日中などにルータや管理装置同士での情報の交換や収集を行うのではなく、少ない時間帯に行うことで、インターネット回線を効率的に活用し、トラヒックが集中しにくくするネットワークを実現するという案である。