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離散数学(超入門) - 関係 - 1

Last updated at Posted at 2025-03-12

本日は関係について学んでいきます.
数学の関係は, よく耳にする「どのような関係か」を表すようなものではなく, 「どれとどれが関係があるか」という部分のみに着目した, とてもシンプルなものです.

関係に入る前に

関係に入る前に, いくつか関係の説明で使う知識を紹介します.

順序対

順序対とは要素に順序がある2つの要素のペアのことを指します.
次のように丸カッコを用いて表します.

(a,b)

集合とは違い, 順序対は順序がとても重要です.
次のように順番を逆にすると, 基本的には等しくなりません.

(a,b) \neq (b,a)

直積集合

直積集合とは, 2つの集合の順序対すべて集めた集合のことです.
集合Aと集合Bの直積集合は次のように定義されます.

A \times B = \{ (a, b) \mid a \in A, b \in B \}

例えば, 次のような集合A, Bの直積集合は次のようになります.

\displaylines{
A = \{1, 2\}, \quad B = \{a, b\} \\\\
A \times B = \{ (1, a), (1, b), (2, a), (2, b) \}
}

自身のとの直積は次のように略記sこともあります.

A^2 = A \times A

直積集合の濃度は, 各集合の濃度の積に等しくなります.

|A \times B| = |A| \times |B|

左辺の×は直積の記号, 右辺の×は**掛け算の記号*であることに注意してください

直積集合は順序対で構成されているため, 要素の順序が重要です. したがって, 一般には

A \times B \neq B \times A

となります.

関係

改めて,数学の関係は, 「どれとどれが関係があるか」という部分のみに着目した, とてもシンプルなものです.
今回は話を簡単にするため, 2つの集合の間の関係を考えます.

関係は集合Aから集合Bへの対応を表し, 数学的に表現すると, AとBの直積集合の部分集合となります.
関係は次のように定義されます.

R \subseteq A \times B

集合Aの要素であるaと集合Bの要素であるbに関係がある場合は, 「aとbは R 関係にある」といい,関係を表す R という記号を用いて次のように表します.

a \mathrel{R} b

例えば, 集合A, Bの a1b1, a2b3がR1関係にある場合は次のように表します.

R1 = \{(a1, b1), (a2, b3) \}

分かりやすいようにR1を図で表してみると, 次のような感じになります.

スクリーンショット 2025-03-12 223309.png

図の矢印の向きから, 関係の要素が順序対で表現されている理由が, 直感的に感じられるのではないでしょうか.

今回は2つの集合で考えましたが, 集合の数が増えても基本的な考え方は同じです.

おわりに

関係は, この先の写像や代数学にもつながってくる重要な概念なので, しっかりと理解しておいてください.
特に「関係は集合AとBの直積集合の部分集合である」という点がしっくりこない場合は, 集合の基本的な概念を振り返るのがおすすめです.
集合の直積とは何か, 部分集合とは何かを改めて確認すると, 関係の意味がより明確になると思います.
意味が分かった時は「なるほど!」と腑に落ちる感覚を味わえるはずです.

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