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離散数学(超入門) - 論理学 - 1

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この記事は離散数学シリーズとして続けていく予定です.

論理学とは

論理学とは, 物事を筋道立てて考え, 結論の正しさを確認するための方法を学ぶ分野です. 論理学はプログラムやアルゴリズムの設計において重要な役割を果たします. 命題や推論の構造を分析することで, コンピュータが誤りなく動作するようにはどうしたらいいかなどを考える時に役立ちます.

今回は論理学を勉強するうえで重要な, 「命題」と 「推論」についてご紹介します.

命題について

命題とは, 「真か偽かが明確に定まる文」を指します. たとえば, 次の文を見てください.

(1) 富士山は日本で一番高い山である
(2) カエルは鳥類である
(3) コーヒーは好きですか?

この中に, 命題であるものとそうでないものが混ざっています.
これを区別するためには「真偽」がカギになります.
例えば(1)は周知の事実であり「真」です. (2)に関しては, カエルは両生類であるので「偽」です. (3)は質問であり, 「真」でも「偽」もありません.

このように, その文が事実である場合は「真」. 事実でない場合は「偽」と言います. そして, 真偽が明確に定まる文は命題というわけです.

上述した文について命題か否かを述べると以下のようになります.

(1) 富士山は日本で一番高い山である ⇨ 命題
(2) カエルは鳥類である ⇨ 命題
(3) コーヒーは好きですか? ⇨ 命題ではない

(2)は命題であるという点に注意してください. この文は偽なので 一見 命題ではないように感じるかもしれませんが, 真か偽かが明確に定まる時点で命題です. (3)は単なる疑問文であり, 命題ではありません.

あらゆる色の中で青色が一番美しいなど, 微妙なケースもありますが真偽の判定が難しいので, ここでは取り扱いません.

推論について

推論とは既知の情報(命題)をもとに, 新たな結論を導き出すことです.
既知の情報のことを「前提」や「根拠」といったりします.
結論のことを「結論」もしくは「帰結」などといったりします.
有名な推論として以下に3段論法を挙げます.

P Q それゆえ, R 

記号だけでは分かりにくいので, 具体的な文にしてみます.

  • 前提: P すべての犬は哺乳類である.
  • 前提: Q ポチは犬である.
  • 結論: R ポチは哺乳類である.
すべての犬は哺乳類である.ポチは犬である. それゆえ, ポチは哺乳類である.

3段論法の場合は前提が2つでしたが, 3つやそれ以上の場合もあります.

他にも例を挙げてみます

(1) Aさんは明日誕生日である. Aさんは現在50である. それゆえ, Aさんは明日51歳になる.
(2) Bさんのは私の父の息子である. それゆえ, Bさんは私の兄弟である.
(3) 地面が濡れている. それゆえ, 雨が降ったにちがいない.

この中で(1)と(2)は, 前提が真と認めると, 結論も必ず真だと認める必要が出てくる推論です. このような推論を「演繹(えんえき)」と呼びます. それに対して, (3)は前提が真であっても結論が真であるとは限りません. もしかすると, 水やりなどによって地面が濡れているのかもしれません. よって, これは演繹ではありません.

演繹の重要な注意点として,「演繹は, 前提が正しいと仮定した場合に, それに基づいて結論が必然的に導かれるかどうかに注目する」というものがあります. つまり, 前提に基づいて論理的な推論が行われていれば, それは演繹として問題ないということです. 演繹の正しさは前提自体の真偽には影響されないのです.

以下に例をあげます.

「すべての人間には空を飛ぶための翼がある. 私は人間である. それゆえ, 私は空を飛ぶことができる」

これは, 一見めちゃくちゃな文ですが, 演繹としては正しい形式を持っています. ただし, 前提が現実とは異なっているため, 結論も現実的には成り立ちません. このように, 演繹の正しさは前提の真偽に依存しないことが重要なポイントです.

終わりに

今回のテーマは論理学の基礎として重要な「命題」と「推論」でした. 少しでも論理学の雰囲気が伝わったら幸いです.

参考書籍

まったくゼロからの論理学 野矢 茂樹

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