生成AIの急速な成長にともない、本業でも複数の会社様に対して生成AI活用コンサルのようなことをさせていただいています。また個人としても様々な方からもお問合せをいただくようになました。
私の肌感としてはかなり世の中に浸透してきたと思いますが、それでもどのようにプロンプトを組めばいいか迷っている方が多いように思います。
そのため、本記事ではほんの触りの部分になりますが、私がプロンプトを考える上でどのようなことを考えながらプロンプトを作成しているかを情報処理試験を題材にまとめます。最初の触りの部分をハードルに感じて利用に踏み出すことができていない人の助けになればと思います。
論述試験対策でのプロンプトの組み方
本記事では令和3年春季ITストラテジスト試験午後Ⅱ問1の問題を利用してプロンプトの組み方を解説します。
ITストラテジスト試験の過去問は以下のIPAのサイトからダウンロードできます。
採点をおこなうための解答例はALL IN ONE オールインワン パーフェクトマスター ITストラテジスト 2023年度版の解答を利用させていただきました。
利用する生成AIはClaude 3.5 Sonnetを利用します。基本的なプロンプトの組み方はChatGPTなどの他の生成AIでも同じなため、別の生成AIを使う場合でも利用できる部分は多いです。
事前準備
以降で解説するプロンプトは特に説明がない限りは以下のフォーマットで設問と回答の内容を記載します。毎回すべてを記載すると冗長なため、解説ではプロンプト部分のみを利用して説明を行います。
[プロンプト]
[設問ア]
[設問ア解答]
[設問イ]
[設問イ解答]
[設問ウ]
[設問ウ解答]
Step1 とりあえずなにも考えずににプロンプトをぶち込む
以下を採点してください。
まず最初はとにかく何でもいいので生成AIに投げてみてください。生成のいいところは人とは違い何度くだらない質問をしても怒られないところです。プロンプトに悩んだ場合は質問でなくてもいいので投げることで、その次の改善策が見えてきます。解答本文はマスキングしています。
解答はこちらです。
これだけでも結構十分に使うことができるかと思います。
ただ、試験勉強で重要になってくることは具体的な点数というよりも「その試験の場合、合格になるのかどうか」です。
なので、生成AIが100点という小論文を目指すのではなく、「試験の評価基準に沿って、合格するためにはどのような小論文であればいいか」をもとに生成AIに評価してもらう必要があります。
Step2 生成AIの立場を明確にする
あなたはITストラテジスト試験の採点官です。以下の小論文の採点を行ってください。
プロンプト作成するときに重要なのが、生成AIの立場を明確にすることです。今回はそもそも採点を行っているので、あまり影響がない可能性もありますが、利用のシーンによっては立場が明確でないことによって主語や重要と思われるポイントが変わってきてしまいます。立場を明確にすることができるケースは明確にすることでより高精度な解答を得ることができます。
採点の目的が明確になったことにより評価の基準が定まったので得点も先ほどよりもいい得点になったことがわかります。世間一般での論文と試験で合格するための論文では求められるレベルがそもそも違うため、「なんの目的で質問をしている」のかを明確にすることでより自分が欲しい回答を得ることができます。
Step3 採点の基準を明確にする
あなたはITストラテジスト試験の採点官です。以下の評価基準に沿って小論文の採点を行ってください。
Aランクは合格で、B,C,Dランクの場合は不合格になります。合否も採点してください。
A:合格水準にある。
B:合格水準まであと一歩である。
C:内容が不十分である。問題文の趣旨から逸脱している。
D:内容が著しく不十分である。問題文の趣旨から著しく逸脱している。
Step2までの解答では具体的な点数はわかっていましたが、最も重要な「試験に合格できる小論文であるか」というところが不明瞭でした。
採点基準を与えたことで、今回の解答が十分に合格できるレベルであることがわかりました。(ALL IN ONE オールインワン パーフェクトマスター ITストラテジスト でちゃんと勉強すれば合格できます!!)
Step4 自分の作成した小論文を改善してもらう
あなたはITストラテジスト試験の採点官です。以下の評価基準に沿って小論文の採点を行ってください。
Aランクは合格で、B,C,Dランクの場合は不合格になります。合否も採点してください。
A:合格水準にある。
B:合格水準まであと一歩である。
C:内容が不十分である。問題文の趣旨から逸脱している。
D:内容が著しく不十分である。問題文の趣旨から著しく逸脱している。
採点結果をもとに、より改善した解答を設問ごとに作成してください。
改善したときのポイントも簡単にまとめてください。
合格の採点をするためだけであればStep3までで十分に活用することができると思います。ただそれだけだと、自分の経験に即した合格文章を得ることができず、不合格と判定されたときに改善点がわかりにくいです。参考書で小論文を勉強するにあたっての一番の課題は自分の経験に置き換えたときどのような解答が合格できる回答であるのかがわからないということなので、生成AIにパーソナライズされた解答まで作成してもらいます。
解答案が作成されました。解答案を作成すると評価が不合格に代わっています。ただ、勉強をする上ではより厳しい採点基準で、改善点がどこであるかを把握できることに価値があるので特に問題はないかと思います。改善案を出す目的は自分の経験に沿った解答を出してもらうことで、自分の解答のダメだったところが把握できるところなので勉強を進めるにあたってはとてもいい指針になると思います。
おわりに
本記事では小論文対策にターゲットを絞った生成AIのプロンプトの基本的な記載方法をまとめました。
本記事の内容は汎用的に使うことができる内容でまとめています。今回はStepごとにそのままプロンプトを使っていただくことができるように全ての入力に詳細な指示文をいれていますが、「本スレッドではXXように採点してください。」のようなものを入れておくとそれ以降の入力は最初の指示文に沿って出力してくれたりします。プロンプトに関しても自分がわからないところに対してさらに深堀して指示文を加えることでよりパーソナライズされた先生として教えてくれます。
現在もどんどん進化していく生成AIを使い倒していい活用事例が増えていくと楽しいですね。