はじめに
数年前から私の所属するプロジェクトでスクラムごとにチームリーダーを交代で実施するという施策をやっています。
そのなかで、スプリントの計画を立てたり、タスクに人を割り当てたり、毎日の朝会で進捗を確認して、タスクの優先度を見直したり、PMの助言をもらいながら、リーダーっぽいことを見よう見まねでやっていました。
また今度、いよいよ私がプロジェクトの中のクライアント開発のチームリーダーになるかもしれないという状況になりました。
一度ここでマネージメントについてちゃんと学んでみたいという思いで調べていると、PMBOKというプロジェクト管理におけるベストプラクティスやフレームワークを包括したガイドブックがあることがわかりました。
さっそく読んでみようと思い、どの書籍を読もうか調べていると、原書は初心者にはとっつきにくいということがたくさん書かれていました。
超初心者でも読めそうな書籍を見つけたので、今回はそれを読んで学んだことを残しておきます。
PMBOK対応 童話でわかるプロジェクトマネジメント[第2版]
本書の特徴
この本の最大の特徴は、童話を使ってプロジェクトマネジメントの概念を説明している点です。
例えば「三匹の子ぶた」の話では、プロジェクトの段取りの重要性が説かれていました。
とりあえずやってみようの精神で、目標や計画を立てることに力を入れず、藁の家を建てた兄は、短期間で安く完成させたものの、オオカミに簡単に壊されてしまいました。
母親(ステークホルダー)の期待を確認し、何をどう作るのか想定して目標や計画をしっかり立て、煉瓦の家を建てた弟は、時間とコストがかかったものの、オオカミの攻撃にも耐えました。
学んだこと
本書から学んだことを紹介します。
1. 計画の重要性を理解する
上記「三匹の子ぶた」の話を例にプロジェクトの成功には、適切な目標と計画の立案が不可欠だということが説明されていました。ストーリーを通じて、計画が不足した場合のリスクを直感的に理解できました。
特に以下の点が重要だと思いました。
- プロジェクトの成功のために、このプロジェクトが、なぜ必要で、どんな目的があり、何がゴールかを明確にして、それらを関係者と認識を合わせること
- その実現のために何をどこまでやるべきかを詳細に明らかにして、なるべく確度の高いスケジュールやコストを明らかにすること
2. リスク管理の重要性を意識する
本書では、「ヘンゼルとグレーテル」の話を例に、リスクマネジメントの考え方が説明されていました。
ヘンゼルは、森の中で迷わないようにパンくずをまいたが、鳥に食べられてしまい、計画が失敗した。
事前にリスクを想定し、別の対策(石を使うなど)を考えておけば、迷子にならなかった。
特に以下の点が重要だと思いました。
- リスクの洗い出し
- 優先順位をつけ、影響の大きいものから対策を考える
- 予防策と対処策の両方を準備する
3. チームコミュニケーションを強化する
プロジェクトでは、チームメンバー間のコミュニケーションが重要です。本書では、「アリとキリギリス」の話を用いて、情報共有の大切さを伝えています。
アリは、仲間と協力して計画書通りに食べ物の備蓄が進んでいるかを情報共有しながら冬に備えて準備をした。
キリギリスは、夏の間に遊びすぎて、冬になって困ってしまった。
特に以下の点が重要だと思いました。
- 計画通り進めていくために、定期的に進捗を確認し、その情報をみんなに共有して、順調なのかそうでないのかを把握すること
- 進捗確認してもプロジェクトが進んでいるのかわからないときがあるため、その時は、具体的な作業内容を確認すると、どのような問題があり、どのように対応・挽回するつもりなのかが見えてくる
- ただし、問いただすのではなく、一緒に解決しようというスタンスがじゅうよう
- 成果を上げるために、チームで段取りし、やるべき作業を洗い出し、スケジュールを見える化し、発見した問題をチームで共有し、解決すること
- 人はミスや失敗をするものなので、チームで情報共有をして助け合っていくこと
さいごに
これまでの経験の中で上司から指導いただいた考え方や行動が童話形式でまとめられており、理解しやすかったです。上司の行動を思い返しても、書籍に出てきた考え方で動いているなと改めて思いました。
また、日々の仕事の中で、目的を理解すること、上司と成果物の認識を合わせること、実現するための段取りをすること、リスクや問題をチームに打ち上げることなど、個人のレベルでやっているようなことを、プロジェクトに置き換えて実行できるといいのかなとイメージがわきました。
どのように考えて行動すればチームに貢献できるかリーダーの視点を知るために、リーダーじゃないメンバが読むのもとっつきやすくていいと思いました。
とっつきやすさではとてもよかったですが、もう少し色々なパターンや事例が乗っている本や、体系的に勉強ができる本も読んでみたいと思いました。