2年のプレビューを経てようやくGA!
2023年7月10日、Microsoft Azureクラウドの新機能「Azure cross-region Load Balancer」が一般提供開始されました。全リージョンが対象です。
この機能は2021年からプレビュー版の試験提供がされており、2年以上を経てようやくGAされました。
この機能は何が嬉しいの?
一言でいうと、Azureのロードバランサーが同じIPアドレスで複数リージョンへ負荷分散できるようになりました。
Azureでもともと提供されていたLBサービス「Azure Load Balancer」はAWSと同じく、リージョン内に閉じた負荷分散を提供するものでした。一方でGoogle CloudではCloud Load Balancingがマルチリージョンで機能することで有名ですが、こちらに近い機能がAzureでも実現できるようになったものと言えそうです。
AWSでいうとGlobal Acceleratorに近いですね。
主な特徴
- 同じグローバルIPアドレスでマルチリージョンへの負荷分散ができる。IPアドレスは固定可能
- パケットのIPアドレスを保持するため、IPアドレス固有のロジックを実装できる
- ターゲットリージョンの増減が可能。トラフィックの変動に対処しやすくなる
その他
- 低遅延
- グローバルティア(マルチリージョン対応部分)のSLAは99.99%
- Azure LBのフローティングIP機能を利用可能。LBの受信ポートをターゲット側でも再利用できる
- IPv4のUDPもサポート ★プレビュー段階では無かった機能!
え、名前解決じゃダメなの?
「同じIPのまま複数リージョンに負荷分散できるようになりました!」と聞くと「え、DNS使えば良くない??」と思われる方もいるかも知れません。概ね間違っておらず、ユースケースに応じて使い分けが必要になりそうです。
Azureで負荷分散を行う際、もともと以下サービスを使い分ける必要がありました。
- Azure Load Balancer(AWSでいうNLB)
- Application Gateway(AWSでいうALB)
- Traffic Manager(AWSでいうRoute 53のDNSルーティング機能)
- Front Door(CDN。AWSでいうCloudFront)
特にDNSベースの負荷分散の場合、ルーティングの設定変更やターゲットのフェイルオーバーが発生した場合にDNSキャッシュが残ってしまい反映に時間がかかるケースがあり、クロスリージョンLBを使えばこういった課題を回避できます。
また、名前解決のトラフィックを挟まないことでレイテンシーの短縮にも効果がありそうです。
最後に
私もAzureはまだまだ勉強し始めたばかりですので、不備やお気づきの点などあればフィードバックいただけますと幸いです。
ハンズオン用のチュートリアルも公開されていますので、興味ある方はぜひ触ってみましょう!
参考文献