大人気のローコード開発ツールの書籍が今週刊行!
生成AIを仕事で使っている方なら、昨年一度は「Dify」というツールの名前を聞いたことがあるのでは?
2024年に大ブームを巻き起こし、今も多くのユーザーに使われているDifyの入門書が今週4/4に出版されます。
ありがたいことに著者のお一人である吉田真吾さんより、発売前に本書をご恵贈いただきましたので、レビューをみなさんに共有します!
そもそもDifyって何?
生成AIを組み込んだアプリケーションを、プログラミングなしで開発できるツールです。
2024年の春に登場した「ワークフロー」という機能が大ヒットし、今でも多くのアプリケーション開発現場で利用されています。
本書を執筆されているお二人は、Generative Agents社というAIエージェントに特化したビジネスを展開されているスタートアップ所属の吉田真吾さんと清水れみおさんです。
生成AI界隈は、雨後の筍のように多くの方が商業書籍を出版されており、どれを手に取るべきか読者の判断が試されます。そういう意味で、日頃から定評のある技術発信をされており、技術者コミュニティからも信頼されているお二人の著作ということで、安心して購入できる書籍といえます。
この本の良いところ
そもそもDifyがローコードの開発ツールのため、プログラミングやアプリケーション開発に慣れていない方でも理解しやすいよう、平易で分かりやすく書かれているのが特徴です。
フルカラーで図解とスクリーンショットがたっぷりで、開発初心者でもストレスなくサクサク読むことができます。
技術書というより「業務効率化ツールを解説するビジネス書」に近いテイストなので、非エンジニアの同僚にも勧めやすいですね。
また、生成AIアプリケーションを開発する際に課題となりやすいのが「そもそもユースケースが見つからない」ことではないでしょうか?
本書の大部分は、実際の仕事への当てはめ方を例にしながら、Difyでアプリケーションを開発する手順が解説されています。「領収書の処理」「稟議レビュー」「議事録の作成」など、多くの人が自分の仕事でそのまま使えそうなユースケースを紹介してくれているのが嬉しいです。
実際に試してみた
私は普段、コードを書いてLLMアプリを開発しているため、Difyをしばらく触っていませんでした。
本書を読んで、Slackと接続できる機能が最近追加されていたことを知ったので、第7章を参考にして「URLを渡すと内容をサマリーしてくれるSlackボット」を作ってみました。
一億年ぶりにDifyを触りましたが、直感的なUXがすごく良いですね。
ユーザーから与えられたURLをFirecrawlというSaaSでスクレイピングして、内容を要約してくれるワークフローを作りました。LLMにはAmazon BedrockのClaudeを使ったのですが、プラグインが用意されておりAWSアカウントとの連携も簡単でした。
実際にSlackから利用すると、必ずハルシネーションが発生するバグに遭遇しました。デバッグのために監視ツールのLangfuseを使ったのですが、これもDifyで簡単に連携できるようになっており驚きました。
トレースを確認したところ、ユーザーから渡されたURLに @メンション名
や < 不要なカッコ >
などの余計な文字列が混じるせいでFirecrawlがスクレイプに失敗していたことが分かりました。
そこで、URL抽出用の軽量LLM(Amazon Nova Pro)を挟み、Few-shotプロンプティングでURLだけを抽出するようにしました。
Slackアプリの開発って、Slackの管理画面上で必要になる細かい権限設定などが初心者にはかなりとっつきづらいのですが、本書に細かい手順が掲載されていたため、記載どおりに進めるとスムーズにアプリを完成させることができました。
いよいよ今週末に発売!
生成AIが流行っていますが、自社でのAI推進や事業企画を任されているのに、ほとんど実機に触れずにパワポばかり睨めっこしている方、周りにも多いのではないでしょうか?
Difyを使えば非エンジニアのビジネスマンでも簡単にアプリを作って業務に使えます。今のうちに予約して、職場の同僚や新人さんたちに配って布教してあげましょう。