ひとり情シスではPCの台数が50台を超えてきたあたりから、キッティングの作業に限界を感じるようになってきます。
一般的に次のアプローチがあります。
市販のクローンツール
・Acronis True Image
・HD革命
・Norton Ghost
マイクロソフトの純正ツール
・WDS/MDT
・プロビジョニングツール
・Autopilot
中小企業ではマイクロソフト純正ツールは難易度が高いため、USBメモリを使った市販のクローンツールを使うことが多いでしょう。しかし今の時代にUSBで一台ずつリカバリするのは抵抗がありませんか?
また、これらのWinPEベースのメモリは一度作ると使いまわせてしまうので、適切なライセンスを払っていない企業も散見されます。(というかかなり多い)
そこで今回はオープンソースのCloneZillaを使い、ネットワーク(PXE)ブートを使ったクローンをテストします。
結論
・長年つかわれているだけあって、堅実なツール。
・圧縮やコマンドラインオプションなど上級者向けの機能も豊富そう。
構成
192.168.100.0/24のサブネット
- ルーター(DHCPサーバ)
- CloneZilla Liteサーバ(LiveCDから起動)
- NAS(Samba共有)
- Win10 VM(クローン元)
- 空のVM(クローン先)
CloneZillaサーバーの開始
まずLiveCDからサーバーを立てます。
Lite-Serverを選択。
netbootを選択します。
DHCPは今回ルータがあるので自動検出にします。
クローンイメージをどこに保存するかの設定。今回は同一LAN上のNASに保存する想定でやってみます。
SAMBAサーバを選択。
ユーザ名パスワードと、保存ディレクトリを指定します。
初心者モードを選択します。
対話ネットワークブートモードを選択します。数十台ある場合、マルチキャストが便利そうです。
待ち受けモードになります。これで同一DHCP配下のPCがPXEブートできるようになりました。
クローン元PCからのキャプチャ
ブート順をPXEブート優先にします。
PXEからCloneZillaが起動します。
device-imageを選択します(イメージキャプチャするため)。
SAMBAとしてNASのアドレスを選択します。
保存するイメージファイル名を入力します。
64GBの仮想ディスクC:のみなので、選択します。
ベリファイの確認
キャプチャ開始します。Proxmoxの内部NICが10Gbpsなので速いですが、実機だと20GBで20分以上かかる感じでしょうか。シャットダウンされたら終了です。
こんな感じのフォルダができていました。圧縮されていますね。
クローン先VMにリストア
受け皿となるVMを作ります。ややこしいですがProxmoxでVMをクローンし、ディスクを入れ替える形にします。実機だと別の同スペックのPCを用意したと思って下さい。
クローン元と同じ容量のディスクを作成します。ちなみに48GBで試したところエラーになりましたので、CloneZillaは同容量か大きいサイズのディスクに対してしかリストアできないようです。
イメージキャプチャと同じ手順でリストアします。
終わったら、ブート順をリストア直後のディスク優先にします。
無事に起動しました。
まとめ
・ベアメタルクローン/リストアはレガシー技術ですが、仮想基盤へのP2Vや、オンプレミスサーバにも応用できるので、覚えておいて損はなさそうです。
・またオープンソースなので、市販クローニングソフトのライセンス問題を感じている情シスさんには良い選択肢だと思います。