ストーリー
- ハイブリッド勤務社員からノートPCを毎回持ち運ぶのが重いと言われる。
- 「自宅と会社用にPCを2台にしてほしい」と言われ、貸与。
- しかしOneDriveでデータ同期はできるが「壁紙や業務アプリの設定が同期されない」との指摘。
- 情シスとしても2台の管理で2倍の手間になっている。
- 「だったらOS丸ごと同期できないかな?」
やりたいこと
・Hyper-Vで仮想化したWindows11のCドライブを、OneDriveで丸ごと同期できるかの検証
検証手順
- 物理PC1でVMを作る。
- VMのCドライブ(VHDXファイル)をOneDriveに同期する。
- 物理PC2でVMの器だけ作る(この時点ではディスクはなし)。
- 物理PC2でOneDriveからVHDXをダウンロードする。
- VMにVHDXをアタッチして起動する。
環境
- 物理PC1(Windows11 Pro)
- 物理PC2(Windows11 Pro)
- Hyper-V
- OneDrive
注意点
・仮想マシンの話となります。
・実運用する場合は、Hyper-VゲストVM1台ごとにOSライセンスが必要です。
・SIDが重複するのでActive Directory参加は考慮が必要です。
手順1:物理PC1でVMを作成
容量固定のVHDXで作ります。
保存先をOneDriveに、容量は16GBで作ってみます。
VMの設定は以下にします。
- TPMをオン
- メモリを4096MB
- 自動チェックポイントはOFF
- NICはなし
セットアップを開始します。SHIFT+F10でローカルセットアップをします。
oobe\bypassnro
インストールが完了しました。いったんVMの電源を落とします。
手順2:物理PC1のOneDriveでVHDXを同期
OneDriveにVHDXファイルを同期します。アップロードには20分かかりました。
手順3:物理PC2のOneDriveでVHDXを同期
「このデバイス上で常に保持」を選択するとダウンロードが始まります。ダウンロードには40分かかりました。
手順4:物理PC2でゲストVMを作成
先にVMの器を作ります。物理PC1と同じ設定にしますが、コア数やメモリなどは変えても影響ありません。
起動ディスクとしてOneDriveから同期したVHDXを指定します。
手順5:差分同期による書き戻し
物理PC2で以下の変更を保存します。
- 壁紙を変更
- デスクトップにデータを保存
- Edgeの設定を変更
VHDXがオンライン状態のため、常に「変更の処理中」が表示されています。
「変更の処理中」で止まったままになってしまったので、VMを停止しPCを再起動したところアップロードが開始されました。差分ではなくフルになっています。
ちょっと想定と違う動作となっています。
手順6:物理PC1で起動
物理PC1で再同期してマシンを起動すると、設定が変更された状態であることを確認できました。
まとめ
- 今回VHDXをオンライン状態のままOneDriveに同期しましたが、常に再計算が走るためか、途中で動作が停止しました。
- VDHXファイルのACLエラーも生じたので、「VHDXをオンライン状態で気軽に同期する」というゴールは難しそうです。
現実的な運用
- VMをシャットダウンしてから同期するのがよさそうです。
- または「このデバイスで常に保持」せず、使うときだけOneDriveからローカルの別フォルダにコピー(ダウンロード)する方法でしょうか。
VDIとはちがうの?
- ゲストVMはローカル物理PCのマシンパワーで起動するので、オフラインで作業ができます。
- VDIが「低帯域の常時接続」が必要なのに対し、こちらは「利用開始と終了時に大容量トラフィック」になる点が特徴です。
- VDIサーバーの管理コストが不要となります。
メモ
- 回線速度によるのか分かりませんが、16GBの同期は数分~数十分と波がありました。
- 動作停止した場合、OneDriveの再起動、またはPC再起動は効果があります。
- タスクマネージャで「OneDriveを数時間おきに再起動」といったタスクを作るのもありかもれしません。