Proxmoxでは共有ストレージから直接VMを起動できます。図にすると以下のような感じです。
メリット
- ディスク単位でOSのイメージ管理ができ、可用性がたかまる
- ネットブート元のファイルサーバーの恩恵をくみあわせられる
→ 重複排除・ReFS・バックアップなど -
かならずしもクラスターを作らなくていい
→ 障害時にほかの筐体から縮退運転でき、管理がシンプルになる - 3Tier構成とハイパーコンバージド、あとからどっちにも転用できる
- バックアップ&リストアとちがい、IPのつけかえだけですむのでダウンタイムが少ない
デメリット
- 1GbEだと遅いのでネットワークやワークロードの対処が必要
-
ネットワークが切れたら起動できない
→ 筐体内の仮想ネットワーク内であれば故障はなく、速度も10GbEなのでこれらは低減される
→ つまり3TierではなくHCIな使い方ならデメリットが減る - HCIにする場合、筐体間のレプリケーションの設計や運用がむずかしい
ファイルサーバーの作成
Proxmoxで8TBのディスクを追加します。物理SSDは256GBですがシンプロビジョンで作成できます。
ただしくは8192GBですね(笑)
NTFSでDドライブを作成。ReFSにしてもよかったと思います。また検証します。
フォルダを共有
Proxmoxにストレージ追加
SMB/CIFSストレージとして追加します。用途は「ディスクイメージ」のみにします。
VMを作成
テンプレートから作成します。Windows ServerのテンプレートがLocal-ZFS上にあるため完全クローンにします。
共有フォルダ上にVMを作ったら再テンプレート化し、そこからリンククローンします。
base-という名前でWindows11のOSテンプレートが作られました。
テンプレートからリンククローンで作成したVMは、差分なのでディスク消費はありません。
VMを起動、サイズ確認
Win11を起動し、コンピュータ名を変更します。シャットダウンすると差分が767MB増えていました。
QCOW2フォルダを見ると、16.7GBの使用でした。圧縮が効いていることがわかります。
見た目はわかりませんが、このCドライブはファイルサーバー上から起動しているということになります。
障害テスト
VMのディスクイメージを置いているファイルサーバーがダウンしたと想定します。IPアドレスを変更します。
Proxmoxストレージを削除し、新しいIPで再度設定します。
VMを起動すると、エラーになりました。ストレージIDが同じでないといけないようです。
同じWS-VMShareの名前で再作成すると、起動しました。
- ストレージIDを同じにすること
- 共有名を同じにすること
この二つを満たしていれば大丈夫のようです。
まとめ & メモ
- Proxmoxのクラスターはいろいろ問題があり、たとえばdatacenter.cfgといったコンフィグが常に同期され、間違えるとすべてのサーバーが復旧不能になります。
- 無停止運用が必須でなければ、ファイルサーバーを共有してそこから復旧できるような環境にするのが、運用コストとのバランスが良いと思います。
- ProxmoxローカルZFSでの重複排除はメモリを大量消費します。ネットワークブートであればより高機能なWindows ServerのReFSや重複排除を使えるのもメリットです。
参考にさせていただいたサイト
ファイルやフォルダの【サイズ】と【ディスク上のサイズ】が違うのはなぜ?
https://www.partitionwizard.jp/partitionmanager/size-vs-size-on-disk.html