Buffaloの古いNASの有効活用方法 〜TeraStationをOpenMediaVaultに〜

はじめに

TeraStation（TS-XH8.0L/R6）にOpenMediaVaultを入れてNASにしたのでそのやり方を公開します。

TeraStation Xシリーズは2010年発売の古い機器で、ファームウェアの更新があまりありません。
またSMBv1を使っているのも問題であり、iPhoneの「ファイル」アプリからサーバ接続ができなかったり、WindowsからのアクセスもSMBv1/CIFSを有効化する必要があります。

（参考）iPhoneから接続失敗する画像

ソフトウェア周りの問題を解決するために、Debian化をしてOpenMediaVaultを入れたので、その手順をここで紹介します。色々詰まるポイントがあったのでメモがわりに作成しました。

本手順で必要なもの

・TeraStation本体
・HDDを全台同時に繋げるUbuntu機（これは最悪なくても別手段あり）

手順概要

手順１　Buffalo公式ファームウェアの正常起動を確認
手順２　HDDをUbuntuからマウント
手順３　Debian化のためのファイルの置き換え
手順４　Debianのインストール
手順５　OpenMediaVaultのインストール
手順６　OpenMediaVaultの設定（SMB接続まで）

手順１　Buffalo公式ファームウェアの正常起動を確認

これはタイトルのそのままです。2025年5月現在、TS-Xシリーズの最新のファームウェアはVer 1.76になります。
もしHDDが抜かれているジャンク品を購入した場合など、正常に起動していないTeraStationの場合はこちらの記事を参照して、Buffaloの公式ファームウェアが起動する状態にしてください。

手順２　HDDをUbuntuからマウント

TeraStationの電源を落とし、HDDを引っこ抜いてUbuntuに繋ぎます。

今回はUbuntu Server 24.04.2 LTSを使用しました。
HDDを繋いだ状態で起動すると4つのRAIDアレイが構成されていることがわかります。（md124からmd127のRAIDデバイス番号は変わる可能性があります）

Ubuntu Serverはデフォルトでmdadmコマンドが使えるかと思いますが、もしRAIDアレイが見えない人は
sudo apt install mdadm
などを試してください。

それぞれマウントして中身を確認してみます。

ファイルの中身から以下のことがわかります。

RAIDデバイス	用途
md124	データ領域（初期化した際にデフォで作られる「share」ディレクトリが見える）
md125	swap領域（マウントできなかったので何も見えない）
md126	OS領域（Buffalo公式ファームウェアの/）
md127	boot領域（Buffalo公式ファームウェアの/boot）

もしTeraStationに保存してあるファイルを保管したい場合はデータ領域（md124）からデータをサルベージしておいてください。

手順３　Debian化のためのファイルの置き換え

Debian化にはDebian_on_Buffaloというツールを使います。
有用なツールを公開してくれている「1000001101000」様に感謝。

基本的な手順や内容はWikiを確認していただきたいですが、TS-XHLシリーズにおいては、カーネルである「uImage.buffalo.tsxl」と初期RAMディスクである「initrd.buffalo」を使用します。
他の機器の場合は対応するuImage.buffaloを探して選択してください。
OSは2025年5月現在で最新のBookwarm（Debian 12）を選びます。

uImage.buffalo.tsxlは名前をuImage.buffaloに変え、boot領域にファイルを置きます。
すでにあるuImage.buffaloとinitrd.buffaloを共に置き換えてください。

コマンドのイメージは以下です。（/mnt/md127がboot領域だと仮定）

cp uImage.buffalo.tsxl /mnt/md127/uImage.buffalo
cp initrd.buffalo /mnt/md127/initrd.buffalo

ちゃんと2つ置き換わっていることも確認しておきます。

root@ubu24:~# ls -l /mnt/md127
total 20316
-rw-r--r-- 1 root root     176 May 29 04:44 bootshim
-rw-r--r-- 1 root root      20 Dec 21  2021 builddate.txt
-rw-r--r-- 1 root root   46054 May 30 06:43 conf_save.tgz
-rw-r--r-- 1 root root 6765872 May 30 07:22 initrd.buffalo
-rw-r--r-- 1 root root   27656 May 30 06:43 log.tgz
-rw-r--r-- 1 root root   10240 May 30 06:43 replication_queue.tar
-rw-r--r-- 1 root root   20986 May 30 06:43 splx.tgz
-rw-r--r-- 1 root root 2819418 May 20 21:55 System.map-6.1.137
-rw-r--r-- 1 root root  404368 Dec 21  2021 u-boot-88f6281.buffalo
-rw-r--r-- 1 root root  480980 Dec 21  2021 u-boot.buffalo
-rw-r--r-- 1 root root  480980 Dec 21  2021 u-boot-mv78100.buffalo
-rw-r--r-- 1 root root 2738636 Dec 21  2021 uImage-88f6281.buffalo
-rw-r--r-- 1 root root 4108800 May 30 07:22 uImage.buffalo
-rw-r--r-- 1 root root 2825964 Dec 21  2021 uImage-mv78100.buffalo
root@ubu24:~# 

Wikiではacp_commanderを使用してファイルの置き換えをしています。
ただその手順ではJavaのインストールが必要なので、本手順のようにHDDを直接マウントしてファイルを編集をする形を取りました。
本手順ではHDDを全部繋げられるUbuntu機が必要になる（TS-WXLのように4本HDDを使用するモデルは4本のHDDを繋ぐ必要がある）ので、そういったPCが用意できない場合は大人しくacp-commanderを使えばDebianのインストールができます。

uImage.buffaloとinitrd.buffaloを置き換えずにOS領域のSSH関連のファイルを置き換えることで、Buffalo公式のファームウェアで起動したTeraStationにadminアカウントでSSHログインができるようになります。
SSHログインのために置き換えるのは/etc/sshd_configと/etc/init.d/sshd.shの2つです。

/mnt/md126/etc/sshd_configは以下を設定します。
（/mnt/md126がOS領域だと仮定）

PasswordAuthentication yes
UsePAM no

/mnt/md126/etc/sshd.shは画像のようにsed -i -e '4 s/allowssh no/allowssh yes/' /etc/sftponly_configをsshd_start関数内に書き込みます。

これだけでadminアカウントでSSHログインができるのですが、suコマンドが使えないのでrootが取れません。
そのためadminアカウントでsuコマンドが使えるようにさらに設定を変更していきます。

# Ubuntu上でrootになっておく 
# TeraStationのrootパスワードの無効化
mv /mnt/md126/etc/shadow.orig /mnt/md126/etc/shadow
sed -e 's/^root:[^:]*:/root::/' /mnt/md126/etc/shadow.orig > /mnt/md126/etc/shadow

# suにスティッキービットを立てる
chmod 4755 /mnt/md126/bin/su 

# adminグループのユーザがsuコマンドを使えるように変更
sed -i 's/^auth\s\+required\s\+pam_wheel\.so\s\+use_uid$/auth       required     pam_wheel.so use_uid group=admin/' /mnt/md126/etc/pam.d/su

これでadminアカウントでのSSHログインとadminアカウントでsuコマンドによるroot化が可能になります。

rootを取れれば、以下の記事のように/etc/samba/smb.confをいじることでSMBv2を使うこともできます。iPhoneとSMB接続するだけなら、この記事の通りに実施するだけでもOKです。
【別記事】LinkStationのSMB1接続不可エラーの対処方法

TeraStationに組み込まれているマイコンを制御するためのコマンドとしてmiconaplがあります。
このコマンドによりファンやLED、ブザー、温度管理などを行うことができるようになります。

このタイミングでOS領域からmiconaplコマンドのバイナリと共有ライブラリをコピーしておくと、Debianにした後でも便利なので、確保しておくのをお勧めします。

該当のファイルは以下の3つです。
/usr/local/sbin/miconapl
/usr/local/lib/libbuffalo_bin.so
/usr/local/lib/libbuffalo_bin.so.1

これらのファイルの使い方は最後に記載しておきます。

手順４　Debianのインストール

設定を変更したHDDをTeraStationに戻して起動します。

画像のように本体の液晶が「Terastation arm Debian Installer」になっていればDebianインストーラの起動に成功しています。

ssh installer@TeraStationのIPアドレスでログインをしてください（パスワードはinstallです）

Start installerで画面に沿って進めていきます。

一般ユーザはminnsouとして作っておきます。

パーティションは迷うところですが、今回は各領域で公式ファームウェアと同じ形にしておきました。
boot領域（画像だとRAID1 device #0）を/boot、OS領域（画像だとRAID1 device #1）を/でマウントします。swap領域はそのままです。
データ領域（画像だとRAID0 device #2）はOMVインストール後にマウントするので、インストーラーではマウントせずとしています。

RAIDデバイス番号は変わる可能性があるので、画像は参考程度にしてください。

なお、パーティションを変える場合は公式の注意があるので従ってください。

このままGUIに沿って進めるとインストールプロセスが開始します。
40分ほどするとインストールが完了するので再起動させます。

2025年5月現在、インストーラーがうまく動かない事象が発生しています。
詳細はGithubのissueを参照ください。
ここでは回避方法だけ簡単に説明します。

上記の画面で「Continue」を押さずにCtrl-a dと押すと次の画面である「2*shell」に移ります。

このインストーラーはscreenコマンドで起動しているため、画面の切り替えはAlt＋2などではない点に注意です。
screenの詳細は別のQiita記事を参照ください。

ここで以下のコマンドを実施して必要なライブラリをインストールしてください。

mount --bind /dev /target/dev
mount --bind /dev/pts /target/dev/pts
mount --bind /proc /target/proc
mount --bind /sys /target/sys
mount --bind /run /target/run
chroot /target /bin/bash
apt-get update
apt-get install -y linux-libc-dev=6.1.137-33
apt-get install -y linux-image-marvell-buffalo

インストールが完了したらCtrl-a pで前の画面に戻り、「Continue」を押して再起動すればOKです。

起動後に「Terastation ARM Debian 12.11」のようにバージョン番号が表示されて入ればインストール成功です。

もしEMモードになってしまったり、ブートループになってしまったりした場合はDebianのインストールに失敗していますのでマウントしたりしてやり直してください。

手順５　OpenMediaVaultのインストール

OMVの公式に従ってインストールします。

TeraStationにSSHログインをし、aptで色々入れていきます。

# GPG鍵のインストール
apt-get install --yes gnupg
wget --quiet --output-document=- https://packages.openmediavault.org/public/archive.key | gpg --dearmor --yes --output "/usr/share/keyrings/openmediavault-archive-keyring.gpg"

# パッケージソースの追加
cat <<EOF >> /etc/apt/sources.list.d/openmediavault.list
deb [signed-by=/usr/share/keyrings/openmediavault-archive-keyring.gpg] https://packages.openmediavault.org/public sandworm main
# deb [signed-by=/usr/share/keyrings/openmediavault-archive-keyring.gpg] https://downloads.sourceforge.net/project/openmediavault/packages sandworm main
## Uncomment the following line to add software from the proposed repository.
# deb [signed-by=/usr/share/keyrings/openmediavault-archive-keyring.gpg] https://packages.openmediavault.org/public sandworm-proposed main
# deb [signed-by=/usr/share/keyrings/openmediavault-archive-keyring.gpg] https://downloads.sourceforge.net/project/openmediavault/packages sandworm-proposed main
## This software is not part of OpenMediaVault, but is offered by third-party
## developers as a service to OpenMediaVault users.
# deb [signed-by=/usr/share/keyrings/openmediavault-archive-keyring.gpg] https://packages.openmediavault.org/public sandworm partner
# deb [signed-by=/usr/share/keyrings/openmediavault-archive-keyring.gpg] https://downloads.sourceforge.net/project/openmediavault/packages sandworm partner
EOF

# OMVのインストール
export LANG=C.UTF-8
export DEBIAN_FRONTEND=noninteractive
export APT_LISTCHANGES_FRONTEND=none
apt-get update
apt-get --yes --auto-remove --show-upgraded \
    --allow-downgrades --allow-change-held-packages \
    --no-install-recommends \
    --option DPkg::Options::="--force-confdef" \
    --option DPkg::Options::="--force-confold" \
    install openmediavault

# OMVの構成データベースを構築する
omv-confdbadm populate

# 再起動
reboot

これでWebブラウザよりログインできるようになります。
インストール自体はこれで完了です。

手順６　OpenMediaVaultの設定（SMB接続まで）

これ以降はOMVの基本的な使い方なので詳細は述べませんが、他のPCやiPhoneなどからSMB接続できるようになるところまでの手順を簡単に記載します。

目標はDebianのインストーラーで作成した一般ユーザ（今回の例だとminnsou）のみがこのTeraStationにSMB接続(SMBv2)できるようにするところまでです。ゲスト接続はOFFとします。

まずはOMVにSSHログインできるようにユーザの設定を行います。
左のメニューから「Users」→「Users」を選択し、自分の作成したユーザを選択し、編集します。

公式のWikiを参考にそのユーザに_sshグループとsudoグループを付与します。
前者のグループ追加によりminnsouアカウントでのSSHログインが可能になり、後者によりminnsouアカウントでsudoコマンドが使えるようになります。

また固定IPにもしておきます。
左のメニューから「ネットワーク」→「インターフェース」より表示されているIFがあると思いますので設定を変更するだけです。
デフォルトでは画面のようにDHCPになっているはずなので、好きなIPアドレスを入力してください。

もしここに何もインターフェースが表示されていない方はインストール時にomv-confdbadm populateを実行し忘れているかと思います。

固定IPについては、SSHログインして以下のコマンドを打てば、GUIインストーラーが起動するのでそこから設定することも可能です。
sudo omv-firstaid

それではマウントしていなかったデータ領域でRAID6を作っていきます。
HDDの構成を変えてない場合は6つ目のパーティションがデータを保存する領域なのでsda6 sdb6 sdc6 sdd6からmd6を構成します。

RAIDアレイの構築はシェルで実施します。
SSHログインしてrootになり、まずは状況確認をします。

root@debian:~# cat /proc/mdstat 
Personalities : [linear] [raid0] [raid1] [raid10] [raid6] [raid5] [raid4] [multipath] [faulty] 
md2 : active raid0 sdd6[3] sdc6[2] sdb6[1] sda6[0]
      1893869568 blocks super 1.2 512k chunks
      
md1 : active raid1 sdd2[3] sdc2[2] sda2[0] sdb2[1]
      4999156 blocks super 1.2 [4/4] [UUUU]
      bitmap: 1/1 pages [4KB], 65536KB chunk

md10 : active raid1 sdd5[3] sdc5[2] sdb5[1] sda5[0]
      1000436 blocks super 1.2 [4/4] [UUUU]
      bitmap: 0/1 pages [0KB], 65536KB chunk

md0 : active raid1 sdd1[3] sdc1[2] sdb1[1] sda1[0]
      1000384 blocks [4/4] [UUUU]
      
unused devices: <none>
root@debian:~# 

md2がデータ領域なので、こちらを削除してRAID6に作り直します。

# デフォルトで作られるRAID0のデータ領域(md2)を削除
root@debian:~# mdadm --stop /dev/md2
mdadm: stopped /dev/md2

# RAID6でRAIDアレイを構築
root@debian:~# mdadm --create /dev/md6 --level=raid6 --raid-devices=4 /dev/sda6 /dev/sdb6 /dev/sdc6 /dev/sdd6
mdadm: /dev/sda6 appears to be part of a raid array:
       level=raid0 devices=4 ctime=Wed May 28 14:08:09 2025
mdadm: /dev/sdb6 appears to be part of a raid array:
       level=raid0 devices=4 ctime=Wed May 28 14:08:09 2025
mdadm: /dev/sdc6 appears to be part of a raid array:
       level=raid0 devices=4 ctime=Wed May 28 14:08:09 2025
mdadm: /dev/sdd6 appears to be part of a raid array:
       level=raid0 devices=4 ctime=Wed May 28 14:08:09 2025
Continue creating array? y
mdadm: Defaulting to version 1.2 metadata
mdadm: array /dev/md6 started.
root@debian:~#

# xfsでフォーマット(20分ほどかかります)
root@debian:~# mkfs.xfs /dev/md6

# mdadm.confのバックアップと生成
root@debian:~# mv /etc/mdadm/mdadm.conf /etc/mdadm/mdadm.conf.bkup
root@debian:~# /usr/share/mdadm/mkconf > /etc/mdadm/mdadm.conf

# initramfsの更新
root@debian:~# update-initramfs -u 
root@debian:~# reboot

なお、ここでRAID6を作成するとバックグラウンドでresyncの処理が走ります。この処理がまあまあ重いので、このタイミングでRAIDの同期スピードを下げておくと、この後のGUIでの処理の時間が少し短くなると思います。

root@debian:~# echo 500 > /proc/sys/dev/raid/speed_limit_min
root@debian:~# echo 500 > /proc/sys/dev/raid/speed_limit_max

残りはGUIで設定をしていきます。
「Storage」→「File Systems」の再生マークをクリックし、既存のファイルシステムのマウントをしていきます。

ファイルシステムに先ほど作った/dev/md6を選択して保存します。

次に「Storage」→「Shared Folders」より共有フォルダを作ります。＋ボタンより新規作成をします。

名前は適当にtest_dirとします。これがSMB接続の時に見えるディレクトリ名です。

作ったユーザのみがアクセスできるように「Permission」もクリックし、該当ユーザに権限を与えます。

今回はDebianインストーラーで作ったminnsouユーザ＆グループに権限を追加しておきます。

なお、Debianインストーラーで作成したユーザの場合、パスワードの設定も必要になります。¹
メニューの「User」→「User」よりパスワードも設定しておいてください。

「Services」→「SMB/CIFS」→「Settings」より「Enable」をクリックしてSambaを有効化します。

「Services」→「SMB/CIFS」→「Share」より新規作成をします。

「Shared folder」に先ほど作った共有フォルダtest_dirを選択して保存します。
それ以外の各項目はデフォルトでもSMB接続ができるかと思います。
（ゲスト接続はデフォルトでNOになっているので問題なし）

これでSMBの設定は完了です。別の機器で接続してみましょう。

iPhoneでも問題なく接続でき、作成したtest_dirが見えました。

もし同期スピードを変更した方はデフォルト値に戻しておきましょう。²

root@debian:~# echo 10000 > /proc/sys/dev/raid/speed_limit_min
root@debian:~# echo 200000 > /proc/sys/dev/raid/speed_limit_max

OMVさえ入れることができれば、自宅用のファイルサーバを作ったり、MacBookのTimeMachineを作ったり、色々できるかと思います。良きNASライフを。

TS-WXLシリーズは古い32bitのARMプロセッサ（armel）のため、OMVのプラグインが使えないので注意してください。公式のアナウンスはこちらです。
もしどうしてもプラグインが必要な方はIntelチップを採用したTeraStationを探してください。その場合はDebian_on_Intel_Terastationsが参考になると思います。

（参考）やっておくと便利なものたち　必須ではないので折りたたみ

miconaplのコピー

公式ファームウェアからコピーしておいたmiconaplとlibbufalo_bin.so、libbuffalo_bin.so.1をDebianでも使えるようにします。

# 一旦SCPなどでホームディレクトに各ファイルを移動
root@debian:~# ls -la /home/minnsou/*
-rwxr-xr-x 1 minnsou users 151682 May 30 10:34 /home/minnsou/libbuffalo_bin.so
-rwxr-xr-x 1 minnsou users 151682 May 30 10:34 /home/minnsou/libbuffalo_bin.so.1
-rwxr-xr-x 1 minnsou users  73916 May 30 10:32 /home/minnsou/miconapl
root@debian:~#

# 適切な場所にコピーする
root@debian:~# cp /home/minnsou/miconapl /usr/local/sbin/
root@debian:~# cp /home/minnsou/libbuffalo_bin.so* /usr/local/lib/

# 共有ライブラリの更新
root@debian:~# ldconfig -v

# 動作確認
root@debian:~# miconapl -a bz_on button
# これでブザー音がピッと鳴ればOK

これでmiconaplが使えるようになります。
コマンドのより詳しい解説はLinkStation／玄箱をハックしようをどうぞ。

シリアルコンソールの有効化

TS-XHLには前面の扉を開けるとシリアルコンソール用のDsub9ピンがあり、クロスケーブルを使ってPCと接続するとログが見えて色々と便利です。

（参考）起動時のシリアルコンソールのログ

特に何もしなくても出力はできるのですが、キーボードからの入力できません。
問題が起きた時のためにコンソール経由でもログインできるようキーボードの入力を受け付けるようにします。

root@debian:~# /usr/local/sbin/miconapl -a serialmode_console

これだけでシリアルコンソールが使えるようになります。
ただし電源を落とすとコンソールがまた使えなくなってしまうので、起動時にこのコマンドを実行するようにサービス化しておきます。

root@debian:~# vi /etc/systemd/system/miconapl_serial.service

miconapl_serial.service

[Unit]
Description=Run miconapl with serialmode_console at boot
After=multi-user.target

[Service]
Type=simple
ExecStart=/usr/local/sbin/miconapl -a serialmode_console
User=root
RemainAfterExit=true

[Install]
WantedBy=multi-user.target

root@debian:~# systemctl daemon-reexec
root@debian:~# systemctl enable miconapl_serial.service
Created symlink /etc/systemd/system/multi-user.target.wants/miconapl_serial.service → /etc/systemd/system/miconapl_serial.service.
root@debian:~# systemctl start miconapl_serial.service
root@debian:~# systemctl status miconapl_serial.service
● miconapl_serial.service - Run miconapl with serialmode_console at boot
     Loaded: loaded (/etc/systemd/system/miconapl_serial.service; enabled; preset: enabled)
     Active: active (exited) since Fri 2025-05-30 11:32:53 JST; 7s ago
    Process: 1569 ExecStart=/usr/local/sbin/miconapl -a serialmode_console (code=exited, status=0/SUCCESS)
   Main PID: 1569 (code=exited, status=0/SUCCESS)
        CPU: 29ms

May 30 11:32:53 debian systemd[1]: Started miconapl_serial.service - Run miconapl with serialmode_console at boot.
root@debian:~#

これで再起動後にキーボード入力ができることを確認してください。

不要なサービスの停止

LVM2のミラーデバイスを管理するサービスですが、今回はLVMは使わない＆再起動時にこのサービスを落とすのに1分半かかっているので停止しておきます。

root@debian:~# systemctl disable blk-availability.service

参考

LinkStation/TeraStationをハックしている方のブログです。TS-WXLシリーズの記事もあり、とても参考になりました。
https://www.yamasita.jp/linkstation/category/ts-wxl/

TeraStationのSSHログインの部分は以下の記事を参考にさせていただきました。
らっしー様のブログ

1. 原因が不明ですが、OMVインストール前に作成されているユーザはsmbpasswdが実行されていないからかもしれません。GUIで改めてパスワードを設定することでsmbpasswdの処理が走るのかと思います。 ↩

2. もし再起動してもそのままのスピードが良い方は/etc/sysctl.confにdev.raid.speed_limit_min = 50000のように追加してください。 ↩