はじめに
よく耳にするのが、属人化はよくない、なんとか解消したい
。
属人化のデメリットは明白ですが、そのメリットについても考えてみようと思います。
組織において、フルスタックを目指す人がいれば、得意分野を極めたい人もいるため、
プロジェクトの性質によっては、属人化が成功のカギになる場合もあるかもしれません。
プロジェクトとオーケストラ
プロジェクトはオーケストラに例えられる場合があります。
オーケストラは、一人一人が専門とする楽器を演奏し、
それが調和されて素敵なオーケストラを奏でます。
- 演奏者
- プロジェクトにおけるメンバーで、分野の異なる専門家により構成されます
- 指揮者
- プロジェクトにおけるリーダーで、メンバーを束ねて目標に到達します
- 楽譜
- プロジェクトにおける共通ルールです
- 開発ツールや言語
- マニュアル
- 仕様書
- 用語集
- プロジェクトにおける共通ルールです
- 役割分担表(楽器の種類で担当が分かれる)
- プロジェクトにおいても、メンバーの得意分野により担当がきまります
- 顧客
- プロジェクトにおいても、最終的に成果を評価するのはお客様です
属人化とは
※ 引用元: Weblio辞書の説明からも、属人化はマイナスの面が大きいようです。
- 業務やタスクの進め方や状況について特定の人物しか把握できておらず、その人が居なくなると業務遂行に支障が出るような状況
- 特定の業務の管理方法やタスクのやり方や進め方が一人の担当者にしか分からず、その人がいなくなった場合に業務の管理が難しくなったり業務の遂行に支障が生じるような状況
- 属人化された業務は短期的には効率性を発揮する場合もありえるが、中長期に渡って続く場合はほとんどが非効率を招くことが多い
属人化のデメリット
属人化により、次のようなデメリットが発生します。
- 業務を担当者しか進められない
- 特定の社員に負担が偏り
- 業務がスムーズに進まなくなる
- 担当者が休んだ場合
- 業務が停滞したり
- 業務の品質を保てなくなる
- 業務に関するノウハウ
- 特定の社員しかもっておらず
- 組織にナレッジが蓄積されない
属人化のメリット
ただし、属人化にもメリットが存在するようです。
- 作業効率と生産性向上
- 専門性やスキルが求められる分野において、業務に慣れていないメンバーと分担して業務を進めるより効率がよい
- メンバー間の意思疎通や資料作成などマネジメントコストが軽減され、生産性が向上する
- 担当者のモチベーション向上
- 「ここはあなたが一番詳しいから」と任されるとモチベーションが上がる
- 特定分野のノウハウをとことん追究できるので、スペシャリストを目指せる
- オーナーシップを発揮できる
- ある程度裁量を持ち業務遂行できるため、やらされ感が軽減され、仕事への責任感や意欲が増す
- 担当者が頻繁に変わるより、組織または顧客から信頼を得られやすくなる
- 組織へのメリット
- 特定分野のスペシャリストを確保することで、社外に技術発信できブランド力を高める
- 業務が属人化されることで、顧客から信頼され、売上拡大や販売促進につながる
属人化を解消するには
以下のような対策が考えられます。
- 業務の見える化
- 業務フローや進捗状況を見える化する
- 自分のみならず、他のメンバーのタスクも把握できるように
- 業務の標準化
- 業務内容を洗い出し標準化する
- 業務における、責任や権限を分散する
- 業務内容について情報共有を徹底
- 仕様書やマニュアルの整備
- タスク完了時の必須成果物と位置付ける
- ナレッジマネジメントを進める
- 仕様書やマニュアルの整備
- 専門性が高い業務内容
- 勉強会・説明会を開催
- モブプロ、ペアプロを活用
おわりに
今まで担当してきたプロジェクトの中で、一番印象に残っているものがあります。
専門性を要するプロジェクトで、短期間でリリースまで漕ぎつく必要がありました。
メンバー構成は3人のみで、それぞれの得意分野がはっきり分かれていました。
二人はそれぞれの特定分野のスペシャリストで、最新のナレッジや技術動向を把握できていましたので、
的確なソリューションを確立し、素早くプロトタイプ作成・検証し、お客様へのデモからフィードバックを得ていました。
自分は、プロジェクト全体の進捗管理と品質担保の検証に集中でき、スケジュール通りに納品が可能でした。
属人化を一概に否定するよりは、そのプラスの面は業務に取り入れてみてもよいかもしれません。