非IT企業で、ペーパーレス化を推進するプロジェクトを立ち上げたので、調べたことをアウトプットする。
導入の背景
e-文書法 や 電子帳簿保存法 の法改正によって、これまでは紙での保存が義務づけられていた契約書や領収書を、電子化して保存することが可能になった。当初こそスキャンの保存要件が厳しかったが、電子帳簿保存法の規制緩和によって、スマホで撮影した画像でも保存が認められるようになる。
このように国としてもペーパーレス化を推進していることに加え、最近のテレワーク普及も背中を押す形になっている。
ペーパーレス化の是非
そもそもペーパーレス化のメリットは何だろう?
- データ化されているので、キーワード検索で資料を探し易くなる
- RPA(Robotic Process Automation)で定形業務を自動化し易くなる
- 紙代や印刷代、プリンター保守費用、シュレッダーや廃棄費用といったコストを削減できる
- 書類を保管するキャビネットが不要となり、作業空間が広く取れる
- 文書ごとにパスワードをかけたり、アカウントごとに閲覧権限を設定できるため、セキュリティ対策になる
- 外出先や遠隔地でも文書を共有できるので、外回り営業マンやテレワークに最適
- クラウドを文書のバックアップ先とすれば、災害発生時のBCP対策になる
- 環境に優しい取り組みをしていると対外的にアピールでき、企業の価値が上がる
といったところか。
デメリットは、
- PCが故障したりネットワークに障害があると閲覧できなくなる
- 画面越しに閲覧するので、全体像が分かりにくくなる
が挙げられると思う。
ITエンジニアはどちらかというと紙嫌いな人が多く、普段からGitHubなどでMarkdownを書くことに慣れ、タブレット端末を持ち歩き、F2Fの会議ですら紙の資料を持ち込まない(紛失リスク回避という理由もあるだろうが)。
非IT業にこのような文化が馴染むのか。なかには否定的な考えを持つ従業員もいるはずで、トップダウンで推し進めることが肝要であろう。
Microsoft Office を使い続けることの是非
ドキュメントは Microsoft Office で作成することが殆どだと思う。
Office のデメリットとして、
- 画像を使いすぎると重くなる
- 画像を挿入するとレイアウトが崩れ、直すのが面倒
- テンプレート機能を上手に使わない限り、作成者によってレイアウトがバラバラになり易い
- 改定や更新の記録を関係者と共有し難い
があり、これを解消するために市販のマニュアル作成ツールがあると思うので、どんなものがあるか調べてみた。
Teachme Biz
- https://biz.teachme.jp/
- CMでの認知度が高く王道とも。動画や画像を使ったマニュアル作成も容易。
- 初期費用:30万円から、月額:5万円からで、編集アカウント10件まで、閲覧アカウント50件まで。
- 月額10万円以上から、SSO、承認ワークフロー、公開期限管理機能が解放。
NotePM
- https://notepm.jp/
- Markdownにも対応した社内wikiという感じで、Teamsに似てる。
- 初期費用:0円、月額:17,500円から(50ユーザまで)。
Dojo
- https://www.tepss.com/
- テンプレートから作れるマニュアル作成ソフト。クラウド型では無い。
- 価格は代理店経由で問合せ。
clipLine
- https://clipline.com/
- 飲食店や百貨店などのサービス業を中心に豊富な導入実績あり。
- 価格などは要問合せ。
はたらきかたマニュアル
- https://www.how2work.jp/
- プロのライターに作成委託も可能。
- 初期費用:8万円、月額:5万円。
動画活用のススメ
ペーパーレスなら動画で手順を説明したって良いわけで
Windows10 なら Windowsキー + Gキー で音声付き動画としてキャプチャーできる。(録音だけならボイスレコーダーアプリを使う)
ステレオミキサーとGoogleドキュメントの音声入力を併用することで、ビデオファイルからの文字起こしがラクになるので紹介したい。要Google Chrome。
サウンド設定画面の表示
Windowsキー + Rキー を押し mmsys.cpl
と入力する。
録音の既定をステレオミキサーにする
Googleドキュメントを開き、音声入力をクリックする
動画を再生し、マイクのアイコンをクリックする
無音が続いたり、Chromeウィンドウが非アクティブになると、聴き取りを止めてしまうので注意。
FFmpegでは、無音の始まりと終わりを検出できるので、プログラムに渡して加工してやると無音をカットできそうだ。
ffmpeg -i foo.mp4 -af silencedetect=noise=-30dB:d=0.4 -f null -
[silencedetect @ 000002b6d4932440] silence_end: 6.17108 | silence_duration: 6.1711
[silencedetect @ 000002b6d4932440] silence_start: 6.46921
[silencedetect @ 000002b6d4932440] silence_end: 10.3198 | silence_duration: 3.85058
[silencedetect @ 000002b6d4932440] silence_start: 10.3991
[silencedetect @ 000002b6d4932440] silence_end: 30.7511 | silence_duration: 20.352
[silencedetect @ 000002b6d4932440] silence_start: 30.775
[silencedetect @ 000002b6d4932440] silence_end: 31.6742 | silence_duration: 0.899167
[silencedetect @ 000002b6d4932440] silence_start: 31.6742
[silencedetect @ 000002b6d4932440] silence_end: 32.9736 | silence_duration: 1.2994
[silencedetect @ 000002b6d4932440] silence_start: 32.9957
[silencedetect @ 000002b6d4932440] silence_end: 35.6835 | silence_duration: 2.68777
[silencedetect @ 000002b6d4932440] silence_start: 35.6835
[silencedetect @ 000002b6d4932440] silence_end: 50.2413 | silence_duration: 14.5578
文字起こしが終わったら、録音の既定をマイクに戻す
ペーパーレス会議のススメ
さいごに、Intel Unite を用いたペーパーレス会議ソリューションを紹介したい。
https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/architecture-and-technology/unite/intel-unite-overview.html
Uniteは、プロジェクタ(会議用モニタ)と接続したHUB、HUB連携ソフトをインストールしたクライアントPC で構成される。
それぞれは Wi-Fi で接続され、発表者は手元のクライアントPCからHUBを経由してプレゼンを行うことになるので、ケーブルの付け替えや席の移動といったストレスから解放される。
Wi-Fiで画面を転送する Miracast(ワイヤレスHDMI)を想像してもらえると分かり易い。
HUBに使うPCは Intel vProテクノロジに対応している必要があるが、エンタープライズ向けPCなら搭載していることが多いので一度確認してみて欲しい。Intel NUC(小型ベアボーンPC)をHUBとして使うのも良いかもしれない。