**NAS(ネットワークアタッチトストレージ)**のストレージ容量を一杯まで使い切るという凡ミスをやらかした話をする。
NASのスペック
NASには、零細企業やSOHOをターゲットとした QNAP TS-431P を採用している。QNAPは、同じ台湾メーカーでNASの世界シェア1位のSynologyとよく比較されるが、性能では優位という印象。かつては操作性の面でSynologyに劣ると評価されていたようだが、QTS4.2(LinuxをベースとしたNAS専用OS)のリリース後は追いついた感じ。
TS-431Pは、エントリーモデルながらRAID6(2台のHDDが壊れてもデータ復旧可能で転送速度も速い)が組める4ベイタイプのNASで、HDDの付け替えも簡単。
デュアルLANポートなので、NICを束ねて帯域幅を増やし、負荷分散と耐障害性(フォールトトレランス)を高めることも可能。いわゆるポートトランキングとかリンクアグリゲーションというやつ(サーバ分野でいうところのチーミング)。
機能的にも一般的なNASが備えることは全部できるし、ファンの音も気にならない(サーバルームを持てない零細企業では執務室に置くことになるので静音化対策も重視)。同価格帯の製品と比べてもコスパは悪くないと思う。
HDDは別途調達する必要があるものの、メーカーと記憶容量を自由に選べ、故障すれば交換してリビルドするだけなので、これはむしろメリットと言える(HDDはWestern Digital製、できれば WD Red あたりを選ぶのが無難ではなかろうかと個人的には思う)。
ちなみに今のRAID構成は次の通りとしている。
ベイ | 構成 |
---|---|
HDD 1 | RAID1(ミラーリング) |
HDD 2 | RAID1(ミラーリング) |
HDD 3 | ホットスペア用ディスク |
HDD 4 | 予備 |
(参考)コントロールパネルの画面
満杯に至った原因
とある、非常に古い業務パッケージが、60GBほどのバックアップファイルを自動で取得し、削除する、という動作を毎日繰り返していたため。
QNAPには「ネットワークごみ箱」と呼ばれる、削除したファイルを@Recycle
という名前の専用フォルダに移動させる機能がある。誤ってファイルを削除してしまった場合に復活できる便利な機能であるが、ごみ箱にファイルを保存する日数がデフォルトの180日とそこそこ長めに設定されていたため、ストレージ容量を使い切ってしまった。
暫定対策
ネットワークごみ箱より、業務パッケージのバックアップファイルを削除した。
恒久対策・再発防止策
1.業務パッケージのバックアップファイルをごみ箱に保存しない
古い業務パッケージだからなのか手抜きなのか分からないが、どういうわけかlzh
の形式でバックアップファイルを出力する。lzh
とは、zip
のような圧縮ファイル形式のひとつで、Windows OSが登場する前から日本人によって開発されたもの。本邦においては事実上の標準圧縮形式だった。
lzh
で出力するソフトはこの業務パッケージだけなので、拡張子lzh
をネットワークごみ箱の対象外とした。
バックアップファイルは、業務パッケージが独自に世代管理しているので、ネットワークごみ箱に保持する必要は無い。
2.アラート通知ルールの作成
HDDに異常があったりHDDトレイが外れたりした時はアラートメールを受け取る設定だが、今回のシステムログをもとに、ストレージ容量が不足しそうになった場合でもメールを受け取るようにした。
教訓
予防保守は大事。