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ヘッダービディングって結局どうなの?

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これはactindi Advent Calendar 2018、5日目の記事です。

WEBディレクター兼ad(ネット広告)を担当しているminamiです。
ここ1-2年、ad業界のホットなテーマはヘッダービディング。
ところがググっても生の声が聞こえてこず実態がよくわからない。
そこで本日はパブリッシャー視点で「ヘッダービディングって結局どうなの?」をテーマに書いてみようと思います。

##ヘッダービディングと過ごした一年
いこーよでは、Google Ad Managerを運用及び収益の中心に据え、ヘッダービディングを活用しています。
2018年12月5日現在、prebid.js、AMAZONのTAM(Transparent Ad Marketplace)、GoogleのEBDA(Exchange Bidding in Dynamic Allocation)の3つのヘッダービディングソリューションを導入しています。
接続しているビッダー数はprebid.js経由で8社、TAM経由で5社、EBDA経由で7社。重複を除くと11社と接続中です。

まず、2017年11月にTAMを導入しました。
選んだ理由はS2S(Server to Server)のソリューションであったこと。
表示速度や遅延(レイテンシー)を重視しているからです。
導入に伴いDFP(当時)の実装方法を全面的に見直しました。
これが結構大変で大きな山でした。

TAMを導入した直後は手探りで、ビッダー追加に慎重姿勢でした。
ノウハウが蓄積された2018年4月以降にビッダーを2社追加。
5月にprebid.jsとEBDAを導入してからは攻めの姿勢に転じ、ビッダー追加を積極的に推し進めてきました。
表示速度など悪影響がないなら、ヘッダービディングは理論上、ビッダーが多いほど収益がアップする仕組みだからです。
したがってビッダー追加時に最も気にすることはレイテンシー。指標としてはtimeout率。
いこーよでは多くのbidderと接続していますが、timeoutは1000msに設定しています。
他の媒体社さんの話を聞くと、どうやら結構厳しめのようですが、緩めるつもりはありません。
間に合わないならビッダー数を減らす。
少し厳しいラインを己に課しています。

##ヘッダービディングの効果は絶大

ヘッダービディングの効果は抜群でした。
はっきりと数値に表れました。
喩えるなら年度末やクリスマスの確変が連チャンしているイメージ。
一例ですがCPMが高くimp量もある当社のエース枠では、
TAM効果で平均CPMが40%アップ、さらにEBDAとprebid.js効果で50%アップ
導入前と比較すると、平均CPMが約2倍にまで跳ね上がりました
これはほんの一例ですが、全ての枠で大幅アップに貢献してくれました。

##TAM、EBDA、prebid.jsを比較
3つのソリューションがあるけど何が違うの?何が一番いいの?どのビッダーと接続してる?
パブリッシャーのイベントで他媒体の広告担当と顔を合わせると、
この一年はこのような情報交換ばかりだったように思います。

以下、私見ですが簡単にまとめてみました。

TAM

評価項目 ポイント
導入の簡単さ ★★
ビッダー追加 ★★★★★
収益性 ★★★★
導入コストは高く、サイトによっては導入前に広告枠の設計やコードの実装を見直す必要あり。
ただ、一度導入するとビッダーの追加は簡単。
媒体社側の作業はSSPとAmazonさんにメールで「お願いします!」で完了。
最大のメリットは、Amazonという巨大なデマンド
Amazonと接続するために利用していると言っても過言ではありません。

EBDA

評価項目 ポイント
導入の簡単さ ★★★★★
ビッダー追加 ★★★★
収益性 ★★
ヘッダービディングの最大の目的はオークションプレッシャーだとすると、
他2つのソリューションと比べて、ヘッダービディングと呼ぶことに違和感を覚える。
ウォーターフォール形式でSSPのタグを配信しているなら、全SSPをEBDAに切り替えた方がいい。
収益性はもちろん、手間は減るし管理画面はad managerに一元化できるしいい事づくし。
いこーよではPMP案件を除き、SSPのタグによる運用は全て止めています

prebid.js

評価項目 ポイント
導入の簡単さ
ビッダー追加 ★★
収益性 ★★★★★

今年の流行語にもノミネートされたGAFAの二角が”親”の他2つと違い、オープンソースのソリューション。
判官びいきで応援したくなるのは日本人の性でしょうか。

導入コストやビッダーを追加するコストは共に高く、技術的なハードルが高いのが特徴。
社内に仕組みを理解した広告専任エンジニアがいないと厳しい。
そのハードルの高さを逆手に、各SSPが独自のラッパーを構築し、サービス展開しているのが現状です。
つまり、一口にprebid.jsと言っても、自社で独力でやるのかSSPと連携するのか、数種類に分かれます。
導入時にどこと組むのか検討することが大事であり、その比較検討も大変。

巷ではクッキーシンクがいいだの言われていますが、高単価なPMP入札が一番のメリットだと考えています。
例えばCPM 700円のPMP案件があり、prebid.js経由で入札され続けるとどうなるか。
勝てばもちろんCPM 700円、負けてもレートが700円のラインアイテム(広告申込情報)が動いているので、
Google Ad managerへのオークションプレッシャーがかかり続けることになる。
結果、その広告枠のフロアプライスをCPM 300円に設定していても、平均CPMは遥か上空の500円なんてことに!
こうなるともはやフロアプライスを設定する意味がない。また、相場に合わせてマメに調整する必要もない。

これはあくまで高単価な入札がされ続ける前提の話。
裏を返せばPMP案件が少なかったり、bidrate(入札率)が低いならprebid.jsのメリットは薄い。
(※入札率=入札回数/リクエスト回数)

##結局どこが一番いいの?

まとめると、
Amazonと繋がる唯一の手段&導入後の運用が楽なのはTAM
SSPのタグ運用の煩わしさから逃れる&社内の技術的リソースが不足しているならEBDA
PMPに期待するなら(期待できるなら)prebid.js

はい、本日のテーマの結論が出ました。
各媒体ごとにリソースなど置かれている状況で選択肢は変わると思います。
一つ言えることは、「3つ導入できるなら、3つともやったほうがいい」ということ。
結局のところ、入れる順番だけの問題な気がします。

##ビッダー数はいくつが最適解?
さて、ここからは運用の話。
効果検証をどうしていくか。どこのSSPがいいのか。

ビッダー数が増えるほど収益は最大化するが、あるラインを超えると効果は不明瞭になる。
ヘッダービディングで最もインパクトを感じるのはソリューションを導入した直後。
仕組みを考えれば当然ですが、ビッダー数が増えれば増えるほど新たにビッダーを追加したときの効果は薄くなる
オークションプレッシャーを目的に導入するなら、主要どころ2-3社とGoogleを競争させれば必要十分。

ではなぜ多くのビッダーと接続しているのか。

##ビッダーを比較する指標

ビッダーを比較する指標は、CPMの高さでも収益額でもないと考えています。
paid imp(落札imp)とbidrate(入札率)と、どの広告枠が得意かの3つです。
順番に説明します。

例えば、Google含め他ビッダーの最高値が300円の場合。
そのときビッダーA社が最高値を上回る320円の入札なら、パブリッシャー側は+20円の収益アップ。
別のケースで、ほとんどのビッダーが値段を付けず、どこか1社が50円の値付けで最高値だったとき、
このimpに対してA社が70円の入札なら、パブリッシャー側は+20円の収益アップ。
パブリッシャー側から見ればどちらも同じ+20円の収益アップなんですよね。
CPMはその落札平均値であって、収益最大化に貢献したかどうかはわからない。
一方でpaid imp(=win imp)は全bidderの中で最高値を付けた回数。だから重要。

次にbidrateですが、bidrateの高さ=オークションプレッシャーがかかる割合です。
繰り返しになりますが、ヘッダービディングの目的はオークションプレッシャーをかけること。
だから、bidrateは重要な指標。

最後に各SSPの特徴を見分けることも重要です。
デバイス、サイズ、広告位置など様々な切り口で分析する。
view率が高いATFの広告枠が各社高単価の入札になるのは当たり前。
view率が低いBTFの広告枠でpaid impが多いビッダーは、収益化が難しかった広告枠の収益化に貢献していると言える。
特定の広告枠で、定常的に他ビッダーと比較してpaid impが多いなら、パブリッシャー側から見ればこれほど有り難い存在はない。

##最後に。。。
SSPごとに入札方針やロジックが異なるようで、入札単価にはかなりばらつきがあります。
ヘッダービディングの一番のメリットは、
Google一社のロジックで値付けされず、複数の入札から一番高いものが表示されること

決して「広告枠の価値=サイトの価値」ではありませんが、
安く買い叩かれることなく正当な評価を市場にしてもらうことは重要です。
仲間が汗水流して作り出した1セッション、1PV、1impの価値を最大化すること。これが僕の仕事です。

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