はじめに
最近ドメイン名のライフサイクルマネージメント(DLCM)ができていない事例がみられますが、この手の問題をなくすことは難しいです。ドメイン名は、特許や商標と同等、ものによってはそれもよりも価値の高い知的財産権であることは関係者ではれば周知の事実ですが、非常に簡単に登録できるあまり、それが一般にはまだ浸透していないと言うことでしょう。
レジストラ(登録代行事業者)も登録時は簡単に登録できることを煽ってますしね。
オークションの話
上記認識は今回オークションが行われたGMOも例外ではなく、ドメイン名の更新をドロップキャッチされた際のリスクなどを使って盛んに(鬱陶しいほど)訴えてきます。同時に、ドロップキャッチするサービス(今回のオークションとかも含むバックオーダ)は、逆に、元サイトの価値を言ってるので、両手になんとか状態。。
登録済みドメイン名のオークションはともかく、ドロップキャッチした(再登録可能になり、再登録した)ドメイン名のオークションは透明性とか、どうなんだろうなとは思います。
本当に他の入札者がいるのかとか。価格の釣り上げ行為がされていないのかとか。
ただ、GMOが悪いというよりは、こう言うレジストラの方が世界的にはむしろメジャーです。
JPドメイン名に関しては、いっそ、登録回復期間後に再登録受付期間作って、レジストリであるJPRSがオークションすればとは思います。その方がレジストリに収益が入る分いくらか日本のインターネット全体の利益になりますしね。
DCLMの運用
DLCMを作って運用している組織でも、漏れは発生します。
知的財産権という面のドメイン名の管理だけではなく、他のマネージメントシステムでもドメイン名の管理状況を確認するなどの重複チェックが有効だと思います。
要はDLCMで管理されてないドメイン名も世の中に出る前、出た後、最悪サービス終了までに捕捉できるような体制が必要ということです。
例えば、自社サービスのWEBサイトのセキュリティの管理(証明書や脆弱性管理)なども行なっているはずなので、その際にドメイン名の管理がされているか確認できればいいです。
また、ドメイン名の管理状況の確認と同時に、メールの送信ドメイン認証やDNSSECなどのドメイン名セキュリティの管理などを絡めることで、より管理状況が放置されていることに気付きやすくなると思います。
根本的な問題
根本的には現在のドメイン名(インターネット上の番号資源等)は利用しなくなったら返却し再利用することが前提になっているため、登録者がミスると発生してしまい、この問題をなくすことは難しいです。
一度ちゃんと利用したドメイン名を適切に手放すことは非常に難しい状況で、何十年も利用しないでただ維持し続ける塩漬けドメイン名になります。
似たような資源にIPアドレスやAS番号とかもありますが、ドメイン名はいわゆる汚れ具合がひどく他者に渡すことが困難なため、再利用には適していないと考えます。
解決案として考えたのが、ドメイン名を一度登録したら永年登録者としての権利を持てるようにすることです。(譲渡は可能)
ただ、ドメイン名も設備や運用にお金がかかるため、登録時の一回払いにするとエコシステムが破綻するため、ドメイン名を利用する場合は別途利用料を払うという2段階のシステムにする方が良いのではと思います。
ちなみに、業界内では100年利用期間付与の案も度々話題に出るのですが、長期利用を一括で払うパターンはTLDを運用しているレジストリ側(登録代行事業者のレジストラが登録してもらう先)の財政が安定的しなくなるため、難しいようです。
gTLDに実装するのは難しいかもしれませんが、JPドメイン名であれば、実装することも可能かもしれません。
例えば汎用JPに利用料N年分の相当の費用まとめて払うと永年登録者になれるオプションを作る。
永年登録可能なインフラや金融サービス用のJPドメイン名を新設するというのもなどが考えられれます。
(ラベルの追加は近年も都道府県型JPとかだしてるので技術的に可能のはず)
正直、私の中では再利用の仕組みはすでに破綻していると考えています。
また、ドメイン名登録者の努力だけでは完全に解決できない部分も多々あり、それに便乗して利益をえる方々がいる歪な状況です。
努力ではなく仕組みとして解決できるような方向性になるといいなと思います。