はじめに
はじめまして!みみーです。
Life is Tech! Advent Calender 2022 もそろそろ折り返し地点です。
今回は、人と働く上で必要な意識について記事を書こうと思います。
プロジェクトチームの一員として働く、依頼を受けて制作する、読者のみなさまも、さまざまなスタイルで仕事をしていると思います。
そのなかでどうやっても切り離せないのが「他人」の存在です。自分ひとりでスケジュールを立てて、ぎりぎりでもコツコツでも、自分のペースで作業を終わらせられる大学の課題との違いはそこにあると感じています。
おそらく読者のみなさまのほうが、会社や学生団体で人と仕事をした経験は私よりも長いかと思います。なのでこの記事では、早稲田祭2022という8万人規模のイベントを学生600人で運営する組織の中で、社会経験のない大学1年生が初めて大きな組織に入って感じた新鮮な気づきをお伝えしようと思います。長く組織で働くなかで忘れてしまったことを思い出していただければ幸いです。
この記事の対象読者
- チームで仕事をする際、じれったい思いをすることが多い人
- プロジェクトの効率化をしたい人
- 初心を思い出したい人
この記事に書いてあること
- お互いに気持ちよく、効率よく協働するためのヒント
- コミュニケーションにおける摩擦を最小にするアイデア
- チームで働くなかで感じるイライラ、モヤモヤの原因
スケジュールは自分だけのものじゃない
早稲田祭2022では、ワセメシ(=早稲田周辺の飲食店)から早稲田祭を盛り上げる企画の統括として、企画内容の考案からアポ取り、企画サイト制作までを自ら担当しました。
企画を円滑に進めるうえで大きな障壁となったのが、予定管理です。もっといえば、スケジューリングの際に他人のことが見えていないことが原因で、企画開始日の朝時点で「順次公開!」だらけという怪物Webサイトを生み出してしまうことになりました・・・
多様性って身近な言葉
「多様性」
近頃よく目にする言葉ですよね。というか、「多様性の尊重」「多様性のある会社」など、社内や学内、就活等で耳にタコができるほど聞いていると思います。
そんな「多様性」ですが、これほど耳にしていると逆に、どこか自分とは離れた他人事のような気がしていませんか?
私自身が思っている以上に、多様性の尊重は身近で差し迫ったものでした。
- 熱量
- 働き方のスタイル
- キャパシティ
上に挙げた3つは、人と仕事をするうえで最低でも理解していなければいけない「多様性」です。この3つの大分類の中に、連絡頻度や生活習慣、力量などの要素も入ってきます。
冷静に考えれば当たり前に理解できる個性です。しかし、締め切りが迫って余裕がなくなると途端に、「一緒に働いている相手は自分じゃない」という当たり前の意識が頭から抜け落ちてしまう人が多く見られます。
一緒に働いている相手は自分じゃない
大学の課題のような、自分一人でするタスクの予定を立てる時の感覚は、経験をもとに掴めていると思います。
その感覚で、他人も関わるタスクのスケジュールも立てていませんか?
プロジェクトのために飲まず食わずで作業ができる熱量の人もいれば、ワーク・ライフ・バランスを崩さないことをポリシーに仕事をしている人もいます。朝方、夜型、フルタイムでアルバイトに入っている人もいれば、昼夜逆転で暮らしている人もいます。技術力やタスクマネジメント能力の違いだったり、マルチタスクの得意不得意もあります。
調整先が多いプロジェクトでは、やり過ぎと思えるくらいの余白をスケジュールに持たせておいたほうがいいです。実例として、今回の早稲田祭のWebサイト制作では、ひとりでやれば数分もかからないはずのYoutubeに動画をアップロードする → サイトに埋め込む
という作業が、動画チームに回して、概要文は校閲担当に回して、字幕はまた別の校閲担当に回して、投稿はまた別部署がして・・・とやっているうちにサイトの公開日になってしまったという悲劇がありました。(早稲田祭運営スタッフの内部構造に文句を言っているわけではないです。)
生活リズムやレスポンスの速さが違う人間がバトンリレーをしているわけですから、思わぬところでストップしたり、板挟みになったり、スケジュールを危うくする様々な問題が付随します。
スケジュールを立てる際は、他人との調整が必要になる事項をリストアップし、調整先も人間であることを意識して予定を組むと想定外が起こりづらくなります。意識するポイントが分かりにくければ、以下の具体例を参考にしてください。
チェックポイント
熱量 | タスクに対する姿勢は自発的か受動的か・どれくらい具体的に指示/依頼をすべきか・逆にこだわりすぎて期限を過ぎる可能性はないか・頭のどれくらいの割合をプロジェクトに割けるか・どれくらい無理がきくか |
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働き方のスタイル | 無理をするのが普通になっていないか・その普通を他人に強制していないか・睡眠食事をとることを前提にスケジュールを組めているか・同時進行しているほかのプロジェクトとの兼ね合い・学業やアルバイト等のスケジュール・生活リズム・自分の時間 |
キャパシティ | 作業スピードは理想ではなく現実的か・「気合でできる」を想定に含めていないか・受け持っているほかの作業の状態は・マルチタスクが得意か・技術力・経験値 |
可能であれば、プロジェクトにかかわるメンバーそれぞれと1:1で話す時間を作るといいでしょう。どの作業をどれくらいのスピードでできるかを把握しておくことでスケジュールを立てやすくなりますし、生活リズムを理解しておくことでSlackの返事待ちにやきもきすることもなくなります。
伝え方、受け取られ方
もう一つ、
余裕がなくなったとき、一番に意識してほしいことが伝え方です。
調整の際、特に急いでいると、自分の意図していることが一発で伝わらないことに苛立ちを感じてつい言葉が強くなってしまいがちです。
そのようなことが原因で起こるコミュニケーションの摩擦は、チーム全体の作業効率を下げかねません。感情とタスクを切り離して円滑に仕事を進めるために、相手にどう受け取られるかを意識した伝え方が求められます。
送信ボタンを押す前、口を開く前に、一度止まって考えてほしいことを以下にまとめました。
自分にとって当たり前でも
自明に思える質問をされたとき、貴重な時間が無駄にされたように感じますよね。そのとき考えて欲しいのが以下の3点です。
自分の当たり前=常識と思っていないか
自己肯定感が低い人が陥りがちなのが、「自分ができる/知っているなら相手だって」という思い込みです。それゆえに、自分の知っていることを知らない相手に対して驚いて苛立ってしまうということが起こります。知識のベクトルはそれぞれであり、量や質で優劣をつけることはできません。そのことを理解して、互いに尊敬しあえる関係作りができればより良いチームになると思います。
質問を勘違い/早とちりしていないか
時間や頭に余裕がなくて、質問を早とちりしてしまうケースも見られます。質問を途中まで聞いたところで、ありがちな疑問や自分がつまずいたポイントに相手のケースを当てはめようとしてしまうことが原因です。これをしてしまうと、後に書く聞きたいことはそれじゃないというモヤモヤを相手に持たせてしまうことになります。齟齬を最小限に減らし効率的な情報伝達を行うためにも、話を聞くときは相手の話に集中するほうが生産的です。
質問の形をとった指摘ではないか
相手の考えの問題点を間接的に指摘する手法に、質問を重ねていくというものがあります。頑固な相手と対話する際にしばしば使われます。指摘したい点に直接は触れず、間接的な質問を重ねて徐々に核に近づけていく過程で、相手が自分で気づくのを促す手法です。あまりに自明な質問をされたと感じたときは、その可能性も考慮してみるといいかもしれません。
聞きたいことはそれじゃない
質問に対して的外れな答えが返ってきたり、すでに理解しているところから説明を始められてじれったく感じる時、時間や心に余裕がないと相手に苛立ってしまいがちです。話を遮って「そんなことは分かってるから」と強くあたってしまう前に、自身の質問の仕方を見直すほうが建設的です。
自分の思っている以上に、私たちは「相手はこれくらいのことは分かってくれるはずだ」と期待をしています。長く一緒に仕事をしてきた仲間だとなおさらです。そこでおすすめしたいのが、性能低めのAIに向かって話す"つもり"で質問するやり方です。具体的には、
- 自分が今何をしているのか
- なぜそれをしているのか(割り振られたタスクの場合は、誰に割り振られたか)
- どこまでできているのか
- どこまでわかっているのか
- なにができないのか/なにを知りたいのか(質問の核)
- わかっていてもできないのか、そもそもわからないのか
- いつまでに知りたいのか
質問の核は「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(だれが)」「What(なにを)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」を明らかにして伝えるといいでしょう。できる限り具体的にし、「どうすればいいか」のような広い問いは避けます。最大限丁寧に、Pep●erくんに話しかけるように、Google翻訳に日本語を打ち込むように、現状を伝えましょう。
そういうことじゃない
割り振ったタスクやお願いしたヘルプが、思っていたのと全く違う出来だった・・・ 丁寧にやってくれたのが伝わるし、クオリティも申しぶんないから今更変えてほしいなんて言えない・・・
そんな時、考えられる原因は2点です。
- 伝え方が悪かった
- 自分と相手の知識のギャップ
伝え方については、ひとつ前の聞きたいことはそれじゃないと似通った内容になりそうなので省略します。相手の理解に過度な期待を持たず、とにかく丁寧に!という話です。
知識のギャップについても、詳しく書いてくださっている記事があるのでリンクを置いておきます。一緒に働いている相手は自分じゃないで書いた多様性の話にも通じるものがあります。
正しく理解してもらえるように伝えることが第一ですが、こまめに進捗を確認することも大切です。口頭や文面だけで進み度合いを確認するのではなく、実際にしている作業内容を見ることで、早いうちに軌道修正ができます。早期発見が大事!ガンと一緒!完成したものを受け取ってから大幅な修正を頼むのは気が引けますからね。
急いでほしいとき
上で進捗の話が出ましたが、調整先を急かす時って、世界一余裕が無くなっていると思います。思いやりのある言葉を考える余裕もない!そんな時に、これさえくっつけておけばなんとかなる魔法のアイテムを紹介します。それが、褒め言葉とお礼です。
褒め言葉とお礼は、言うなればあるあるのハンバーグを素手で持つことがないようにサンドするバンズです。使える表現を以下にいくつか紹介します。余裕がない時も脳死でこれらの言葉で言いたいことをサンドしておけば、それなりに丸いコミュニケーションがとれると思います。
- 「いつもありがとうございます!」
- 「素敵な○○をありがとうございます!」
- 「参考になります!」
- 「素早い対応ありがとうございます!」 etc...
まだ心に余裕があるな、という人向けに、催促に使えるフレーズが紹介されている記事を引っ張ってきました。ついつい尖ってしまいがちな催促の言葉ですが、これらのフレーズや褒め言葉、お礼をうまく使って効率化を目指してください。
おわりに
ここまで読んでいただきありがとうございました。少しでもみなさんのイライラ、モヤモヤ解消のヒントを提供できていたら幸いです!
この記事には書けませんでしたが、各企画のコンセプトと全体のトンマナ指定の衝突など、大きなプロジェクトの中でデザインをするうえで避けられない問題についてもいくつか面白い気付きがあったので、いつかデザイナー向けの記事を書きたいなと思っています。
明日は11月に渋谷で開催された作品展示企画「FutureGateway2022」についての記事が読めるみたいです。お楽しみに!