概要
グレンジ Advent Calendar 2021 13日め担当の、mikuri8です。
グレンジではUIの設計、基盤実装などをメインに担当しているエンジニアで、いわゆるアウトゲームと呼ばれている分野のエキスパートとして業務を行っています。
今回は最近良く聞く1on1についての記事になります。
本記事では私が行っている1on1手法を紹介します。
この記事を読むことで「 1on1って何? 」「 1on1ってどんな効果があるの? 」が少しでも伝われば幸いです!
ヤフーでの導入事例が紹介されている以下の本が参考になります。
ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法
1on1とは
1on1とは一言で表すと人材育成のためのミーティングメソッドです。
上司(する側)と部下(される側)が1対1で行う定期的な面談で、対話を繰り返すことで問題解決や気付きによる部下の成長を促進させます。(便宜上、する側される側を上司部下と表記します)
「通常行われているような面談やミーティングと何が違うの?」というところが気になるポイントですが、1on1は「部下の内省力を上げるためのもの」という点が大きく違ってくるところになります。
ヤフー本でもしつこいくらいに書かれていますが、1on1は上司のためのものではなく部下のためのものです。
対話の中で出てきた問題点に関して上司が「〇〇して対応しましょう」と答えを与えてしまうと部下が自分の頭で考える筋肉を鍛えることができなくなってしまいます。その結果、指示待ち人間を誕生させてしまいます。
部下側に考えてもらい上司は対話の壁打ち役となることが1on1の基本となります。
部下がPDCAサイクルを回すための潤滑油 というイメージが近いでしょう。
PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act cycle) | 用語解説
1on1の対話の中でPDCAサイクルの
- Check(評価)
:振り返りをして良かったのか悪かったのか判断 - Action(改善)
:良かったこと悪かったことに対する改善案を考える - Plan(計画)
:改善案に対しどのように実行するか考える
を考えて行きます。Do(実行)については1on1の外でやってきてもらうことです。
1on1ではこの評価→改善案出し→実行計画の流れを会話の中で行っていくようにするための上司の返答が重要になってきます。「 どういうふうに解決するのが良いと思う? 」「 うんうんそれで? 」といった聞き出すための返答が必要で、「 こうしたほうがいいよ 」「 それは違うよ 」は上司の考えをなすりつけてる良くない返答になります。
1on1とは、「 部下が自分で考える機会を与える対話 」です。
では次に自分がヤフー本を読んだ上で追加したポイントについて紹介します。
スコープする
自分がヤフー本を読んだ印象ですが、本で紹介されている1on1はスコープが会社やキャリアなどとても大きく感じました。私は会社の人事部長やマネージャではないので、成長させていきたいポイントはもっと的を絞って「アウトゲーム」という範囲になります。ヤフー本のメソッドとしては 何を話すかというところも部下に委ねます が、スコープした1on1として設定することで 話す内容を絞る ことができます。
アウトゲーム1on1、エンジニア1on1、若手1on1とすることで部下がどの点について内省すればいいのかというハードルは下がります。(上司のコストを考えても)短い時間で定期的に繰り返していくには成長させたいカテゴリを加味した上で何についての1on1とするかは決めておいたほうが良いです。
またスコープを絞った1on1として定義されると何に対する効果が出るのかも明白になります。私が行っているアウトゲーム1on1ではアウトゲームの開発フローに関する振り返りをして自身の行動の改善案を出していくことでのチームの開発速度をアップするのが目標です。このように目的を提示できると導入するための理由として妥当なのか判断でき、逆にそんなに目的がないものであれば大抵は状況把握をしたいだけのものになっているので1on1とはしないほうが良いです。
1on1は 上司が状況把握するためのものではなく、部下が成長するためのもの です。
KPTを使う
1on1の基本は対話です。おしゃべりです。となると、必然的におしゃべりが得意な人とそうでない人もいるわけで、対話ベースのフォーマットでは効果に差が出てくると感じました。
自分もそうなのですが、喋りながら頭を回転させることが苦手なので予めじっくり考えることができるテキストのほうがありがたいときがあります。
このようなアドリブでその場で色々考えるカロリーをへらすためにKPTのシートを併用することにしました。
「KPT法」とは?効果的な振り返りをするための実践方法をご紹介
KPTとは
- Keep:良かった点
- Problem:問題点
- Try:問題点への対処
としてそれぞれを箇条書きにリストアップしたものを使って何かしよう、というものですが、このフォーマットがおしゃべり最中に考えるというハードルを下げることができるものとして良いなと思い使うようにしました。
1on1が開催される前にスプレッドシートにそれぞれK、P、Tをまとめてもらい対話ではそこに書かれていることをベースに進めます。事前に考えて記入してくるので対話の最中に思い出せない、拾えないなどのリスクは下げることができます。またKPTは1on1の対話で必要になってくるポイントを洗い出して整理する作業になります。話すことを予め考えることができる、話す内容が見えるというのは上司部下双方にとってメリットが大きく、1on1をスムーズに進めるための要因となりました。
まとめ
1on1の目的は「1on1される側の成長」です。する側の聞き上手力を上げていくことが非常に重要です。そして難しい。
1on1を自分でやるようになってみて、人間それぞれ固有である以上正解手法はなく、どれだけ目的の状態に近づけることができるのかを模索するしかないということを感じました。
この記事がいちケースとして参考になればと思います。最後までお読みいただきありがとうございました!