はじめに
システムアーキテクト試験の勉強で疑問に思ったことや用語をかんたんにまとめていく。
単語集
メモリインタリーブ
コンピュータのメインメモリ(RAM)へのアクセスを高速化する手法の一つで、複数のメモリ装置(メモリバンク/メモリモジュール)をまたぐようにメモリアドレスを割り当て、読み書き動作を同時並行に行う方式。
MTBF(Mean Cycle Between Failures)
機器やシステムなどの信頼性を表す指標の一つで、稼働を開始(あるいは修理後に再開)してから次に故障するまでの平均稼働時間。「MTBFが10年」とは「10年の稼働時間の間に平均1回故障する」という意味。
MTTR(Mean Time To Repair)
機器やシステムなどの信頼性を表す指標の一つで、故障などで停止した際に、復旧にかかる時間の平均。「MTTRが10時間」とは「修理に平均10時間かかる」という意味。
ディスパッチ
発送(する)、派遣(する)などの意味を持つ英単語で、ITの分野では同種の複数の対象から一つを選び出したり、データの送信、資源の割り当て、機能の呼び出しなどを表すことが多い。
フールプルーフ
機器の設計などについての考え方の一つで、利用者が操作や取り扱い方を誤っても危険が生じない、あるいは、そもそも誤った操作や危険な使い方ができないような構造や仕掛けを設計段階で組み込むこと。また、そのような仕組みや構造。
クラスタリング
同じ構成の複数のコンピュータを相互接続し、外部に対して全体で一台のコンピュータであるかのように振る舞わせること。そのように連結されたコンピュータ群をクラスタシステムあるいはコンピュータクラスタという。
ミラーリング
同じ内容を同時に二ヶ所に反映すること。複数の記憶装置に同じデータを同時に記録することや、複数の表示機器に同じ内容を同時に映し出すことなどを表す。
レプリケーション
あるコンピュータやソフトウェアの管理するデータ集合の複製(レプリカ)を別のコンピュータ上に作成し、通信ネットワークを介してリアルタイムに更新を反映させて常に内容を同期すること。システムの耐障害性や可用性を高めることができる。
IMAP4
電子メールを受信者へ送り届ける機能を持ったサーバ(コンピュータおよびソフトウェア)で、IMAP4(Internet Mail Access Protocol versison 4)という通信プロトコル(通信規約)に従って利用者のソフトウェアと通信するもの。
POP3
インターネットなどのTCP/IPネットワークで標準的に用いられる、電子メール(eメール)を受信するための通信規約(プロトコル)の一つ。
SMTP
インターネットなどのTCP/IPネットワークで標準的に用いられる、電子メール(eメール)を伝送するための通信手順(プロトコル)の一つ。
S/MIME
電子メールの内容を暗号化したりデジタル署名を付加したりする方式の標準の一つ。
パケットフィルタリング
通信機器やコンピュータの持つネットワーク制御機能の一つで、外部から受信したデータ(パケット)を管理者などが設定した一定の基準に従って通したり破棄したりすること。ルータなどの中継装置はパケットの転送時に、コンピュータなどの端末は自分宛てのパケットの着信時に行う。
COCOMO
ソフトウェア開発プロジェクトにかかる工数や期間などを見積もる手法の一つ。1981年にTRW社のバリー・ボーム(Barry W. Boehm)氏が提唱したもので、過去のソフトウェア開発プロジェクトから得られたデータを元に構築された統計的なモデルである。
Dotyモデル
開発工数をステップ数の指数乗に比例することをベースに推定する方法。
Putnamモデル
システム規模によって工数が異なることを考慮した手法であり、大規模~超大規模のシステム開発に向けた見積りモデル。
ソースコードの行数と工数、そして開発期間の3つの要素を用いて見積もりを計算する方式。
ファンクションポイント
ソフトウェアの規模を計測する手法の一つで、内部の機能を数え上げ、それぞれの複雑さなどに応じて重み付けしたものを積算して点数として表すもの。プログラムの開発工数の見積もりなどに用いられる手法で、1979年にIBM社のアラン・アルブレクト(Allan J. Albrecht)氏が考案した。
SLA(Service Level Agreement)
サービスを提供する事業者が契約者に対し、どの程度のサービス品質を保証するかを提示したもの。通信サービスやホスティングサービス、クラウドサービスなどでよく用いられる。
ROI(Return On Investment)
投下した資本に対して得られる利益の割合。事業などから得られた利益額を、そのために費やした投資額で割ったもの。一般には割合の値に100を乗じてパーセンテージで表すことが多い。
クロスセクション法
時間の経過につれて変動していく現象を、ある一時点で横断的に取ったデータを分析する方法。時系列分析とは対比的な分析概念。
技術のS字カーブ
多くの科学技術・工業技術に共通して見られる性質の一つで、技術の発展・進歩のペースが、当初は緩やかに、その後急激になるが、やがて限界が近づき再び緩やかになるというもの。
GPL(GNU General Public License)
ソフトウェアの利用許諾条件などを定めたライセンスの一つ。主にフリーソフトウェア(自由なソフトウェア)の開発・配布のために用いられるもので、FSF(Free Software Foundation)が公開している。
マクシマックス原理
行動を選択する基準の一つで、各選択肢から得られる利得を考え、最良の場合の利得が最も大きくなる選択肢を選ぶこと。ゲーム理論で用いられる概念。
マクシミン原理
行動を選択する基準の一つで、各選択肢から得られる利得を考え、最悪の場合の利得が最も大きくなる選択肢を選ぶこと。ゲーム理論で用いられる概念。
スタック
最も基本的なデータ構造の一つで、要素が入ってきた順に一列に並べ、後に入れた要素から順に取り出すという規則で出し入れを行うもの
SMP(Symmetric Multiprocessing)
一台のコンピュータに複数のマイクロプロセッサ(MPU/CPU)を搭載する方式の一つで、各プロセッサが対等な立場で処理を分担する手法
VLIW(Very Long Instruction Word)
マイクロプロセッサ(MPU/CPU)の設計様式の一つで、依存関係にない複数の命令を一つの命令としてまとめて投入し、複数の実行ユニットで並列に実行する方式
スーパスカラ
マイクロプロセッサ(MPU/CPU)の高速化手法の一つで、命令を解釈・実行する回路を複数備え、依存関係にない複数の命令を同時に実行できるようにしたもの
スーパパイプライン
マイクロプロセッサ(MPU/CPU)の高速化手法の一つで、命令を細かい工程に分解して並列に実行するパイプライン処理を、高度に細分化・多段化したもの
ライトスルー方式
CPUのキャッシュメモリの動作方式の一つで、CPUがメインメモリ(RAM)へのデータの書き込みを行なう際に、メモリとキャッシュへ同時に書き込む方式
ライトバック方式
CPUのキャッシュメモリの動作方式の一つで、CPUがメインメモリ(RAM)へデータを書き込む際、一旦キャッシュに書き込みを行い、後で空いた時間などを利用してメモリへコピーする方式
可変区画方式
主記憶装置(メインメモリ)にロードするプログラムのサイズに応じて必要なサイズの区画を確保し、その領域にプログラムをロードする方式のこと
ヒープ領域
コンピュータプログラムが実行時に使用するメモリ領域の一つで、任意に確保や解放を繰り返すことができるもの
ガーベジコレクション
コンピュータプログラムの実行環境などが備える機能の一つで、実行中のプログラムが占有していたメモリ領域のうち不要になったものを自動的に解放し、空き領域として再利用できるようにするもの
動的リンキング
プログラムの実行に必要なライブラリやモジュールなどを、実行時にリンク(連結)して起動すること。
動的再配置
プログラムの実行中に主記憶内でモジュールの格納位置を移動させること
ページング方式
仮想記憶(仮想メモリ)の方式の一つで、メモリ領域をページと呼ばれる一定の大きさの領域に分割し、物理的なアドレス(番地)とは別に仮想的なアドレスを割り当てて管理する方式
フラグメンテーション
まとまったデータや記憶領域などを小さな単位に分割したり、意図せず小さな断片に分断されてしまうこと(および、そのような状態になったデータや領域自体のこと)
ストアドプロシージャ
データベース管理システム(DBMS)の機能の一つで、データベースに対する連続した複数の処理を一つのプログラムにまとめ、データと共に保存できるようにしたもの。処理はDBMS側で行われ、外部からはクエリを発行するのと同じ手順で実行できる
DBMS
データベースを管理し、外部のソフトウェアからの要求に応えてデータベースの操作を行う専門のソフトウェア。
I/O回数
機器やシステムなどに、外部からデータや信号を入力(input)したり、外部に出力(output)したりすること。また、そのための回路や装置、ソフトウェアなどのこと
データウェアハウス
企業などの業務上発生した取引記録などのデータを時系列に保管したデータベース。また、そのようなシステムを構築・運用するためのソフトウェア
ETL(Extract/Transform/Load)
データベースなどに蓄積されたデータから必要なものを抽出(Extract)し、目的に応じて変換(Transform)し、データを必要とするシステムに格納(Load)すること。また、ソフトウェアの持つそのような機能
OLAP(Online Analytical Processing)
データベースに蓄積された大量のデータに対し複雑な集計、分析を行い、素早く結果を提示することができるシステム
データマイニング
情報システムに蓄積した巨大なデータの集合をコンピュータによって解析し、これまで知られていなかった規則性や傾向など、何らかの有用な知見を得ること
Ajax(Asynchronous JavaScript + XML)
あるWebページを表示した状態のまま、別のページや再読込などを伴わずにWebサーバ側と通信を行い、動的に表示内容を変更する手法。ページ上でプログラムを実行できるプログラミング言語JavaScriptの拡張機能を用いる
DOM(Document Object Model)
ML文書やHTML文書を構成する要素をコンピュータプログラムで参照したり操作したりするための取り決め(API)の一つ
SAX(Simple API For XML)
XMLやHTMLで記述された文書をプログラムやスクリプトから参照あるいは操作するための方法を提供する仕組み
DOMとは違って文書を先頭から順に読み込んでいき、そこで発生したイベントを経由して情報をプログラムに伝達する
SSL(Secure Sockets Layer)
インターネットなどのIPネットワークでデータを暗号化して送受信するプロトコル(通信手順)の一つ。データを送受信する一対の機器間で通信を暗号化し、中継装置などネットワーク上の他の機器による成りすましやデータの盗み見、改竄などを防ぐことができる
シングルサインオン
一度の利用者認証で複数のコンピュータやソフトウェア、サービスなどを利用できるようにすること
リバースプロキシ
特定のサーバの代理として、そのサーバへの外部からのすべての接続を中継するプロキシサーバ。当該サーバへアクセスしようとするクライアントはすべてリバースプロキシを経由するよう誘導される
AES(Advanced Encryption Standard)
2000年にアメリカ連邦政府標準の暗号方式として採用された、共通鍵(秘密鍵)暗号方式の一つ。「AES」は米国立標準技術研究所(NIST)の標準規格としての名称であり、暗号方式(暗号アルゴリズム)そのものを指す場合は「Rijndael」(ラインダール)と呼ばれることもある
RSA(Rivest-Shamir-Adleman cryptosystem)
巨大な素数同士をかけ合わせた整数を素因数分解するのが困難であることを利用した公開鍵暗号の一つ。概念としては知られていた公開鍵暗号の具体的な実装方式として世界で初めて発表されたもので、1977年にロナルド・リベスト(Ronald L. Rivest)氏、アディ・シャミア(Adi Shamir)氏、レオナルド・エーデルマン(Leonard M. Adleman)氏が考案した。
共通暗号方式
暗号化と復号に同じ暗号鍵を用いる暗号方式。暗号文の送信者と受信者で同じ鍵を共有する必要があり、あらかじめ安全な経路で鍵を共有しなければならない。
SQLインジェクション
データベースと連動したWebアプリケーションなどに対する攻撃手法の一つで、検索文字列など外部から指定するパラメータの一部にSQL文の断片などを混入させ不正な操作を行うもの。また、そのような攻撃を可能にする脆弱性
クロスサイトスクリプティング
利用者が入力した内容を表示するような構成のWebサイトに存在する欠陥を悪用して、攻撃者が用意した悪意のあるスクリプトを利用者の元に送り込んで実行させる攻撃手法
クロスサイトリクエストフォージェリ
Webブラウザを不正に操作する攻撃手法の一つで、偽装したURLを開かせることにより利用者に意図せず特定のサイト上で何らかの操作を行わせるもの
セッションハイジャック
ネットワーク上で一対の機器間で交わされる一連の通信(セッション)を途中で乗っ取り、片方になりすましてもう一方から不正にデータを詐取したり操作を行なう攻撃
決定表
複数の判断条件の正否の組み合わせを列挙し、それぞれの場合についてどのような判断を下すかを一覧にまとめた表
構造化チャート
順次、選択、繰返しの基本制御構造のみで構成される処理の流れを図式化する手法
チャート記法自体に構造化プログラミングの制限を課していることが特徴
状態遷移図
対象がどのような状態を持ち、どのような条件や出来事(イベント)によりそれらの間を遷移するかを一覧に表した図。
DFD(Data Flow Diagram)
情報システムの設計時などに作成される図の一つで、要素間のデータの流れを表した図。データがどこで発生し、どこからどこへ運ばれ、どこへ出力・保管されるのかを図示することができる
制御フロー図
プログラムを実行したときに通る可能性のある全経路をグラフで表したもの
ソフトウェアハウス
ソフトウェアの開発・販売を主事業とする企業のこと。特に、自社ブランドのパッケージソフトを提供する企業を指すことが多いが、パッケージ製品のカスタマイズや受託開発を主とする(あるいは専業の)企業を含む場合もある
クリティカルパス
プロジェクトの各工程を、プロジェクト開始から終了まで「前の工程が終わらないと次の工程が始まらない」という依存関係に従って結んでいったときに、所要時間が最長となるような経路のこと。その長さがプロジェクトの期間を表している
可用性管理
ITサービスプロバイダ(IT部門やITサービス定業事業者)がITサービスを提供するに当たって、顧客の要求するレベルの 可用性 を確保するために実施する一連の活動
KPI(Key Performance Indicator)
目標の達成度合いを計るために継続的に計測・監視される定量的な指標。組織や個人が日々活動、業務を進めていくにあたり、「何をもって進捗とするのか」を定義するために用いられる尺度のこと
BPO(Business Process Outsourcing)
自社の業務プロセスをまとまった単位で継続的に外部の専門的な企業に委託すること。案件ごとの外部発注や業務委託などとは異なり、委託先が自社の業務部門の一部のように機能する
非機能要件
情報システムやソフトウェアの開発に際して定義される要件のうち、機能面以外のもの全般。性能や信頼性、拡張性、運用性、セキュリティなどに関する要件が含まれる
フォロワ戦略
業の市場における競争上の地位(ポジション)および戦略の類型の一つで、少ない市場シェアしか持たない下位企業のこと。
取るべき戦略としては、他社の模倣により製品の開発コストを抑える戦略や、機能を最低限に抑えるなど徹底したコストダウンにより利益を確保する戦略、低コストによる低価格を武器に価格競争で一定のシェアを確保する戦略などがある
バスタブ曲線
機器や装置などの稼働開始からの時間経過と故障の発生率の関係を図に表したもの。曲線の形状が浴槽を横から見た時の形に似ていることから「バスタブ曲線」とも呼ばれる
ラーニングカーブ
学習や訓練に費やした労力(時間や試行回数など)と、対象とする知識や能力の獲得、習熟度合いの関係を図示したグラフ
親和図(KJ図)
まとまりのないバラバラな言語データをデータの親和性によって整理する手法
GAPP(Generally Accepted Accounting Principles)
一般企業が財務報告を行う際に準拠すべきルールのことです。この原則は、米国財務会計基準審議会が承認した会計処理の方法の概要を説明し、組織の財務報告書に記載する方法や項目を示すために用いられる
IASB(The International Accounting Standards Board)
国際会計基準委員会財団(IASC Foundation)に設立された独立民間非営利の基準設定機関
IFRS(International Financial Reporting Standards)
国際会計基準審議会(IASB)が設定した会計基準
SEC(Securities and Exchange Commission)
投資家保護と公正な市場整備のため、1934年に設立された米国の市場監視機関(連邦政府機関)
日本語では「証券取引委員会」と呼ばれている